ガラッドの特訓1
今朝も普段食事をしている部屋に行き、朝食を食べる。リビングルームの扉を開ける。
「へえ、こいつがリヒトかい?」
「ああ、そうだぞ」
普段は魔王様だけなのに、今日はもう一人大柄な青年が座って何か食べていた。時折拳から橙色の炎が溢れるように出ており、それが食べ物に焦げ目をつけている。勿体ない……と思ったことは、伏せておこう。
「そうか。俺はガラッドだ。この魔王の直属の部下って感じだ」
「えーっと、リヒトです。はじめまして」
ガラッドという名前は、どこかで聞いたことがある……けれど、思い出せない。
「おう。お前の噂は聞いてる。なかなか魔法が得意だってなぁ」
「まあ、そうですね……そこそこ得意ってくらいですよ」
ガラッドさんが疑わしそうにジロっと見てくる。
「ふーん……嘘は良くねぇとは思うけどな……まあそれはどうでもいい。今日はお前に特訓をつけろと魔王に言われたからな、来てやったわけだ」
「特訓、ですか?」
「そうだ。リヒトは魔法が得意だろう? しかし、今のリヒトのような魔法使いは近接戦においてはただの雑魚だ。というわけで、ガラッドには近接戦について色々特訓してもらうことにした」
魔王様が細かい説明をしてくれる。
「俺だけじゃねぇだろ、シリウスのジジイもだろ」
「そうだな。あの執事のシリウスにも、特訓してもらうことにはしている。が、まずはガラッドの技術から教えてもらうといい」
シリウスさんにも何か色々と教わる予定らしい。しかし、正直シリウスさんは筋肉がそこまで多いわけでも無いので、強くなさそうだ。
「今思ってることを当ててやろうか? 『シリウスはそこまで強く無いのでは?』だろ?」
「……! はい、その通りです」
ガラッドさんが見事に僕の考えていたことを当ててきたので、驚きを隠せない。
「まだまだ若造って感じじゃねぇか。あのジジイは、俺を子供扱いするほど強えぞ」
「は!?」
ガリガリでは無いものの『少しマッチョ』くらいの肉体のシリウスさんが、ガラッドさんを子供扱いするイメージが全く湧かない。
「まあ信じられねぇのも無理はないだろ。それより、だ。さっさと座って飯を食え」
「は、はい」
促されて席につき、そして朝食をとり始める。途中、ガラッドさんの魔国内での地位? や、戦闘スタイルなどについて教えてもらった。
ガラッドさんは、魔王様を支える四柱『四天王』のうちの一人だった。だから僕も名前に聞き覚えがあったのだろう。
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