1-1
こんにちは、続き物の投稿です。
本日は4話投稿しますのでよろしくお願いします。
異世界への転生した私は真っ暗闇の中、意識が覚醒しました。
身動きを取ろうともほとんど動くことができず、手足の感覚すらありません。
もしや母体の中からスタートなのでしょうか。
それは流石に意識覚醒が早すぎると思うのです。
しかし目が見えない暗闇の中というのは不安で堪りませんね。
そもそも瞼が開いているのかすら解りませんからそれ以前の問題でした。
という事でまずは瞼を開けることから始めましょう、えい。
うん、瞼を開いた感覚はあるのですがまっくろくろすけなのは変わりません。
これはやはり母体の中から覚醒なのでしょう。
でもちょっと待ってください。
母体の中の割には水気が一切ありません。
妖精さんも羊水の中で育つのかは定かではありませんが水気が一切ないというのはどういう事でしょう?
もしかして妖精さんは卵から生まれるタイプなのでしょうか?
うーん。
と思わず首を捻りましたが首の捻り方がおかしいことに気が付きました。
さらに言えば先ほど体を動かそうとしてほとんど動かなかった体も若干動きましたが感覚が違います。
マジどういうことだ?と口調が乱れるほど困惑しておりましたら周りが明るくなってきました。
真っ暗だったのは夜だったからで、どうやら朝を迎えようとしているのかうっすらと明るくなってきています。
そうなると周りが見えてきますから状況把握に努めましょう。
どうやら私はとても狭い場所に閉じ込められているようで、何かわからない殻のドームの中に居るようです。
狭い場所というのは嫌いではありませんが、外がどうなっているのか知りたい欲求には勝てません。
さて、そろそろ異世界ファンタジアの第一歩を刻もうではありませんか!
でも、どうやって外に出たらよいのでしょう?
完全に夜が明けたのかこの卵と思われる中もかなり明るくなりました。
外の様子が解るほどではありませんが、内部の様子だけならほぼ丸見え状態です。
だから私は妖精さん、フェアリーの姿ってどんな?とまずは自分を確かめる事にしたのですが、やめておけばよかったです。
まず見えたのはとても柔らかそうでぷにぷにぼでぃ、カラーリングは白に近いピンク。
無意識なのでしょう、うにょうにょと動く多足のような物まで見えますし、どうやらお腹のようですね。
ちょっと顔を動かして背を見てみれば鮮やかな桜色を思わせる淡いピンクなぼでぃもぷにぷにです。
あ、こっちにも白に近いピンクが模様のように混ざってますね。
紛れもない幼虫ファッションです。
ふぅ、なんでこんな巨大な幼虫が私の傍、同じ狭い閉鎖空間に存在しているのでしょう?
などと現実逃避してみましたが認めるしかありません。
私はこれでも切り替えが早いと自他共に認める女の子です。
私が憧れたのは神秘であり可憐です。
決してピンクでぷにぷにではありません。
ちゃんと希望は伝えたはずですし、あの人から了承されたはずでした。
なのになのに、なぜ、私は。
イモムシになってるんですかーーーーーーーーーーーーー!?
切り替えが早かろうとこの事実に愕然としない訳ありません。
いやぁ、まさか妖精さんの幼生体が幼虫、イモムシだなんて誰が想像しますか?
逸話なんかでは自然霊的な存在だから突然出現したり、精霊が変化したり、誰かが魔力を変化させてとかじゃないですか、妖精の誕生シーンって。
それが卵から生まれて幼虫、そして妖精へ変態とか誰が想像しますか?
神様にそのあたりを聞いていなかったので私のミスだとは思いますが、それでもこれはあんまりではないでしょうか?
幼虫って外敵が多いし、餌の確保もままならないから中々成体への変態が難しい存在なのですよ?
特にイモムシなどの草食昆虫の幼虫って安全な地中ではなく外界での成長をしていく種ですから、生存率が半端なく低い。
だからこその多産なのでしょうが。
ちょっと待ちましょう。
レベルを上げるってどうやればよいのでしょうか?
ゲーム的アプローチから行けば敵を倒して経験点を貯め、一定値に達して成長が普通です。
イモムシが倒せる敵っているんでしょうか?
生まれたての体長は1cmなさそうですし、大きくなれても4cmほど。
アブラムシとか他の虫の幼虫ぐらい?
しかしイモムシってば草食だから肉食よりも弱い。
これはツンでないでしょうか。
どこかにデレは落ちてませんか?だれか知りませんかね。
はぁ、私の第二の人生はどうなるのでしょうか。
流石の私も黄昏ました、早朝だというのに。
しばらく呆然、ぼけーっとしていたのですが、無意識のうちに動く手?足?がうにょうにょ動くのを見ていたら唐突に思い出しました。
この世界、レベル制だからステータスの確認とか出来るのではないでしょうか?
と、いう事で早速ステータスの確認です!
・・・うん、分かってた。
イモムシが言語を発せれないぐらい!
口から出たのはきゅぃーという可愛らしい鳴き声のみで、意味はステータスオープンとなっているのですが音がきゅぃーでした。
だから反応しなかったのかステータスの閲覧ができません。
もしかしたらこれ魔法も使えない?と思って魔法を唱えてみました。
らいとー、とか、うぃんどー、とか叫んでみてもきゅぃーとしか聞こえませんし、何も変化が訪れません。
あかん、これあかんやつや、と思わず関西テイストになってしまいましたが、打開策がありませんでした。
ですが偉い人も言っていました、諦めたらそこで終了だと。
まずはアプローチ方法から変えてみようと思いました。
ステータスの確認や魔法の使用も何か特殊な方法や手段、スキルのようなものが必要なのではと仮定しました。
だってラノベなどではよくあることですから。
ですからステータスチェックや鑑定、魔法名を唱える、念じる、魔力を感じてみるなどといった妄想行為をひたすら行いました。
そう、神様が与えてくれた加護(小)の恩恵を信じて!
変化が訪れたのは唐突でした。
なんか外でバリバリとかきゅぃーとかの音や鳴き声が複数聞こえ始め、やがて周りが静かになった後も私はひたすら殻に閉じこもり妄想行為にふけっておりました。
そして意識が覚醒して三日目の夜の事でした。
体が少し熱い、何か力が湧き出る感覚を覚えたあたりで脳内に大量の情報が刻み込まれたのです。
========================
名前:サクラ=シンドウ(女/0歳)
種族:妖精種幼体(LV1)
状態:衰弱(空腹、睡眠不足)
所属:幻惑の森
職業:ニート(LV1) *高校生(LV11)/メイド(LV15)
HP:1/2 MP:5/5 SP:2/10
筋力:H- 器用:H- 敏捷:H- 知力:A‐ 魔力:C- 感知:B- 精神:C- 幸運:G+
クラススキル:集中力増加/省エネルギー
スキル:料理(LV4)/裁縫(LV3)/家事(LV5)/算術(LV4)/自己能力確認
ギフト:異世界神の加護(小)/全言語解読/風属性適正/光属性適正
========================
そう、ステータスの確認ができたのです。
どうやら自己能力確認というスキルの有無が問題だったようですね。
対比数値的な意味が解りませんが取りあえず確認できた事を喜びましょう。
そして衰弱に陥っていますし即急な睡眠と食事が必要なのが理解できました。
このままだと私死んじゃいそうです。
ですがその前に一言物申したい事がございます。
なんでニートなのですかーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
そして翌朝。
ステータスを確認したら衰弱なのは変わりませんが、睡眠不足は解消されておりました。
能力値の-の値がなくなっていましたし、睡眠不足は能力値ダウンするようです。
あと、HPやSPも全快ではありませんが回復しておりますし、やはり適度な睡眠は必要なのですね。
さて、改めてステータスの確認をしておりましたが、レベルの横に数値とバーが隠されておりまして、これはどうやら習得経験値とか修練値、レベルアップまでの割合を意味しているようです。
職業の高校生とメイドはなぜか半透明になっており、どうやら現在封印されているようです。
所属の幻惑の森というのが不明ですがおそらくここが幻惑の森と呼ばれる場所なのでしょうね。
そしてニートになった経緯ですがおそらく殻から出ることなく閉じこもって妄想行為を続けていた結果なのでしょう、納得いきませんが。
三日でニート認定されたのは早すぎると思うのですが、これはもしや神様の加護の恩恵でしょうか?
たしか職業の転職や成長に補正があるとか言ってましたし、他者よりも早いのでしょうね。
・・・うれしいけど、うれしくないです、神様。
HPとかMPはゲーム的な観点から言えばそのままでしょうが、SPはなんでしょう?
スキルポイントやスキルパワーなのか、それともスタミナポイントなのか。
寝不足解消で回復したからスタミナポイントあたりが有力ですね。
能力値のアルファベットですが筋力とかの値のHはおそらく最下層の値なんでしょうね。
そりゃ生れ立ての幼虫なのですから納得の値です。
そして知力がAなのは前世が日本の女子高生なのですから高くて当たり前といったところでしょう。
自慢になりますが私はそれなりに成績も良く、協調性皆無でしたが先生に小言を言われないほど成績は上位キープしてました。
そりゃ家事と趣味以外に何もしてませんでしたから勉強は他者よりもしていましたよ、ボッチですから。
精神がCなのも納得できる値ですし、幸運もある意味納得できるG+です。
16年ですが普通よりも不幸と言えそうな、でもありふれた人生でしたから精神力はそれなりだったのでしょう。
幸運は言わずもなが、といったところでしょうか。
解らないのは魔力や感知といった項目です。
この世界、ファンタジア特有項目なのでしょうか、よく解りませんがゲーム的感覚から行けば魔法への親和性とか第六感的な要素でしょうか。
妖精種だからなのか、それとも神様が下さったギフトの恩恵なのでしょうか高い値を示しています。
このあたりは他と、幼虫や妖精さんなどと比べるしかありませんから今は置いておきましょう。
続いてクラススキルなるものですが、さすがニートが持ってそうなスキルです。
先ほどから思考がクリアと申しますか考えが纏まり易いのは集中力増加の効果でしょうね、あとお腹の空き具合も若干ましになっているのは省エネルギーの効果かと。
このあたりから考えると学生やメイドが解禁されたら有用なクラススキルが得られそうですね。
集団行為適正とか学術適正とか家事補正とかが得られそうです。
・・・それは有用なのでしょうか?
それはさておき、そろそろ外に出ないとこのままでは空腹で死んでしまいますね。
いくら省エネルギーといっても限界があるでしょうし、おそらく他者よりも出るのが遅くなっているから食事場を探すのが困難だと思われます。
問題点は外敵から身を守る手段を確保していないことですが、それよりも脱出が先だと思います。
さあ、今度こそ異世界での第一歩を刻もうではありませんか!
と、言う事で私は頭を殻へと近づけるのでした。