歪む絆
「真っ暗だ、ん?ここどこだろう?」
真っ暗の中手を必死に動かし辺りの状況を確認する。
その間頭の中で今までの事を整理しようと必死になっていた。
( あれ?あたし今まで何してたんだっけ?えっと…)
(そうだ…皆とゲームしてて、それで…あぁ、そうか、あたし死んだんだっけ…)
それじゃぁすぐ戻るだろうと思い瞬きをするが、一向に景色が戻らない。
(あれ…どうしたんだろ…。)
不安にかられるなか、行く宛もなく暗闇をさまよっていた。
そんなことも知らずにアゲハとライトは再び状況を説明し、あの分かれ道で頭を悩ませていた。
「…ねぇちゃん…大丈夫か?」
「…大丈夫。」
暗い表情を見せて、全く大丈夫そうな顔をしていないライトを見て、アゲハはため息を吐くと分かれ道の看板に向き直る。
「どっちに行く?」
「…。」
「おい、聞いてるか?」
ライトは少し反応が遅れて聞き返す。
「え?何?」
「だからさ、どっちに進むんだ?」
その言葉を聞きながらライトは必死に考えを巡らせる。
(どうしよう。左側に行ったらスピードが早い敵がいる…右に行ったら攻撃が強いモンスターがいて、アゲハの守りは通じない…でも、今は…少しでも休める方がアゲハも良いはず。)
「み、右に行きましょう?」
「おう!」
元気よくアゲハが進み始めるとライトは引き留める。
「ま、待って!わ、私が先に行くから。」
驚いた表情を見せるが歩き出すライトを見て頷き、背中を追いかける。
いつからか二人ならんで歩くことも無くなったな。
そんなことをアゲハは考えながらライトの背中を見ていた。
一方ライトは周りを真剣に見回している。
(今度は絶対に!捕まえないと。)
無言で歩き続ける中ついにあの場所へと近づく。
次第にライトは緊張し始め、いつ襲ってきても良いように剣に手をかける。
(ねぇちゃん…どうしたってんだよ…ん?)
アゲハは何かの気配に気づき歩きながら後ろを振り向く。
(?気のせいか…。)
振り向いた所には何もいなかったが、そのまま後ろ歩きで、景色をボーッと見ていた。
(あー、いつになったらこんなの終わるんだ…はぁ。)
心の中のため息は本当に出て、 前に振り向き、また、ライトの背中を見る。
(ライム達もどうなったのかも分からねぇし…いったいどうなってんだよ…このゲームは、作ったやつはあれか?バカか?)
そう思いながら歩いていると、林の右横で黒い影が動いているのに気がつく。
(ん?あれって…さっきの!!)
「ねぇちゃん!」
アゲハの声がした瞬間その黒い影は一気にライトに飛びかかる!
「!やぁ!!」
だが、ライトは早々と剣を抜き、相手に向かって振り下ろす。
クリーンヒットとは言えないが、相手の足にダメージを与えることができた。
姿が露になった相手は左足が消えかかり、地べたに座り込む。
「え、す、すげぇな。」
「…ううん。」
内心誉められても嬉しくはない。
これは2回目だからこそ出来たことだ。
もうこれ以上アゲハが死ぬところを見たくない、ライトにはそんな思いが溢れていた。
「よし!俺も!…って!え!?!」
「…そんな…。」
二人が驚いているなか、モンスターの脚はみるみる回復していく。
足先まで回復するのは一瞬だった。
そこから攻撃にはいるのも素早くライトは反射的にアゲハの前へ行く。
「もう!やめて!」
剣と剣が交じりあい、相手とのいがみ合いになる。
「アゲハ!逃げて!早く!」
「な!なにいってんだよ!ねぇちゃんは!?」
「私の事は良いから早く!」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ!俺だってこんな奴くらい大丈夫だ!」
そう言うといきなりライトを押し退け呪文を唱える。
「マジックバリア!!」
アゲハの防御魔法はこのモンスターには効果があるようで剣を最初は通さなかったが、少しずつバリアに亀裂が入る。
「ぐ!…っ!クソ!」
(ダメ!このままじゃ…またあの時みたいに!!)
ライトは最悪を想像し、モンスターの横に回ると頭を目掛けて剣を一気に振り下ろした。
モンスターが消えると、辺りは静けさを増していた。
「はぁ、はぁ、い、以外とやるな♪今度あったら手加減しないぜ!」
調子に乗りドヤ顔を放つアゲハにライトはため息を吐く。
「…さっきの…どう見ても危なかったわよ…あんまり無茶しないで。」
暗い顔でそう言い放つと先へと歩みを進める。
「はぁ?全然余裕だったし!…ま、そりゃ、ちょっと、ヒビ入ったけどさ、あれだったら行けたぜ?」
「…うん。」
ライトの返事が不満だったのか、ムスッとしながらため息を吐く。
「…なんだよ、はぁ、せっかくねぇちゃんの事守ったのによ!」
アゲハは先々進むライトにそう言うと、ライトの足がピタリと止まる。
「なんなんだよ!ねぇちゃんのバカ!二人とも生きてるから良いだろ!?」
「…。」
ライトがゆっくり振り返ると、アゲハは少し身を引いた。
「え…ね、ねえちゃ」
「アゲハの………はぁかぁああああ!!!!!」
ライトは涙を流しながらそう言うと走って、先に行ってしまった。
アゲハも姉の泣いた顔と迫力に負け、茫然としていたが、我に戻りそこら辺の石ころを蹴飛ばす。
「な、なんだよ…俺は馬鹿じゃねぇよ…。」
そう呟くとアゲハはゆっくり歩き出した。




