第1話 風竜の棲む谷
作者の基本的主人公のエリサの話です。
途中、聖女系普通の子の話になります。
初めは、マリベルから見たエリサの話でした。
これも中編くらいです。ヨロシクです✨
「今日もいい天気だわ」
あたしは、空を見上げる。
太陽は、火竜谷の向こうに見える。
まだ、谷の全体を照らしてない。
それでも、今日も晴だとーー
断定できる。
谷に張られている結界のおかげ。
雨も必要なとき。
風は、常に清らかな精霊が、運ぶ。
谷には、魔法が当たり前のように生きてる。
風の精霊が水車を回す。
麦の粉を挽く。
平和な谷での暮らしーー
あたしは、水桶を持つ。
谷長の裏山の泉まで。
水汲みに行く。
「おはよう、マリベル」
頭上で声。
見上げる。
エリサだった。
薄茶色の緩いカールのかかった髪。
茶水晶の瞳。
私と同じ十五歳。
決定的に違うーー彼女は精霊使いなのだ。
あたしには、魔法的な力はなにもない。
エリサには、生まれたときに風の上位の精霊が祝福に来た。
彼女は息を吸うように、精霊と話す。
ちょっぴり、羨ましくもあるんだけどーー
「朝早くから、何をしてるの?」
あたしは、エリサに聞く。
エリサは、空中でくるりと回る。
答える。
「結界の見回りよ」
……?
ーーそれ、あなたの仕事?
「風の騎士が言うのよ。
谷の結界が、脆くなってるって」
「だとしてもーーあなたの出る《《まく》》じゃないと思うの」
エリサは、眉をあげる。
お父さんのレフさまに似た顔。
睨み付けてくる。
「どうして?」
「だって、谷の結界のことは、個人で直せることではないでしょう」
「私なら直せるわ」
あたしは、水桶をエリサに投げる。
「エリサがやったら結界壊すでしょ!」
エリサは、桶を空中で受け止める。
「大丈夫よ」
「私なら、直せるわ」
エリサは、直したくて、うずうずしている。
見てればわかる。
だって十五年も、となりで見てきたのよ。




