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3-7

本日は1話のみ投稿です。



こちらにて感謝の挨拶を。

皆さまのご協力ありまして、ブクマが50件突破しました。

これからも投稿し続けますので、よろしくお願いします。



あ、後書きに書けばよかったですね。

「今度は狼ですかー!」


わんわんおー、とばかりに走り寄って来た集団の正体は、幻惑の森の固有種魔獣であるミラージュフォレストウルフと呼ばれる狩人たちです。


まだ十分な休息、MPが3分の1程度までしか回復していない状況で現れたのは、おそらくこの森で出遭いたくない集団第1位と目される狼軍団でした。


何者かが近づいてくる気配、音を感じ取った私は立ち上がって数少ないMP回復手段であるポーションをぐびっと一飲みして飛び立ちました。


そのタイミングでまず1頭目が木々の間から現れて私へ飛び掛かって来たので、カウンターとばかりに空瓶を極太針、いえ、杭に変化させて発射してやりました。


ぎゃいん、という断末魔と共に落下していく狼のお代わりにと2頭目3頭目とどんどん表れて飛び掛かってくるので全力のウィンドで吹き飛ばし、風魔法を併用して探索を使用。


案の定狼系魔獣と思われる集団が高速で接近しており、どんどん私を包囲する陣形が整いつつあります。


撤退の二文字が頭を過りますが、深層部側には何故か別の魔獣の集団が集まっており、しかも上空、厳密にはこの付近一帯の木々の上の方にもおそらく蛇系と思われる魔獣たちが集まってました。


そう、調子に乗ってやってきた中層部で一ヶ所に留まって戦闘しているバカな私は、魔獣たちの集団に完全に囲まれようとしているのです。


先ほどの戦闘で嫌というほど数の暴力の怖さを体験したと思っていましたが、それを超える怖さが目の前に展開しつつあります。


四面楚歌、その古事を思い出しつつ唯一の逃げ道と思われる正面、中層部でもその中心に位置しているであろう方向に僅かな活路を見出し、飛び立ちました。


「きゅ、きゅぃー!」


どけー、と叫んだつもりが口から出たのはきゅぃーで、かなり混乱していたと後で思いました。


まあ、混乱していたからこそ、この状況が誰かさんが仕組んだ罠だった事に気が付けなかったんですけどね。




迫りくる狼たちを最小のMP消費で切り抜けようとノイズやブロウなどの魔法を使わず、ウィンドやウィンドシールドで押しのけつつ森を進み、どんどん中心部へと向かいます。


飛行スキルやゲイルムーブを使ってますからそれでも秒単位でMPが消費されていき、右手にはレイピアを持って邪魔な枝葉を切り分け、左手でポーションを飲むという忙しさ。


作り置きしておいて良かったですよ、ポーションを、本当に。


作った経緯は偶然でしたけど、やはり備えあれば憂いなしですね、昔の人は本当に凄いです。


追撃してくる魔獣が少しは減り心に余裕が生まれてそんな事を考えていたのですが、この状況に対して少しばかり疑問が湧いてきました。


確かに中層部は魔獣が狂暴化していて普段以上に危険とは聞いていましたが、それにしては組織立ってや過ぎないだろうか、と。


狂暴化しているならば組織的な動きではなく、もっと散発的な動きをすると思うのですよ。


それがまるで中層部中の魔獣たち全てが連携しているかのような動き、戦術でした。


これってもしかして、考えたくないですが、そういう事なのでしょうか?


「孔明の罠か! とわっ!?」


「お、兄者。こいつ避けやがったぜ」


「噂通り素早いな。まるで緑野郎みたいだぞ」


私がお約束発言をした直後、危険感知が反応したので急旋回し、地面から伸びた土の槍を避けれました。


これはもしや地魔法?


私の疑問に答えてくれたかのように、上方から今度は岩の弾丸が降り注ぎました。


「ウィンドシールド!」


「へぇ、中々強力な風を操るな。流石は羽妖精だ」


「兄者、こいつは舐めてかからない方が良いですぜ」


「ライト!」


先ほどから聞こえる二人分の声に対して誰何ではなく、光魔法ライトを使い、その姿をあぶり出しました。


この森で強力な地魔法を使う可能性があるのは樹妖精か、もしくは蛇系の魔獣。


しかもそのボスである二匹の蛇である、と。


事前にハヤテさんから聞かされていてよかったです、情報大事、超大事です。


「羽が蝶だからやっぱりフェアリーか。風に光とは厄介な魔法を使いやがる」


「俺たちと真逆ですぜ、兄者」


光に照らされ現れたのは4mを超える体長、それでいて丸太のように太いツチノコを思わせる大蛇。


1匹はトパーズのような黄色い瞳でもう1匹はサファイアのような青い瞳をした、黄蛇眼、青蛇眼と名を持つ魔獣たちでした。


「えーっと、羽妖精である私に何かようですか?」


地面に降り立ち時間稼ぎ、MPが心もとないので木々から漏れる自然光を取り込んでのMP回復、コンバートを使用。


手持ちのポーションがあと僅かなのでこれ以上使ったら最深部へ、赤眼様の元に戻れなくなってしまいます。


なので少しでも全力が長く出せる状態、MPを全快にしなくてはならないのです。


「何用か。そうだな、お前を捕らえる、こう言えば理解出来るか?」


「食べる、や、殺す、ではなく?」


「兄者が言っただろう、お前を捕らえると」


「いえ、それは理解出来たのですが、何故そのような事を?」


「何、今この森では噂が流れていてな」


「兄者が言う噂とはお前だ、羽妖精。古の羽妖精が復活し」


「俺の台詞をとるな、弟よ」


「すみません、兄者」


「まあ、いい」


うん、こういう時に思ってはいけないのでしょうが、この兄弟と思われる蛇さんたちは、中々に台詞回しが絶妙です。


何かのドラマでも見ているかのような気分になってきます。


「羽妖精と言えばこの森を嘗て支配していた妖精女王の眷属。古に滅んだはずの羽妖精が蘇ったと聞けばどうだ、手中に収めたい、食したいと思うだろう」


「兄者の言う通りですぜ。俺もさっきから食べたくて仕方がねぇ」


「だからな、1つ賭けをする事になった」


「えーっと、嫌な予感と言いますか、悪い予想と言いますか、そういうのが頭を過るのですが」


「今、この中層部では誰が支配するかという覇権争いが起きている。俺たち蛇をはじめ猿や狼どもとな」


「もちろん支配者は兄者、すなわち蛇だぞ」


「だから証明として羽妖精を生かして捕らえた者こそが支配者と、そういう事になっておるのだ。お前は景品だ、支配者のな」


「・・・やっぱり」


そうですか、私はクエストターゲットで景品ですか。


だからみんなして私を狙っていたのですね。


でも、各組織毎に動くならわかりますが、組織の垣根を超えてまで連携っておかしくないですか?


「だから私はここに誘導されたと。お二人が捕まえるから邪魔にならない、被害を出さないよう遠巻きにして囲っていると」


「そういう事だ」


「誰がこの策を? あ、うん、ゴリラさんですよね、多分」


「ゴリラ? ああ、言いえて妙だな。確かにあいつはゴリラだ」


「確かに似てますね、ゴリラに。そのゴリラ野郎が兄者こそが相応しいとこの策を考えたんだぜ、羽妖精」


「うーん。聞いた話だと考えそうではありますが、もう1つ2つは策を用意してそうですが」


「何? どういう事だ?」


うん、時間稼ぎは十分ですね、MPも四桁まで回復しましたし。


「それはですね」


コンバートを解除して、各種スキルや魔法をさりげなく使って自己強化しつつ飛行で浮遊しました。


「あなた方も囮。多分私と戦っている隙をついて襲ってきますよ、きゅぃー!」


「「なっ!?」」





まあ悪だくみが好きだというハヤテさんの話が本当ならば間違いなく私諸共蛇兄弟を倒そうとしますよね。


支配者になりたいならそっちの方が早くて確実ですから。


おそらく私がここに誘導されたのもその為のもので、蛇系や狼系の魔獣たちに連携させていたのもこの為でしょう。


だって先ほど連携して追い込んできてたのは蛇系と狼系だけでしたし。


あと、魔法込みの探索を使ったら魔獣たちの囲いを更に囲うような集団が近寄ってきるのを確認できましたしね。


なので私がとる道はただ1つだけです。


目の前の蛇兄弟を速攻で無効化し、この場を強引にでも立ち去る事です。


そう決めて使ったのはアクセラレータロアーで、強者な蛇兄弟だろうと一瞬とはいえ行動の阻害に成功しました。


そこからはいつもの必勝パターンであるブロウの連打を。


「ブロウ!」


「甘いわ!」


分厚い土の壁で防がれ。


「兄者をよくもやったな、羽妖精!」


ダークネットが飛んできました。


その大きさはシャドウバイパーが使うものとは比較にならないもので、倍ほどの広がりを見せて私を襲う。


避けれないし食らっては危険と感じた私はライトを使って即消去。


しかもコンセントレーションを併用して自分の目は守りつつ、蛇兄弟の目をつぶす勢いで強くしました。


「ぐあああああ、目がぁああああああああ」


「弟よ!」


声の感じからして兄蛇は土の壁を盾に光を防ぎ、弟蛇は網膜を焼かれたのでしょう。


これはチャンス!


「これでも食らきゅぃー!」


「ぐぉおおおお!」


兄蛇に向かって集中的にブロウを連打して、土壁で塞がれる。


それは計算通りで、目的はそれ以外の事が出来ないようにする事。


そして私の本命は弟蛇にシャドウハイドを使ってからの奇襲。


完全不意打ちでのレイピアによる刺突。


「雷と冷気をプレゼントしますよ、弟さん!」


「ぎゃあああああああ」


目を潰されて頭を乱暴に動かしていた弟蛇の胴に勢いをつけての一突き、そして雷と冷気で動きを止めた体を割くように振り抜く。


「弟! お、おのれ、羽妖精ぃいいいい!」


振り抜いた先が偶然にも弟蛇の頭だったため、刀身はそれをも振り抜き、完全に止めを刺しました。


私は振り抜いた勢いを殺さずに体を回転させ、目の前に迫る大きな口、兄蛇の顔と向き合う。


弟蛇を殺されて我を忘れていたのでしょう、地や闇の魔法を使わない、単純な飛び掛かりによる噛み付き。


凶悪な牙で噛み砕こうと大きく口を開けたその姿は、恐怖そのもの。


でも、それは弱点である口内を晒しているのも同じ。


なのでそこを狙わないのはおかしいですよね。


「あ、自己紹介してませんでしたね。私はハイフェアリーのサクラです。赤眼様の庇護の元、この森の調査をしております」


「がっ!?」


全力で避けつつ、口の中に大量の極太の妖精針を投げ込んで、最後の台詞も言わせずに倒しちゃいました。


うん、それだけがちょっと勿体なかったかもしれませんね。




口内を針尽くしにされた兄蛇さんはぴくぴくと瀕死の状態でしたので、これ以上襲われても困りますからサクッとレイピアで頭を突いて止めを刺しておきました。


蛇兄弟さんたちは会話こそ出来たのですが、危険感知が反応しまくりで確実に私に害をなす存在でしたから容赦なくやっておく事にしたのです。


日本人だった前世ならば考えられない決断ですけど、このファンタジア世界はアース世界よりも過酷ですからね、やれる時に必要な事をやってないと死んじゃいますから。


まあ、アース世界でも日本ではなく一部地域とかだったら同じなのかもしれませんが。


さて、そのような感傷に浸っている場合ではありませんから、比較的囲いが薄い場所から逃げ出しませんと。


そうすぐに判断して飛び立ち、魔獣同士が争い始めている中、シャドウハイドを使って隠れながら進みます。


メイドスキルの隠密の効果だけでも凄いですが、闇魔法シャドウハイドの効果も合わさって、これだけ高速飛行しているのに全く気付く様子がないのは相当な隠密性です。


この世界の不思議を体験しつつ、その恩恵を最大限に利用しての逃避行ならぬ、逃飛行を慣行。


接近すると効果が解除されるので激しく争っている魔獣たちを蛇行して避けて、どんどん囲いを突破していきます。


そして等々囲いを完全に突破したあたりで一旦速度を落とし、探索を使って再度情報収集しておきました。


この探索というスキルは使った瞬間の情報は得られますが、リアルタイムに情報更新される訳ではないので、ある程度の頻度で使う必要があるんです。


そうじゃないと状況が移りやすい騒乱の場合、気が付いたら全く状況変わっていた、なんて事になりかねません。


現に先ほどと違って囲い全てで争いが行われているようで、それとは別に奇妙な動きをする魔獣が1体、そして新たな探索範囲に入ったところに奇妙なものを見つけました。


風魔法しか併用していないので音しか伝わって来ていませんでしたから、詳しい状況が解りません。


リモートセンスを併用していればよかったのですが、この魔法はMPをやたらと消費するので今は使いにくいのですよね。


仕方ない、と私は奇妙な動きをする方は意識の片隅に置いて、奇妙なものへ向けてリモートビューイングで視界を飛ばしました。


するとそこに見えたのは巨大な薔薇の花を咲かせる茨。


探索では植物に関しては反応しないのです、何せそこまで範囲に含めてたら限がないですから。


ただ、特定の植物、いえ、植物に似た存在は反応します。


それは主様、ようするに妖精樹、そして、擬態中だと解る樹妖精。


なのであの薔薇はそのどちらかという事になります。


主様以外の妖精樹をこの森で見た事がないですし、中層部にいる樹妖精で心当たりがあったりしますから確認に向かう必要があるのです、私には。


ですからほぼ停止状態にまで緩めていた飛行速度を上げて、その巨大な薔薇が咲く場所へと移動しました。


そしてそこで出会ったのは・・・




「やぁやぁ、顔を合わせるのは初めてだね、新たな羽妖精さん。私はエフェメラル、薔薇姫なんて呼ばれているアルラウネだよ。エフィーっちとかメラルっちと呼んでね」


「予想外に軽い人だったきゅぃー!」


弱弱しくも擬態を解く美少女。


しゃべりだすと凄く軽い感じの樹妖精エフェメラルさんでした。

お読みくださってありがとうございました。


次回は明日投稿予定です。

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