理解可能
正直頭が働かないので、
自分の部屋じゃないしまあいいや。
と、思っていたが、
今はここが自分の部屋だった。
事はさておき、
なぜ荒らされたか。
金銭はない。
自分の身も恐らく大丈夫。
なら、何故。
荒らされた後を辿っていくと答えは簡単だった。
封筒が、その中身の注射器もなかった。
さらに中の注射液まではさすがに分からないが。
だが、昨日まであった物がない。
浦野さんに相談する事にした。
上に行くと浦野さんともう1人男性が居た。
「おはようございます。眠れましたか?」
「おはようございます。」
「ん?誰だこいつ。」
「紹介がまだでしたね。
昨日ここに来た子です。
先生の招待状もあります。」
「本当かよ?」
「彼女はもう僕らの仲間ですよ。」
「仲間、ねぇ…
俺は山蔭だ。」
「あ、山本です。」
「同じ『山』か。
んで、お前はどっちだ?」
「どっちって?」
「山影さんの方ですよ。」
「そうか、なら、尚更よろしくだ。」
「あの、一体何がどっちなんですか?」
「俺が人形人食種側で、こいつが上位種側だ。」
「え」
「ここには結構な人数が居るから、誰かが上に立たなきゃならないんでな。」
「僭越ながら。」
「そういう事だ。
よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。」
山蔭さんと握手を交わした。
「それでここに来たって事は、何か用があったんだろ?」
「あ、はい。」
事情を2人に話した。
「そんな物があったのか…」
「やはり、あの時私が…
いや、それも今更ですね。」
「…。」
「まあ十中八九、俺たちの方の誰かだろうな。」
「決めつけは「お前たちの方には何のメリットもねぇだろうが。」
「確かにそうですけど…」
「…仲間内で疑い合うのも気分が悪いな。
山本、ここは俺たちに預けてくれないか?」
「えっと。」
「私もそうして頂ければと。」
「じゃあ、お願いします。」
「悪いな。
寝床を漁られたのは気味が悪いだろうけど、
近い内に必ず分かるだろうから。
部屋変えるか?」
「いや、このままでいいです。」
「すみません。
何かあったらまた、なんでも言ってください。
「はい。」
きっとこれでいいんだろう。
「せっかくですから、何か朝食でも食べていきますか?」
「俺のも頼む。」
「お願いします。」
山蔭さんにはステーキを、
私にはサンドイッチを出してくれた。
「少し食べるか?」
と言われたさすがに遠慮した。
自分の中で何かが拒絶した。
何らおかしな所のない普通のサンドイッチにも抵抗があったが、なんとか食べられた。
「じゃあ、俺は狩に行ってくる。」
「狩?」
「何もおかしな事はないだろ?
食料を狩に行くだけだ。
俺たちが食う人間をな。」
「俺たちはそういう人種だ。」
吐き気がこみ上げる。
理解するよりも先に体が反応した。
頭では分かっていたが、気づかない振りをしていた。
トイレに駆け込んでさっき食べた物を吐き出す。
それ以外は無いはずなのに嘔吐が続く。
「しょうがねぇんだよ、こればっかりは。
生きる為だ。」
分かってる
分かっている。
「ここはお前みたいな奴らが来る場所だ。
だが、やっぱり最後には慣れる。」
当然だ、
生きる為だから。




