槍と剣
「…の?…が…い?」
「…あ…?」
「聞いてる?」
は!
(やばい考え事してた!!)
目の前を見ると、心配そうに顔を覗き混むライトの姿があった。
「い、いぃや、なんにもねぇよ!!」
「…え?」
(は!間違えた!)
「…んんー、えっと、何だ?」
「…大丈夫?アゲハ…。」
「だ、だだだ、大丈夫だけど?」
「…んー、それならいいけど…どっちに進む?」
「へ?」
アゲハは言われた方を見ると二つの分かれ道があり、真ん中に看板が立て掛けてあった。
「右側にいったら滝があるみたいだし、左側に行ったら町があるみたいよ。」
ライトは看板を見ながらアゲハに質問する。
「俺ちょっと休みたいな、町に行こうぜ?」
アゲハがそう言うとライトはにこりと笑って快く承諾してくれた。
「そうね、それじゃぁ左に行きましょう。」
ライトは左側に進み始めるとアゲハも少し後に歩き始める。
内心は早くゲームを終わらせたいが、やはり先程の事が頭から離れられないし、正直精神的にも疲れているのが現状だ。
だから、今はどこかで一呼吸おきたい。
そう思いながらも、俯き加減で歩みを進める。
町まではあと、どのくらいなのだろうか。
(早めに着いてゆっくりしたいな…)
アゲハがふと前にいるライトの後ろ姿を見ると、だいぶ離されていることに気づく。
(お!ヤベェ)
アゲハが離されまいと小走りし始めたとき、
後ろから何かの気配を感じた。
(?何かついてきてる。)
足音は聞こえないが、何かがアゲハの後ろに着いてきているような気がする。
(何だ?モンスターか?)
アゲハは小走りを止め、一気に後ろを振り向く。
「来い!!」
「?どうしたの?」
「あれ?…いない。」
後ろを勢いよく振り向くが…後ろには何もいなかった。
ライトもいきなりアゲハが声を出してビックリしながら、アゲハに近寄る。
「?え、何?」
「い、いや、勘違いだった…。」
「そ、そっか…良かった。」
(あ、あれ?確かに気配がしたようなぁ…神経質になってんのか?)
とりあえずさっきのは勘違いだと思い、再び前を向き足を進めることに。
「アゲハ大丈夫?」
さっきのこともあり一層心配そうにアゲハの顔を見るライトにアゲハはため息をつく。
「大丈夫だって!」
少し強い口調になりながらも先に歩き出すアゲハを見て、心配そうな顔をしながらか後ろから着いていく。
(はぁ、もうなんでもいいからこのゲームをやめて本当に休みたい。)
それしか頭にないアゲハは横にいる奴の気配に気づくことが出来なかった。
(アゲハったら…本当に大丈夫かな…ん?)
ライトがアゲハの背中から右に視線を移すとそこにはアゲハと同じペースで移動している黒い物体が見えた。
(あ…あれって、さっきいってた。)
そう思った時、相手とアゲハの距離がどんどん近くなる。
ライトは危ないと思い、アゲハの腕を引き声をあげる。
「アゲハ!こっちよ!」
「ふぇ!?」
狙いが外れ道に飛び出したのは片方の腕が鋭い槍になった人形のモンスターだった。
「あ、あぶねぇ…。」
「さっきアゲハがいってたのは多分こいつの事じゃない?」
「あ、あぁ。」
二人とも体制を直し、いつ攻撃してきても良いようにする。
そして、向こう側が勢いをつけて二人に攻めよってくる。
ライトに攻撃を仕掛けてくるが力は強く、スピードもなかなかのものだ。
「…ぐっ!」
「メロディーボム!」
アゲハ特有の音符を爆発させる唯一の攻撃でライトは難を逃れる。
「あ、ありがとう。」
「いや、大丈夫だ。」
「?」
あからさまに話の辻褄が合ってないことに気づき、アゲハを見るど、額からは汗が出て本当に疲れきっている顔をしている。
(アゲハ…無理して…私が、私が守らないと!)
ライトは剣を強く握り、今度は自分から攻撃を仕掛けにいく。
「やぁーー!」
だが相手のスピードにはかなわず避けられ、アゲハの悲鳴が聞こえる。
「うわ!」
「アゲハ!?」
後ろを振り向くと、アゲハの前にモンスターが槍を振り上げていた。
「ダ、ダメ!」
ライトが方向を変え、剣を振り上げるが、向こうの槍はすでに降り下ろされていた。
その振り下げられた槍は一瞬の間でアゲハの胸部を貫通し、アゲハの体が消えるのも一瞬の間だった。
「い!いや!」
それと同時にライトの振り上げた剣は敵の体を引き裂き、敵も消えた。
「…。」
その場に座り込み、誰もいなくなった道でライトは自分の弱さに悔しさを感じて、泣くことしか出来なかった。




