幼女、アーモンド
私は朝早く起きて空き缶を溶かして金槌を作った。
何故なら金槌が無いとアーモンドの硬い殻から実が取り出せないと思ったからだった。
私はお姉ちゃんが寝ている時にこの作業をした。
お姉ちゃんが起きていると面倒な事になると思ってしまったのだ。
アーモンドは硬い殻に覆われていて、その中に美味しい実がある。
美味しい実を取り出すには、硬い所で金槌で割る必要があるのだけれど、お姉ちゃんはバカ力だから金槌なんか使わなくても指で割ってしまうと思ったのだ。
でもいくらお姉ちゃんがバカ力でも、お姉ちゃんは8才で、手が非常に柔らかい、だから私はお姉ちゃんが手が怪我をしない様に気を使って見たのだ。
アーモンドの硬い殻から実を取り出す作業をしようかと思ったのだけれど、アーモンドの実はローストすれば硬い殻が半分に割れる、そこからは指で簡単に実を取り出す事が出来るのだ。
生のアーモンドよりもローストした実の方が美味しいだろうから、それに味音痴にも効果がありそうだと私は思った。
私は朝からコソコソしていたら、お姉ちゃんが起きて来てしまった。
まあ起きて来て見られても別に良いのだけれど。
「お姉ちゃん、おはようございますわ」
「おはようアリエッタ、かなり早い時間から、アリエッタは何をやっていたの?」
「実は、アーモンドの実の取り方を考えていたのですわ」
「そうだったのね、アリエッタ、それで効率的な実の取り方はわかった?」
お姉ちゃんは意外にも、アーモンドに対して力技で来るのでは無いかと思っていたのだけれど、意外と女の子らしい考え方を持っている様だった。
「私が割っても良かったけど、この数は相当あるから、私でも手が怪我をしてしまうわ、私のシラウオの様な手がね」
お姉ちゃんはシラウオの様な手だと言ったが、実際にはシラウオとは似ても似つかない、おそらくお姉ちゃんなりの表現方法なのだろう。
「お姉ちゃん、アーモンドは火を使ってローストすると種が割りやすくなりますわ」
私フライパンを使って火魔法を使い、アーモンドをローストした。
「アーモンドは火魔法でローストしたばかりだから、直ぐに触ると熱くて火傷してしまいますわ、少し置いて冷ましてから割って見ましょう」
「わかったわ、アリエッタ」
こうして、どんどんとアーモンドの殻から実を取り出していく。
周りはアーモンドをローストした特有の香ばしさが広がる。
少し食べたくなったけれど、今回依頼されてアーモンドを採集して来てくれと頼まれたので我慢だ。
「これってなぁに、アーモンドだべい?うんアーモンド、ダベイ」
お姉ちゃんがまた変なギャグを言って来たが、採ってきたアーモンドは全て中身はローストされたものだけとなり、土のう袋一杯ぐらいになった、大量だ。
ちょうど収穫の時期と重なったのが良かったのだろう。
今日は依頼主の宿屋の『サンライズ』のゴーダさんに、とりあえず採ってきたアーモンドを渡して、味音痴を治すと言う依頼の第一段階を達成しておこう。
そして私はアーモンドに『プロテイン』の魔法をかけた。
そうする事で効果が上がる事を期待したのだ。




