魔王城・シリウスとリュミエール
「はぁ……」
リヒトたちが魔剣の試し斬りのために出かけた後、リュミエールは頭を抱えながら自室に戻る。
「どうなさいました?」
早速書類の束を持ったシリウスが現れる。が、リュミエールの少し異常な様子に気がつき、彼女に声を掛けた。
「リヒトが……魔剣を作った……」
「ほう……?」
シリウスの片方の白眉が、興味を持ったかのように少し上がる。普段あまり目元に変化を起こさないシリウスにしては、珍しい。
「それも……魔力を凝縮させた方の魔剣だぞ……あり得ないだろう……魔力を込めるのをやめても形が残り続けているのだ……」
「それは……大変興味深い。リヒト殿は今どちらに?」
「T17と荒野に出かけた。魔剣の試し斬りだと言っていたが……」
「そうですか……では彼が戻ってきたらいくつか話してみたいことがありますね」
少し残念そうな、けれども期待するような顔をしてシリウスは言った。少し呆れたような顔をして、リュミエールは話を続ける。
「どうせ剣術だろう? じいの剣術や体術は凄いが、リヒトの護身用程度に留めておいてくれよ」
「見透かされていましたか。まぁその通りです。彼の魔剣と剣術が融合した姿を、一度見てみたくなりましたから……魔剣の形はどのようなものです?」
「大きさは普通の剣と同じくらいだったな。反っていて確か……刀とかいう東方の剣に近いかたちだった」
「刀、ですか……」
シリウスの顔が、自然と楽しそうになってくる。彼の剣術や体術の多くが、東方で生まれたものだからだろう。存分に自身の技術を教え込めるのだ。
「まぁ程々にしといてくれよ? あれもこれもと教えられたらリヒトが化物じみた強さになってしまう。そうしたら魔王としての威厳が無くなるからな」
「ははは、なるべく自重しますよ。それより今はこちらの書類を……」
楽しそうなシリウスの笑い声が収まると、今度は魔王の「うぅ……やだぁ……なんでこんなに書類があるの……」という悲しげな声が聞こえてくる。普段と変わらない、平和な日々があった。
何日か遅れのハッピーハロウィン!(遅い)
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