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言物
「完言」
信じる者は救われる
その言葉に縋りつくものは
救われたいがためにしがみつく
井の中の蛙は
その場所が居心地が良いから外に出なかったのか
それとも、本当に外の世界を知らなかっただけか
言葉はいつだって
物事の一面しか捉えていない
注釈がついて初めて
全てがそろい、完成する
「完物」
欠けた器
こぼれ落ちる水
満たされていたものが今
外へとかえっていく
細く伸びる中指の先に
光を求めるのは
迷わずに逝けるようにするための
一つの方法だった
「完言」を書き始めたきっかけは、漫画『三月のライオン』にでてくる、(名前は忘れたが)鳩を飼っている人の言葉。意図する言葉の意味を完全に相手に伝えようとすれば、自然と長くなるはずって気持ちで書いた覚えがあります。
「完物」のイメージには人を重ねています。器は心、水は何だろう。ちょっと、わかりません。
―追記日 2017/3/30