勝利の朝日
さてはて、ジンギス・カンが乗っていた皿が空になり…お次は何が皿に乗っかるのだろうか?
「ジンギス・カン…貴方の犠牲は無駄にはしない!!さー、チキン!!!いくわよ!」
こけー!!
「ラジャー!」
いつかしら、ライムの言いつけを破り翻訳し始めるライト。
辺りは…もう、卵で惨劇だ…。
城の屋根も一部が大破し、そこから綺麗なお月さまが顔を覗かせていた。
(くっ!といってもどうすれば!?相手は強い!このままじゃ…チキンも…焼き鳥になってしまう!!もう…もう、ダメかも…)
マカが諦めかけて…目を強く瞑ったその時だ。
どこからかドタバタと足音が聞こえる。
5人…いいや、もっと大勢な…勢いよく…近づいてくる。
牢屋のなかにいた三人も気づき、音のする方を見る。
黒く蠢く影がだんだんと近づいてくる…。
「あ、あれは!!」
「村人ぉ!?」
みると、皆棒や鍋の蓋やお玉やらと持ってマカに向かって何か言っていた。
あっという間に牢屋は四方八方囲まれ、驚く三人。
住民は持っているものをマカに向かって伸ばし、各々顔に皺を寄せながら怒っているようだ。
「おらぁ!絨毯返せや!」
「てめぁー!よくもうちの家を荒らしたなぁ!」
「ごらぁぁあ!!てめぁ!商品を勝手に持っていきやがってぇ!!!」
「うちの息子の杖を返してください!!」
村人の想いが飛び交うなか…三人はこう思っていた。
(何したんですか!?)
その時…目を瞑っていたマカも声に気づき、㊦を。見下ろす。
すると、下には村人がマカに向かって腕を伸ばしていた。
(み、みんな…な、何でそんなに…)
「あたしを応援してくれるの!?」
「「「えええーー!」」」
どう頑張って見ても怒っているようにしか見えない住民の顔…それをマカは自分にエールを送っていると勘違いしたようだ。
そしてゆっくりと頷き、女王を見つめると、立ち上がり、今度は村人たちに告げた。
「皆ーーーー!!ありがとうーーー!!!!私頑張ります!!応援ありがとうございます!!!」
こけー!!こけ!こけーーー!!こけこけこっけーーー!!!
「いや、どう見ても応援してないと思う。」
ライムは牢屋のなかで呟くがマカには届かず。
「なにいってるんですか!?ライムさん!見てください!この歓声を!!」
「え!?え!?ライトさん!?」
(ダメだ…これは逝ってる…。)
「ね、ねぇちゃん。」
その時またしてもマカが口を開く。
「皆ーーーー!!私に力を下さい!そうだ!チキン!!!って叫んでーーー!!」
(あー痛い痛い痛い…痛いよぉー!マカ…。)
当然叫ぶわけが無いだろうと思ったアゲハは呆れ顔をしながらため息をつく。
その時偶然横にいた住人の話が聞こえる。
「今の聞いたか?チキンって叫んだらものを返してくれるみたいだぞ!?」
「よ、よし!さ、叫ぶぞぉ!!!!」
少し驚きを隠せなかったが…内心こう思った。
(お、俺よりもバカが!?)
最初こそ叫ぶものはいなかったが…たちまちその噂が広まり…チキンコールが、出始めた。
《チ キ ン!》
《チ キ ン!》
ライムとアゲハはチキンコールの嵐に驚き…圧倒されているなか…ライトは牢屋越しからチキンコールをしていた。
「チキン!チキン!」
「「本当におかしいよ!?この人!!」」
チキンコールを受けてマカは深呼吸をすると、女王に向きを変え…宣戦布告をする。
「女王め!あたしが成敗してやる!!いくわよ!チキン!」
コケー!
チキンは大きく息を吸うと…鳴き声をあげ体を膨らませる。
どんどん大きくなり、住民は恐れをなして…逃げ回る、もはやチキンコールも無い。
「さぁ!最後の絞めよ!チキン!!スーパージャンボエッグ爆弾よーーー!!」
ごげええええええ!
すると、チキンの回りに薄く膜が出来て、ものの数秒で殻になり、女王に向かって突進していく。
「…!!」
女王もこれには参ったようで…眉間に皺を寄せながら炎を繰り出す。
ジュ!!
だが、少しの炎では巨大な卵は煮えない…そのままスピードを落とすことなく女王に向かった。。
「いっけぇーーー!!」
卵が女王に触れた瞬間巨大な爆発音と共に、建物が崩れる音が鳴り響き、立派な城は一瞬にして無惨に崩れ落ちた。
最後の卵は本当に爆発したようだ。
村人たちは避難していたので無地だった。
マカも浮いているので、取り敢えずは無事…そして、三人も牢屋のなかにいたので難を逃れた。
悪夢は去ったのだ…。
瓦礫などで壊れたところから三人は抜け出し、跡形も無くなった城跡を見て…ライフが今あることに…奇跡さて感じた。
「やっ…たのか?」
「みたいですね。」
「すごい威力だな。」
三人が呆然と立っていると…マカが上から降りてくる。
気づけば朝方だった。
辺りは清んだ空気のはずだが…埃のせいで今は煙たい。
「やったね!これも皆のおかげよ!ありがとう!」
マカは三人に満面な笑みを浮かべると…村人の方を不意に見る。
そこには埃を被って、怒りが頂点になった住民が迫っていた。
「あ、やばい…いくよ!三人とも!絨毯に乗って!!」
マカは三人に絨毯に乗ったことを確認すると、すぐさま浮かび上がり、町を後にした。
「皆ー!ありがとねぇー!!」
住人に手を振っていると、横にいたライトが質問する。
「それにしてもマカさん…この魔法道具はどうしたんですか?」
「お店のひとからもらったんだー。」
その言葉を聞いて三人はやっぱりなと言う顔を見せる。
「怒ってた原因はそれか。」
「え?怒ってた?んー、まー、いいよ。」
「よくないと思うけど。」
「まー、何はともあれ♪脱出出来たんだから良いじゃない♪」
にこにこするマカに苦笑いを浮かべる三人達は朝日を背にまだまだ長い旅へと戻ってった。




