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屍食いのスライムたん  作者: 津崎獅洸


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2/2

2:お金は大切ですからね


街から離れた場所に降りると皮膜のある翼を引っ込めて歩き始める。


「上手くいくかな」

『クズがいるから気を付けろ』

「ああ、お前を殺したやつ?」

『……』


そんなことを呟きながら街に近づくと後ろから髪を引っ張られる。


「おい、なんで生きてる」


見上げると人相の悪い大男。

というか、俺が小さいのか。


「誰、あんた」


そう言うと殴られる。

痛みはなく、ただ、地面に転んだ。


「碌な魔法も使えねえ雑魚がなんで生きてんだよ」


ん?おかしいな。タカオは結構魔法を覚えていたけど。


「どういうことだ?」

『私の魔力は封印されている』

「はあ!?」

「なんだよ!」


大男は俺を蹴り飛ばし俺は転がる。


「めんどくせえな!」


大男を足払いし蹴り飛ばす。

気絶した大男を見て、放置した。


「で、なんで、封印されてんの」

『魔力が強すぎてな。怖がられて、そのまま』

「その上で殺されたって?理不尽だな」

『まあ、人間なんてそんなものだ』

「ふーん」


なんかあったのか。

と言うか、こいつ人間なんじゃないの?


「お前、人間じゃないの?」

『……』

「ちょっと黙るなよ」

『はあ……この世界にはいろいろな種族がいる』

「うんうん」


聞きながら歩く。

口ごもるタカオはそれでも何とか言葉を紡いだ。


『私は、人間じゃない』

「へー」

『魔族、というやつだ』

「人間とは違うの?」

『違う。圧倒的に魔力が高いし、長命だ』


へー……外見は変わらないけどなあ。


「何で人間のふりなんかしてたんだ」

『言っただろ、魔力を封印された』

「誰に?」

『……魔王に』


ふーん。


「魔王ってどんな感じ?」

『私の魔力を封印した奴はわがままで面倒な性格だ。兄なんだが』

「へーそっかそっか。どこにいんの?」

『教えるわけないだろ』

「えー?俺とお前の仲じゃん」

『お前、会いに行くだろ』

「うん、魔力返してもらったらさ、お前生き返れるかもじゃん」

『無理だな』


おや?どうしたんだろ。

冷たい声に俺は首を傾げた。


「なんで」

『もうお前に食われたんだから』

「あー……まあ、なんかいい方法ありそうじゃん。それより、骨何処で買い取ってもらえるの?」

『冒険者ギルド』

「どこー」


道案内されつつ歩く。道行く人々が俺を振り返る。

なんでだ。

ゴワゴワワンピースのせいか。


案内されるまま大きな建物に到着する。


「ん、ここか?」

『ここだ』


ばーんと扉を開き、中の冒険者はじめ、ギルド員の視線がこちらに集中する。


「んんん?」

『目立ちたがりか?馬鹿め』

「んぎいぃいいいい」


ムカつく。まいいか。


「そーいや、お前の声って俺にしか聞こえないの?」

『当たり前だろ。私は、お前の中に住んでるだけだ。魂で話している』

「ほーん」


列に並ぶと前に並んでいた冒険者が2度見してから話しかけてくる。


「お前、死んだって聞いたけど」

「死んでない。良かったな!」


はっはっはと笑いながらふんぞり返る。


「……頭打ったか?」

「頭は打ったな」

「なんか、変になったな」


変人扱いだよ。


「そんなことないぞ」

「顔はいいのに、変人」


酷い言いようだ。

別の冒険者が笑う。


「元から変人だろ」

「ふん」


俺は鼻を鳴らし順番を待つ。


「タカオさん」

「ん、今はアタゴだ」

「……え?」

「アタゴになった」

「本当に変人ですね。何か御用ですか」


受付嬢に呆れたような顔をされ俺は憮然とした。


「ドラゴンの骨を買い取って欲しくて」

「は?」


空間からドラゴンの骨を取り出す。床に散らばる骨に受付嬢も冒険者たちも唖然とした。


「いくらになる?」


きらきらと受付嬢を見ると苦い顔をされる。


「鱗は?」

「え?」

「鱗。ドラゴンの鱗は高いですよ?」

「た……」

『食べたとかいうなよ、馬鹿』

「砕けた!!!」

『あ、阿呆!!!』


タカオがそういうも受付嬢は胡乱げな目でこちらを見る。


「ドラゴンの鱗が砕けた、と言いました?」

「えっ?」

『馬鹿馬鹿馬鹿!!!ドラゴンの鱗は魔法耐性が高い上に物理耐性もある!砕けるわけがない!!!』

「じゃあ、先にそう言えよ!!!」


怒鳴るとタカオは舌打ちをした。


「で?鱗はどうしたんですか?」

「スライムに食われた」

「はあ?あの森にドラゴンが出るだけでも不自然なのに、ドラゴンの鱗を溶かせるスライムですか。まあいいでしょう、骨は買い取ります」

「やった」


骨を拾い鑑定をする受付嬢はメモを張りそれからカウンターの向こうに戻る。


「金貨1500枚で買いましょう。赤貨15枚でいいですか」

「う、うん」


高いの?安いの?


『……馬鹿に教えておいてやるが、銅貨100枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚。金貨100枚で赤貨1枚』

「ほう」

『一週間質素に食ってくに必要な金は銀貨5枚だな。冒険者は基本的に家を持たないから、宿代で一晩銅貨10枚必要だ。これは最低ランクの宿屋の話だが』

「ふんふん」


タカオと話していると胡乱げな目で見られる。


「何と話しているんです?」

「妖精」

「はあ?」

「妖精の話はよーせー」

『殺すぞ』

「……」


下らんことを言って殺されそう。


「はい、赤貨15枚です」

「ありがとう」


お金を受け取り貨幣を見る。

赤い貨幣は六角形。


「丸じゃないの」

『銅貨、銀貨、金貨は丸だが、赤貨は六角形だ』

「ふーん」


金を空間に仕舞い靴を買いに向かう。


「靴欲しいんだけど」

『城に向かって、商業街がある』

「は?もっと分かりやすく言えよ」

『城に近いほど貴族向けの商業施設がある。案内する』

「わーい」


言われるがままに歩くと城が近づく。

まあそれでも遠いが。

高級街は身だしなみの整った貴族たちが歩く。

怪訝な顔で俺を見るので俺はまあそうだろうなと思う。


『この店。服から靴まで揃う』

「お、じゃ、ここで」


店に入ると背筋がピンと伸びた青年が立っていた。


「タカオ様」

「あ、タカオは死んだので俺はアタゴです」

「……?」


あ、説明が難しいな。


「まあ、とにかく別人です。今日は服と靴を誂えて欲しくて」

「なるほど。どうしましょう?何か素材はお持ちですか」

「何も持ってないです」


彼は微笑み、店の奥に引っ込むと布を大量に持ってくる。

ぷかぷか浮かぶ布はちょっと面白い。


「ご予算は」

「赤貨10枚ですかね」

『馬鹿』

「む」

『生活する金はどうする』

「さっきの話だと、金貨1枚あればしばらくしのげるだろ」

『まあ……それはそうとお前、自分の見た目分かってるか?』

「可愛いよね」

『……まあいい。お前は強いからな』


歯に物が挟まったような言いようだな。


ゴワゴワワンピースが脱がされ、布がまとわりつく。

ぽんと服が出来て、靴はブーツ。


「お!かっこいい」

「ドラゴンの皮のブーツです。魔絹の服で、デザインは流行りの物を」

「ありがとうございます」

「お会計は赤貨5枚で結構です」

「あれ?」

「魔絹の値段が下がったんです。魔界との交易が始まったので」

「へー」


赤貨を5枚渡し、俺は鏡をのぞき込む。


つるつるぷにぷにの美貌の顔。

アメジストの髪、琥珀の目。


「いくつに見えます?」

「タ、アタゴ様は幼く見えますね」


ぱっと見、12,3歳って感じだな。


「お前いくつなの」

『……いくつだったかな』

「痴呆ですか~?」

『殴りたい……』

「物理無効でーす!!!」

『くそ野郎』

「ひとりで楽しそうですね」

「あっお邪魔しました」


そそくさと店から出ていき、俺はどうしようかと考える。


「なんかしたいことある?」

『特には』

「思うに」

『なんだ、馬鹿野郎』

「魔力があれば、体を分裂させられる気がする」

『その根拠は』


俺はドラゴンを食べて魔力を感じた。


「ドラゴンを食べまくれば、イイ感じに魔力を得られるんじゃないか」

『その根拠を聞いてんだよ!!!』

「あ、ハイ。魔力が満ちれば、魔法が使えるだろ?つまるところ、俺の体を分裂させてお前を作れる気がする」

『ああ、分かった』

「お!話分かるじゃん」

『お前が能天気馬鹿なのが分かった』

「くっそ野郎が!!!」


俺はタカオと口論しながら道を下った。


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