please kill me all the end
その温かさを知っていた。
だから聞こえなくても分かる。
「後は
頼ん、だ
夏七、子を
あや
ね
」
最後の最後
振り絞った
最期の最後
自分の心を
掴んだ
今の俺にはもう
彼女の血肉になる事しか
彼女の役に立てるとは思えない
だからせめて彼女が苦しまないように
自分で
彼女達には生きていて欲しいから
自分が
それがもっとも綺音を苦しめるのだとも
知らずに
「 あ ぁ あ … … 」… … _
サ イ ゴニ ヤ ット ワ ラ エ…タ ――
「きっと誰の心にも残らないよ。」
「私はそれでいい。
それなら死んだほうがマシだから。
だから、あなたが生きればいい。
私として。」
「それは出来ないよ。
真斗と同じ世界では生きられないから。」
「訳わかんないよ!どういう意味なの!?
好きならそんなの関係ないじゃん!!
だから真斗はこんなにも頑張って!頑張って、」
「だからだよ。
だから一緒には居られない。
そうすれば彼はずっと ずっとずっとワタシだけを愛し続けるから
私は真斗の心の中に残り続ける
」
「だから綺音は生きていて。」
そうして目が覚めた。
待てよ…待ってよ ウソつき、
嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき!嘘つき嘘つき嘘つき!!!なんで私が生きてるの!?なんで綺音なの!?
朱音は!?
真斗は!!?
どうして
なんで
どうしたって
片足しかない私を愛せる?
私は嫌だ。
それは愛じゃない
それでも私はいいと言う
嫌だ
愛してくれなくていい
私はただ
それでもただ真斗の側に居たかっただけ。
真斗が笑ってくれていればそれでよかった。のに。
もう真斗が笑う事はない。
「じゃあ死ねばいいよ」
胸を貫かれた。
さようなら、
私まだそっちにはいけない。
「何!?」
「お前が死ね」
それでも私は
真斗に
朱音に
楓に
『生きて』
と言われたから
「がぁっ!」
「死ね、死ね、死ね」
「あぁっ!っ!」
「私は、私は!」
「ああああああ!!」
「 ぁ !…!」
「……。」
俺はお前じゃない。
俺はお前じゃない、お前の両親もお前じゃない。
だから、世界は変えられない。
諦めたわけじゃない、ただ、受け入れただけ。
だから、諦めきれない。
待ってろ朱音、
綺音なら世界を変えられる。
身勝手極まりないけど、
今の俺はもう笑ってやることも出来ないから、
せめてお前の心の思い出として、、
都合がいいけど、だからこそせめて綺音には
生きていて欲しい。
心からの願いだ。
最後の願いだ。
今際にみた夢は夕暮れで
覚えている。
ここからの帰り道を。
覚えている。
帰った後のことを。
覚えていない。
帰った後の後のことを。
4人で仲良く食卓を囲んでごはんを食べる。
そんな夢を