その50
「リーナさん!こちらの肉が無くなりそうなんだけど、追加をお願いして大丈夫かな?」
わたしは大きく頷くと、ほろ酔い気味のロゼルナイト辺境伯城の料理人達に巨大な闇堕ちした聖獣達の肉の塊を頭陀袋から出して渡した。
「ありがとう!おーいっ!リーナさんから肉の追加を貰ったぞーっ!」
そう料理人が大声で叫ぶと、演習場で焼き肉食べ放題飲み放題の男神の歓迎会に参加していたロゼルナイト辺境伯城の騎士や使用人達から大歓声が上がった。
今現在、わたし達は男神の歓迎会の真っ最中なのだけど、せっかく焼き肉なので炭火焼きで食べたいなと思って白雀の籠で備長炭を作ったりBBQコンロを男神に作って貰ったり、ハムちゃん達に野菜等の準備をして貰っていたら、ロゼルナイト辺境伯城のお針子達が出来上がったハムちゃん達の騎士服を持って来たので、歓迎会だしロゼルナイト辺境伯城の皆んなでしようとなって現在に至るのだ。
「この様な美味い料理や酒があるとはな!我の知らぬ事はまだまだあるのだな!」
「せやで!リーナとおったら一瞬も退屈せえへんし、目から鱗もしょっちゅうや!」
「拙者もリーナ様と出会えて本当に本当に幸せでござる!」
「うん!僕もリーナと一緒にどこまでもどこにでも行きたいな!」
「あたしはもうリーナに一生付いて行くって決めてるのよ〜!」
(((((((あたし達もリーナ様に感謝してます!)))))))
こうして、演習場での炭火焼き肉食べ放題飲み放題の男神大歓迎会は夜遅くまで続いたのだ。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
『・・・もう朝か〜。今日も二日酔いとは無縁だね〜』
わたしは素晴らしきかな獣人生と思いながら起き上がると、隣りで白目でほっかむりをしてヘソ天で寝てる白虎を軽く揺さぶったけど、まあ、起きる訳が無いので風呂敷を引っ剥がすと二日酔いの薬を作って白虎の口の中に流し込んた。
「ブホッ!?あっ!リーナ様!おはようでござる!」
そして、わたしは次に演習場で転がっているニック達第一班の口の中に二日酔いの薬を流し込んでいった。
「リーナ!おはよう!本当にリーナの二日酔いの薬は凄いよね!」
こうして、夜が明けたばかりの演習場で転がってる他の騎士達や使用人達にも二日酔いの薬を飲んで貰う為に、わたし達は手分けしてその任務に当たったのだ。
『・・・これで全員飲んだかな?』
「せやな〜。俺様の記憶通りなら全員飲んどるな〜」
わたしは次々と起き上がって素早く後片付けを始める皆んなに、何て優秀な人達なんだろうと感動したのは言うまでもない。
『白龍、男神様と白亀はどうするの?』
「こいつらは無理っぽいな〜」
昨日の夕方から始まった大歓迎会の日付けも変わった頃に、男神は大酒飲みだったらしく、同じく大酒飲みの白亀と飲み比べが始まってしまったのだけど一向に勝負がつかないので、わたしは酒を出し続けるのが面倒臭くなり、あの前世で世界最高峰のアルコール度数を誇るお酒を出した所、男神は大喜びで飲んだ。
そして、白亀も二度目だからか一口で撃沈する事は無く、それでも五分もしたら二人一緒に演習場に転がってくれたので、その後はわたしも食べ放題飲み放題に専念出来たのだ。
『それじゃあ、しょうがないし、朝ご飯食べようか〜』
「せやな〜。まあ、死んどらんからいつか起きるやろ」
こうして、わたし達は二日酔いの薬を流し込んでもピクリともしなかった一人と一匹を放置して、ハムちゃん達が作ってくれてるだろう朝ご飯を食べに建物の中に入ったのだ。
『うんまっ!?このハムサンド、めっちゃ、うんまっ!』
(そちらのハムは男神様のレシピで作ったものなんですよ!)
『そうなんだね!男神様のレシピって凄いね!』
わたしは演習場に未だ転がってるであろう男神に感謝しながら、男神レシピのハムやチーズを使ったサンドイッチをお腹いっぱい食べた。
「ごちそうさまでした!それじゃあ、俺達は自主練するね!」
そう言って、ニック達もサンドイッチに大満足して帰って行ったのだ。
そして、ハムちゃん達も聖獣達もいっぱい食べたら眠くなったようで、それぞれ寝に行ってしまったので、わたしは一人で食後のお茶をのんびりと飲む事にした。
「・・・これは二日酔いと言うものだな。初めての経験だ」
「・・・そうね。完全に二日酔いよね。あたしも初体験よ」
わたしがのんびりとお茶を飲んでいたら、漸く目が覚めたらしい男神と白亀がヨロヨロと建物に入って来た。
そして、わたしが用意していた二日酔いの薬をもう一本飲んだけど、二日酔いは治らなかった。
「・・・腹は空いておるのだが、食べられる気はせぬな」
「・・・そうね。何か食べたいのだけど、食べたらヤバいわよね」
そう言って、二人はソファーに倒れ込んだので、わたしはしょうがなしに何か作ってあげる事にした。
『二日酔いの朝は、まあ、これだよね〜』
こうして、わたしが作ったカメ肉のお味噌汁と卵とじうどんを、涙を浮かべながら男神と白亀は飲んで食べてくれたのだ。




