ただ君にあい
きたみちも、ゆくみちも分からなかった。
それでもこの笑顔に会うために来たのだと分かった。
ただそれで、それだけでよかった。
だからもう、ゆくみちも、きたみちも分からなくていい。
私はここに居るから。
この笑顔に会えたのだから、
私はここに居なくてもいい。
後はもう何も要らないから。
「やっと終わったー!」
「お疲れさん。」
「待たせてごめんね。」
「別にいいよ。」
「ありがとね。
じゃ、帰ろうか。」
「ああ。」
「お腹空いたね〜。」
「そうだな。」
「いつもの、寄ってく?」
「いいよ。」
「やったー!」
「美味しい〜。」
「ああ。」
「やっぱりこの味だね。」
「ああ。」
「ここのお好み焼きならいくらでも食べれるよ。」
「お前なら出来そうだ。」
「そこは否定して欲しかったなー。」
「お前なら出来そうだからな。」
「もー!」
「ごちそうさまでした。」
「ああ。」
「わざわざ奢ってくれなくてもよかったのに。」
「ああ。」
「…。」
「…。」
「無理してない?」
「ああ。」
「じゃあ何で泣いてるの?」
「ああ。」
「自分でも分からない?」
「ああ。」
「そっか…」
「ああ。」
「ほら、
おいで。」
「こっちへ、
おいで。」
「っ…!!」
足が動かない。
力が入らない。
朱音が手を広げて待っている。
朱音が笑顔で待っている。
それでもただ立ち尽くす、
涙だけが溢れて震えてる。
朱音を見ていると、
綺音の事を思い出す。
朱音はもう居ない。
わかっている。
朱音は綺音じゃない。
分かっている。
綺音は朱音じゃない。
ワカッテイル。
わかっていたのに
ここまできてしまった。
「どうしてだ?」
朱音に聞いた。
「私は綺音じゃない。
私じゃ綺音にはなれない。
私じゃ真斗を笑顔に出来ないから。」
朱音は笑った。
それでも涙は止まなかった。
「いかないでくれよ…
ここまで来ていかないでくれよ…」
俺はただ、ただ一緒に居たかった。
俺は泣いていても、朱音が笑っていてくれるなら、
俺はそれで
「それは私も同じだから。」
「一緒に居てもまさとが泣いていたら意味がないから。」
「まさとには泣いて欲しくない、笑っていて欲しいから。」
「だからもう、
もう私の事はいいから、もういいから、」
「私たちは一緒にはいられない。」
「2人一緒に笑い合った事はある、でも、それはもう叶わないよ。」
「叶えてくれてありがとう。」
ダメだ、涙が止まらない。
嬉しいのに、悲しいのに、彼女がいってしまうのに、
涙が止められない。
笑っていられない。
いってしまう。
遠くへ、
手の届かない、
1人笑っていってしまう。
さようなら、
まさと 。
誰かに呼ばれる
「まさと」
背中が暖かい。
「まさと」
体が動かない。
まさと笑ってて
」声がする「
泣くのは彼女とあってから
あたしはもう泣けないから
」自分はもう泣いていなかった「
だから最後には笑ってて
」綺音は笑って言った「
あたしを思い出す時も笑ってて。
」悲しいはずなのに「
その顔を忘れない
」笑っていた「
最後に笑っていてくれるなら、
私はここからいなくなる。
「さよなら、まさと。
わたしをコロシテ」
」悲しいはずなのに、
笑えていた「
この想いは私のもの
私はそれでいい。




