選択肢
暗い王室…
ここはどこかのお城のある一角。
そこに奴はいた。
王座に座り込みなにかを必死に考えている。
あー、でもない、こうでもないと、考え込んでいるときだ。
奴は頭をふと上げ、目の前にでできたパネルのボタンを押す。
すると、目の前に一気に画面が広がり、明るくなる。
画面の光に照られた王座は綺麗と言うよりかは…何年も手入れされていないような…埃を所々被っていた。
「…このままでは…いけない、何とかしなくては…もっと、もっと、楽しいゲームをさせてあげるよ…そう、最高のゲームを…ね。」
奴はそういうとニヤリと笑い立ち上がりパネルをスライドさせてある写真を見ていた。
それは家族写真だろう。
どこかの庭で噴水の前に三人仲良く並んでいる写真だった。
左に男性、右には清楚な婦人が椅子に座っている。
二人の真ん中には…満面な笑みを浮かべる可愛らしい女の子の姿があった。
そのころ…四人は砂漠を抜け、海の上をさまよっていた。
絨毯の上に優雅に横になり寝ているアゲハは不意に目を覚ます。
隣の三人はこれからどこに向かうかと色々と作戦を練っているときだ。
アゲハの一声で事が大きく変わる。
「あれ?あんな塔…前見えてたっけ?」
三人はアゲハの言う方向を見ると…。
まだまだ先にあるようで…霧に囲まれあまりみえないが確かに高く突き抜ける塔がみえる。
「…もしかして…あそこが魔王のいるところなのでしょうか?」
ライトは目を細くし睨む。
「…かな?なんか、あそこらへん暗いし…それっぽくない?」
マカも、額に手を当ててよーくみてみる。
その時ライムは何故か違和感を感じた。
(あれ?何だろう…この風景…どこかで見たことあるような…??)
ライムは辺りを見回すと…昔…小さい頃…見たことあるような…実際に来たことのある気がする。
そんな不思議なことを考えるが、すぐに打ち消す。
(まー、気のせいか…)
とは思うものの…何だか気のせいではないような気がしてならない…。
「なー、位置も確認したところだし…ちょっと降りてみないか?」
アゲハが言うと全員賛成し…空から侵入するのは危険と判断し、四人は近くにあった陸地へと絨毯で降りていった。
そこは綺麗な海沿いに似合った町が並び、とても綺麗な町だった。
四人は町のすぐ近くの砂浜に降り立つと、早速町へと入って行った。
潮風の臭いと共に広々とした海…水平線を見ていると…心も落ち着く。
四人はとりあえず…買い物から始める事にした。
白をメインに作られた町並みはとてもシンプルで、所々に花や木が植えられて、自然豊かだった。
ふと、ライトがある店で足を止める。
「見てください♪ここ雑貨やさんですよ♪見ていっても良いですか?」
「可愛いー!いいね、見ていこうよ!」
「…まー、夜までまだ時間もあるしな。」
三人が雑貨や小物できゃっきゃっ騒いでいるなかアゲハはそんなものには興味もなく一人ベンチに座っていた。
「あー、暇だー。」
外見は女の子と言えど…中身は完全なる男の子。
当然アクセサリーなどにも興味はわかない。
こんな外見完璧女の子が町中のベンチで大股を開いておっさんのように座っているのを普通の世界でしていると…皆目を疑うだろう。
何分間して三人が戻ってくる。
なにも買わなかったのかとアゲハは思ったが…ライトの手には小さい小包を持っていた。
「アゲハー♪プレゼントー!」
マカがアゲハの元へ駆け寄り小包を開き何やら首にかける。
「…?なんだ?これ?」
自分の首に掛かった物を見ると…音符が付いたネックレスだった。
「似合ってるぞ♪」
にやにやと笑いを堪えながらアゲハを見るライムに一つ突っ込みを入れる。
「俺は女じゃねーよ!だいたいなんだこれ?」
「やー、なんか合うと思って♪」
「そー、そー、ピッタリだよー!」
そんなノリノリの三人にアゲハは「女とは恐ろしいもの」と頭に植え付け、取り敢えずは買って貰ったものは仕方ないとかけておくことにした。
「本当、女って奴は無駄遣いするもんだなー。」
小声で三人にきこえないように呟くと、四人は店を後にし、宿屋を求めた。
宿屋に着くと部屋に入り早速計画を練る。
途中の店で買った武器等を振り分けて、地図を開き一番早いコースから進んでいくことにする。
「この中の道で一番早いとなると…ここの崖沿いをいく方ですね…でも危険じゃないですか?」
ライトは指で道を辿りながら皆に相談する。
「んー、まー確かにそうだけど…さっさと終わらせたいしな…それにここだったら最後が森だから死角にもなる…攻めるんだったらこの道の方が効率はいいと思うぜ。」
アゲハの言う通り崖の先には広大な森が広がっていた。
いよいよ大詰めのようだ。
だが、他のルートを行けば…村もあり滝もあり城の裏手から回れる。
ただやはりそこにも崖はあり、鬱蒼とした広大な森がある。
遠回りをして新しいアイテムを入手してから攻めるか…。
2つの選択に分けられた。
だが結局はこの町をでたら崖を越えなければどうにもならない。
三人は崖を越えて取り敢えずはそこから決めることにした。




