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約束

 オレたち、火竜メテオを含めたオレたちは荒野に倒れていた。

 空は曇り空が覆い、怪しげな紫の光を放っている。


『ダンジョンは消滅した様だな』


 地に倒れ伏した竜が口を開く。


 あぁ、ごめんな。家ぶっ壊して。


 最後のオレたちの魔法。威力がありすぎてダンジョンごと崩壊させてしまった様だ。


 神獣の魔力を全て障壁に回したおかげでオレたちは無傷で済んだが、そこで魔力を使い切りクーとの融合は再び解けてしまった。


「休んでる暇はありませんわ。ココにマッドハートが現れるのでしょう?」


 そう言ってハピアが一本の瓶を取り出す。


 魔剤。……魔力回復剤だな。消耗した魔力を回復出来る劇薬だ。

 それをオレに飲ませてくれる。


「ちゅん(アタシの分は?)」


 クーには結晶化して休んでて貰おう。進化したばかりで力を消耗し過ぎている。魔剤の飲み過ぎは体に毒だ。


「わんわん(お前は少し寝てろ。危なくなったらまたさっきの頼むから)」


 クーが嫌々ながら納得してくれる。素直なところもあるんだな。


 オレは筋肉痛の様な痛みに耐えながら立ち上がる。

 治癒魔法でも抑えきれない程の疲労。だが動けない訳ではない。


 それに、泣き言なんて言ってられない。


「ようこそ〜! 魔族の領域まで遥々とありがとうございます! 首を長ぁ〜くして待っておりました〜」


 マッドハートが現れたからだ。後ろにはフードローブに身を包んだキャロが控えている。


 ハピアが剣を構え警戒する。


 オレは既にキャロと戦う覚悟は出来ている。


 戦いの中で語りかけ、キャロの正気を取り戻してみせる。


「わん(早い登場だな。ずっと見てたのか?)」


 オレは奴へと向き直り視線を交わす。


「えぇ、えぇ! 勿論ですとも! いやぁ〜最後のあなた方の魔法、素晴らしい物を見させて頂きました〜!」


 安定の芝居掛かった礼。そしてその動きがオレに苛立ちを与える。


「わん(約束通りここまで来たんだ。キャロを返して貰う)」


 オレは魔力を高めていく。大丈夫、まだオレの力は尽きていない。

 そしてそれはハピアも同様だ。


「えぇ、どうぞどうぞ〜。それはご自由に。

 出来るなら、のお話ですが」


 そう言うと同時に仮面の魔族がキャロのローブを外す。


 揺れるウェーブの金髪。真紅の瞳は闇色に輝きオレを見つめている。


 キャロで間違いないな。


 さあオレ、覚悟を決めろ。


 キャロを救う意志を持て。


 今日三回目の聖獣化だ。最初は一回やって力尽きたが、今回は覚悟が違う。


 想いの力が、オレの魔法だ。


「アリス……、アリス……。私の、敵……」


 虚ろに呟くキャロに表情は無い。


 洗脳が進行しているのか? 心を喰われているのか? わからない。


 だが何としてでも彼女を救う。


「わんわん(ハピア、マッドハートは頼んだ)」


 オレはキャロを見つめたまま告げる。


「えぇ、貴方はキャロさんをお救いなさいな」


 二つ返事で了承するハピアを見て、オレの心が熱くなる。


 キャロの両手に真紅の闇が灯っていく。


 キャロ、リベンジだ。


 お前の心を取り戻す!


 オレはキャロへと駆け出した。

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