魔法の言葉
町外れの野原に二人の影が2つうごめいていた。
「まずは体を動かしてスカッとしよう!」
「…何がやりたいんだ?」
「元気付けてるんだよ。」
「どこがだ!全然そうには見えねーよ!!」
アゲハに突っ込まれきょとんとするが御構い無しにモンスターへと突き飛ばす。
「まー良いから行ってこい!!」
ポン
「えぇー、絶対にいじめだ…。」
取り敢えず目の前にいる敵は倒さないといけない、それに、ライムも戦闘に入っているようなので、しぶしぶ敵と戦うことにする。
(はー、俺は何でこんなことをしてるんだ。)
心底そう思うが今は戦闘に集中しなくてはと先程勝った横笛を吹く。
ピーーーー♪
笛の音と共に辺りに暖かい風が舞い、その中を無数の様々な花弁が舞い上がる。
そう、何とか道具屋の人から楽器型の武器の使い方を教えてもらい、今ようやく使えたようだ。
その綺麗な花弁の舞を見たモンスターは深い眠りへとおちる。
攻撃とは言えど、音使いはあくまでもサポートが重視だ。
経験を積み重ねれば強力な魔法も出せるようになるらしい。
…どこかの人が言っていた様な気がするが…。
眠りについたことを確認するとアゲハは持っていたナイフで魔物に突き立てる。
「オリャア!」
カキーン!!
「え!?!?硬すぎ!!!!」
やはり安物だけはあり、分厚い鎧は刃を折るほどの固さを持っていた。
無惨に転がったナイフの先を見て、嫌でも思い出す。
「…やってらんねー!俺戻る。」
「おい!待てよ!寝させたまんまだろ!?」
力を無くしたように町の門へと歩き出すアゲハの後を必死にライムは追いかける。
「どーしたんだよ、いきなり…。」
「慰めなんかいらない、元気付けも、もう良い…俺の事はもう、放っといてくれよ!!」
「放っとけないよ!!」
いつもとは違うライムの真剣な声にアゲハは振り向くと、そこには真剣な眼差しでアゲハを真っ直ぐ見るライムがいた。
「放っとけないって!それに…大切な人が傷つくのは私もよくわかる、きっとライムさんもアゲハのそんな悲しそうな顔見たら悲しむと思うよ!?」
アゲハはライムの言葉に疑問符を浮かべるが気には止めていないように目線を反らす。
「でも!アゲハのせいじゃないし。」
「俺のせいだ。」
今まで黙ってたアゲハが急に声を出したことに少し驚くライムに淡々と話し出す。
「俺が…武器を壊したせいで…全部俺が悪い、それに、言っとくがねーちゃんは俺の事嫌いだと思う…だから俺が悲しんでも何も思わないと思う。」
ライムはどんどん暗くなるアゲハにかける言葉が見つからずなんだか振り出しに戻っているような気がしていた。
「何で?そんなこと無い…。」
「ある!だってねーちゃんは…俺のせいで…。」
「え?」
「俺が弱くて泣き虫だから。」
服をぎゅっと握りしめ表情は俯いているためか分からない…でもきっと涙をこらえているんだ…そう考えるとやっぱりライムは元気になってほしい…そう強く思った。
「泣き虫でも…。」
「?」
顔を上げたアゲハの瞳にはやはり溢れそうなほどの涙が貯まっていた。
それを見たライムは意を決したように力強く話す。
「弱くても…良いんだよ、そんなの関係ない!それでも、二人は兄弟でしょ!?」
「…でも。」
「ライトさんはそれだけで弟を嫌ったりはしないと思うよ!もしもライトさんが弟を嫌いって言うんだったら…えっとーうん!!」
「一発かましてやれば良いんだ!!」
キラリとガッツポーズを決めると今度はアゲハに手を差し伸べる。
「は!?」
「だから!!顔を上げて!そんなにふて腐れてたら太陽に怒られるぞ!!」
そんなライムの当てずっぽうな言葉にアゲハは昔の事を思い出す。
懐かしかった子供の頃。
ライトがアゲハを慰めるときによく使ってた言葉…。
<もー、そうやってまたすねてる…。>
<グスン…すねてねーよ!>
<すねてるよ…そんなにすねてたら太陽さんに笑われちゃうぞ?>
<子供扱いするな!!>
<子供でしょ♪フフ♪>
<わーらーうーなー!!>
<よーし!追いかけっこだぁ!>
「…!…ふん!なんだよそれ、新種のギャグかよ。」
アゲハの突っ込みに顔を赤らめたがら全力で拒否する。
「は!?違うし!!」
「分かった分かった♪そう言うことにしとくよ♪」
涙を拭き笑みを浮かべるとライムはまだ顔を赤らめて焦っているようだ。
「だーかーらー!」
「でもさ…。」
「は?なんて?」
「別に…何でも無いぜ?」
その時後ろからマカとライトの声が聞こえる。
「オーイ!こんな所にいた!探したよー!!」
「お二人ともすみませんでしたー」
「あ!ライトさん!ほらアゲハ!今聞きなよ!」
必死に話を剃らそうとするライムにアゲハは手を差し出す。
「良いって!…それよりさライム。」
「んー?」
「…ハイタッチ!!」
「えぇ!?はい!」
息はあっていないが二人とも最高の笑顔でハイタッチを交わす。
パチ!!
(ありがとな)
一方マカとライトはその二人の楽しそうな光景をみて、お互いに顔を見合わせて不思議そうな顔をしていた。
「?なんか、ハイタッチして、楽しそうだね♪さっきまで喧嘩してたのに♪」
「ですね♪でも、楽しそうで何よりです♪」
「だね♪あたしたちもいこ!」
「はい!」
なにやらこちらも楽しそうにライムたちの元へと急いでいった。
四人とも輝く笑顔で。




