霧の中
季節感を全く無視した今回。
でも、幼少期にかいだ、燃える稲の香りを思い出してしまったのです。
「焼穂」
稲穂が燃える
紅々と揺らめく炎の奥に
何処かへの焦燥が
垣間見えた
広がり続ける黒土
刈り終わった成れの果ては
じきにあるべき場所へと還る
夕夜の狭間で出会う景色
もうすぐ冬が来る
「現実に立ち向かう―冬の日―」
全てが凍る
一つとして例外は無い
冷え切った外気は
すぐさま体に纏わりつき、
動きを止めようとしてくる
たとえそれが
抗うべき意思であったとしても
「待ちわびる」
一人寂しく駅で待つ
灯りが一つ点いただけの
人っ子一人いない場所
来るはずのないものを待ちわびて
今日も私は
ここにいる
「焼穂」は秋、「現実に立ち向かう―冬の日―」と「待ちわびる」は冬のイメージ。
「焼穂」は思い出すようにして書きました。思い入れのある一遍です。「現実に立ち向かう―冬の日―」と「待ちわびる」は抽象性がありますね。いや、「待ちわびる」の方は少し設定を入れているからそうでもないのか。意図してあんな書き方をしていますが、駅で待っている「私」のイメージはどんなものになりましたか? 人によって、読む時の精神状態によって、詩の捉え方も変わると思うのですよ。それで試してみました。
―追記日 2017/4/16
脱字訂正。
-追記日 2018/1/9