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死霊術士は生き還る  作者: ク抹茶
着ぐるみ編
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四十一話 ソフィアからの依頼

「ふあ………もう朝か」


 私はさえずる小鳥の声と顔に当たる眩しい日の光で目を覚ました。

 窓の外を見ると既に日が昇っている。

 ロペルの町の宿でもなく野宿していたときに見た青空でもない。

 白く美しい部屋。

 ここで私は改めて神殿にいると自覚する。

 そうだ、私昨日神都に来て……なんか夜更かししたせいかまだ少し眠い。

 なんだかんだこの世界に来てから夜は早く寝て朝も早く起きてたからなァ。

 でもこんな綺麗な所で寝たのも初めてだし少し落ち着かないかも。


 そうして虚な目を擦りながらある事に気づいた。

 顔を触る手が半透明な事。

 身長が高くなっている事。

 あ、そうだった。

 そういえば昨日身体を手に入れたんだよね。

 ウゥン、それにしても…………相変わらず凄い身体。

 あの時見た顔と言い本当に私なのか? って思っちゃうよね。

 まあ、裸だけど……。

 そういえば服を想像してなかったんだっけ?

 それじゃあ早いうちに服想像しておこう。


 私はそう考え取り敢えず人形が着ているようなローブを想像した。

 だが暫く待っても服は現れなかった。


「あれ? おかしいな……」


 私はそう呟きもう一度試してみた。

 だがそれも先程と同様に何も起こらなかった。

 やっぱり何も起こらない。

 昨日は意外と簡単に身体を造れたんだけど……。


「おはようございますユウカ様」

「ウゥン、ユウカおはよう……」


 そんな事を考えているとエレノアとアンナが目を覚ました。

 アンナはいつも通り私に挨拶をした。

 だがエレノアは少し眠たそうな表情で起き上がって挨拶も適当だった。


「おはよう二人とも」


 私は起き上がったエレノアとアンナにそう返事をした。

 すると突然部屋の扉を叩く音が聞こえてきた。

 そしてその次にソフィアが話しかけてきた。


「三人とも起きてる?

 ちょっと話があるんだけど……」


 あ、ソフィアさんか。

 何か用事かな?


「起きてますよ」

「それじゃあ入るわね。

 ………あ、もしかして今霊体なの?

 それなら」


 私はソフィアの問いかけにそう返答した。

 それを聞いたソフィアは扉を開けて部屋の中に入ってきた。

 そして入ってきたソフィアが部屋の中を見てベッドの上で動かない人形を見るとそう言った。

 するとソフィアは両目を閉じて神眼を開くと私とエレノアをそれぞれ見たあと私の身体を見て、


「………ユウカさん、寝る時は裸なの?」


 と言った。

 それを聞いた私は慌てて反論した。


「あ、いや違うんですよ。

 その、服を造れなくて。

 だから好きでこんな格好している訳では」

「ああ、ごめんなさい。

 勘違いしていたわ。

 亡くなったお母様がそうだったから……」


 危ない危ない。

 変な勘違いされそうだった。

 というか最後の情報知りたくなかったよ。

 今のところソフィアさんの母親で、だけどもう一人お母さんもいて。

 日本人で夜寝る時は裸っていう……何だろう、この強烈なキャラは。


「それで、いいかしら?」

「あ、はい。

 話でしたっけ?」

「ええ」


 ソフィアはそういうと近くにあった椅子に腰掛けた。

 その時には既に神眼は閉じていた。

 そして私の方を向いて話し始めた。


「ユウカさんには申し訳ないと思っているけど、頼みたいことがあるの。

 それはユウカさんにとっても大事な事だし、私もそうしてくれたら助かるわ」

「はあ……」


 何だろう頼みって。

 私にとって大事な………やっぱりこの裸はどうにかした方がいいかな。


「ユウカさんには………遺跡を破壊してほしいの」

「………遺跡って、あの遺跡ですか?」


 私はソフィアの言った事にそう返答した。


「ええ、森に無数にある遺跡の事よ」


 するとソフィアは私の返答にそう言って肯定した。

 私はそれを聞いて何故だろうと考えた。

 遺跡と私とにどんな関係が?

 それに破壊しろって………あの遺跡って主とかいるし簡単じゃないのでは?


「不思議に思うのは無理ないわ。

 まあ簡単に説明すると、あの遺跡を破壊して自分の立ち位置を示してほしいという訳。

 皆んなユウカさんが敵なのか味方なのか知りたがってるの。

 あの遺跡は森近隣の町に被害を与えてるし、破壊することが出来れば分かりやすく立場を示せるでしょ?

 まあ容易ではないと思うけど、そうしないとユウカさんに神の敵だとか言って斬りかかってくる奴が出かねない。

 神殿内ではユウカさんが森にいたとか言って回ってる輩もいるらしいし」


 え、誰だろうそんなこと言ってるの。

 まあ確かに森にはいたけどそれを知ってるのは骸骨さんとノアだけ………。

 でもそうか、立場か……。

 大変そうだけどノアや骸骨さんも危ないかもしれないしね。

 それにソフィアさんに迷惑を掛けるわけにもいかないし、頼まれるか。


「分かりました、やってみます」

「本当?

 それならありがとう。

 あ、でも今すぐにって訳じゃないからね。

 数日後にでも。

 ………あ、それと今日は天気もいいからちょっと私に付き合ッ」

「そうはいかないわよ」


 ソフィアがそう言いかけた時突然扉の方から声が聞こえた。

 それを聞いたソフィアと私達は声のした方へ振り向くと、そこにはソフィアの母親が立っていた。

 そして私がふと顔を見ると少し怒っている様子だった。


「あなたにはやるべき事があるでしょ?

 ユウカさんの事は私に任せてソフィアは自分のやるべき事をやりなさい」

「は、はい………」


 ソフィアの母親にそう言われて下を向きながらソフィアは返事をした。

 そして落ち込んだまま部屋を出ていった。

 ソフィアの母親をそれを不思議そうに見つめていた。


「珍しいわね、ソフィアが素直なんて……」


 ソフィアが部屋を出ていった後母親はそう呟いた。

 私はそれを聞いてどちらも大変そうだと思った。

 母親はソフィアさんの性格に苦労してそうだけど、ソフィアさんは仕事が大変そう。

 それにしてもさっき何か言いかけたような。


「ユウカさんが宜しければですが、この神都を私が案内しましょうか?」

「え、いいんですか?」


 そういえば遠くから見てた時に色々気になる所があったんだよね。

 海に浮かんでるところとか。


「一日で全部は難しいですが……」

「分かりました、準備します!」


 私はそういうと人形の体に入った。

 そして動かせるようになると、ベッドから降りてソフィアの母親に案内されるがままに神殿の外に出た。





 神殿の外に出ると道行く人々が仕切りにこちらを横目で見ていた。

 何だろう、なんか見られてる?

 そういえばさっきソフィアさんが色々言い回ってる輩がいるとか言っていたよね。

 だからかな?


「それではどこから行きましょうか?」

「あ、そうですね、先ずは海の」

「キャァ!!

 ソフィア様がァ!!」


 私がそう提案しようとすると突然ひとりの女性の叫び声が聞こえてきた。

 え、今ソフィア様って……もしかして何かあったのかな。

 取り敢えず声が聞こえた場所に。


「はあ、全くあの子は………」


 私が声の聞こえた方へ行こうとするとソフィアの母親は溜息混じりにそう呟いた。


「ユウカさん、少しここで待っていてくれませんか?

 恐らくソフィアが神殿を抜け出そうとして高所から飛び降りたんでしょう」

「そ、そうなんですか?」


 た、大変だなァ。

 というかそんな事をしてこの反応って。

 もしかしてこれが日常だったりする?


「ええ、私は様子を見てくるので」

「はい、待ってます……」

「全く、道理でさっきはあんなに聞き分けが良かったのね」


 ソフィアの母親はそう言って声の聞こえて方に歩いていった。


「ソフィアさんの母親もそうですが、ソフィアさん自身も大分変わっていますね」

「そ、そうだね。

 大分……」


 私はエレノアの呟きにそう反応した。


「ふう、どうやら声の方に行ったみたいね」


 すると突然背後からソフィアの声が聞こえてきた。

 その声を聞いて私は慌てて後ろに振り向くと、そこには満足気な表情をしたソフィアが立っていた。


「え! 何でここに?」

「話は後でね。

 それよりここから早く離れましょう。

 お母さんが戻ってくる前に」


 ソフィアはそう言って私の手を握ると、勢いよく走り出した。

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