チュートリアル
本日二回目の更新です
やっとですがメインヒロインが登場します
「あった、ここがクリスタルの柱か……」
「へぇー、なんだか幻想的な場所だね」
ウィンドウでクリスタルの柱と表示された場所に到着した。
剣山のように鋭く、巨大な青いクリスタルの塊。
幻想的、というには少し物騒だがまあいいだろう。
「えーと、これに触れればいい……うわ!」
「そうそう、この塊に……うおっ!?」
クリスタルに触れた途端、身体が浮いたような感覚と共に視界へ光が差し込んだ。
光はどんどん増していき、最終的には目も開けられない程眩しくなった。
だが不思議とその光は苦痛ではなく、むしろ包み込まれるようだ。
「……ここは?」
「なにも、無い感じ?」
気が付くとさっきの広場とは違う場所にいた。
真っ白で何もなく、代わりに果てしなく広い空間。
転移だろうか?
しかし、この何もない空間で一体どうしろと……。
『ようこそ、スタシアの世界へ。チュートリアルを担当するモモカです。以後、お見知り置きを』
どうすればいいか困惑していると、突如空間内に女性の声が響いた。
恐らくAIだろう……が、それにしては話し方がスムーズだ。
「AI? にしてはかなり人間らしいね」
『そりゃあ、人間を元に作られていますし。桃ヶ池……? だっけ。確かそういう人物が出てくるWEB小説を参考に……』
「それは人間じゃねえ、キャラクターっていうんだ」
AIのボケ? が披露された。
このAI、思考までも人間らしいのか。
最近のAIは高度に発展したと聞くが遂にここまで来たとは。
しかし、参考にしたのがWEB小説って適当すぎる。
アニメとかラノベとか、参考にするならせめて商業作品にしとけよ。
「キャラクターならデザインとかも設定されていたりするのかな?」
『あー、デザインですか? 一応、というかボクは仮想世界なら電子実体がありますし……ほい』
そう言うと目の前が光りだし、手のひらサイズの美少女が現れた。
短いピンク色の髪、金色に輝く瞳。
手のひらサイズなのに出るところは出た女らしい体付き。
立ち振る舞いこそ上品だが、こちらを誘惑するような雰囲気を出しておりとてもAIとは思えない物だった。
「可愛いね……」
「ああ、こんな美少女AI作り出すなんて技術力やべえな……」
「ふふ、ボクの魅力に釘付けのようですね……なんというか、チョロい?」
「残念な所まであるのか……無駄に凝ってる」
「なんか今の発言引っかかるなあ。説明してくれませんか?」
一応、AIとしての誉め言葉のつもりだったのだが……まあ、感情の再現と考えればこれも凄い物だ。
と、感心している場合じゃない。
「おーい、モモカ。そろそろチュートリアルを始めてほしいんだけど……」
「えー、意地悪な主様には教えてあげませーん」
「主様って俺の事か……頼むからそこをなんとか……」
「どんな女の子よりも可愛いすぎるモモカちゃん、俺達チュートリアルをやりたいんだけど……ダメかな?」
「ふふ、よくわかっていますね♪ いいでしょう、お優しいマスターに免じてチュートリアルを始めようと思います。あ、主様もついでに」
おお、こっはーナイスだ。
ワザとらしい誉め言葉でここまで態度が変わるなんてAIもかなりチョロい物だ。
これもAI特有の欠点……いや、キャラの設定……?
ま、どっちでもいい。
「じゃあ何からやりますか? 調べた所、お二人共かなりVRMMOをやり込んでいるみたいですし」
「そうだな……じゃあシアターシステムについて詳しく知りたい」
「わかりました、ではシアターをご用意しますね。えい」
モモカがパチン、と指を鳴らすと何もない空間が一瞬で建物の中に変貌した。
辺りには大理石で出来た受付カウンターや額縁に造花の束、そして豪華なシャンデリア……本当に劇場のようだ。
「シアターでは色々な事が出来ます。歌やダンス等のショー、プレイヤー同士のバトル、武器やアイテム等の、開発や売店、シアタースタッフの作成、……まあ、拠点を発展させた物だと考えてください」
「ふーん、じゃあシアターのレベルを上げるとどんなメリットがあるの?」
「シアターは拠点みたいな物です。レベルが上がれば有能なスタッフが派遣され、より高性能な武器やアイテムが作成できます。また、シアタースキルが開放可能だったり……」
「つまり、レベルを上げないと何も出来ないってことか」
「そういう事ですね。スタシアにはNPCが運営するギルドやショップが一切存在しませんし」
なるほど、ここに来るまで何もない建物ばかりで妙だと思ったがそういう事か。
このゲームの基本は冒険、では無く拠点を育成するシュミレーション系。
重要な事の筈なのに事前情報でも教えてくれなかった辺り疑問に思った。
「後、スタシア完全攻略って何が条件なんだ?」
「あ、それ重要な事だよね」
「やはり主様とマスターもそれを狙っていましたか。でもまあ、基本的な事しかないですよ? 上もかなり甘めに作ったみたいですし」
と、目の前にウィンドウが表示される。
一体どれほど鬼畜な物か、と思っていると……
スタシア完全攻略条件
・シアターランクを最大のスターライトまで上げる
・武器、アイテムの全取得(トロフィーは除く)
「「え?」」
どういう事だ。
もっと鬼畜な物かと思っていたのに二つだけ……?
いや、分かりやすいといえば分かりやすいがこれは……
「簡単すぎない……?」
「ああ、まるで小学生が考えたような条件だ」
「そう思いますよね? でも社長さん曰く、“あらゆる事象を予測したらこれで十分”だと」
あらゆる事象……?
じゃあ三好杏奈は何が起こるか分かっているという事なのか?
「まあ、そんな事はどうでもいいんですけど」
「よくねえよ。もっと詳細を教えろ」
「そんな事言われても無理ですって。高性能で美少女なボクでも人間の思考まではわかりませんよー」
バツの悪そうな顔をするモモカ。
これ以上は本当に知らないようだな。
はあ、疑惑は残るがミッションは達成しないといけないしそっちに集中するか……。
「まあ先に職業選択に行きましょう! えい」
モモカが再び指をパチン、と鳴らすと【職業選択】と書かれたメニューウィンドウが現れた。
「ここで職業が選択出来ます。また職業レベルを一定以上上げた場合に行える転職もここでできます」
「へぇ……」
メニューウィンドウをタッチし、職業の一覧を見る。
剣士、重戦士、盗賊、白魔導士、遊び人……様々な職業が揃っていた。
「この操縦士って何? 聞いたことない職業だけど」
「操縦士はモンスターに乗って戦う職業です。モンスターの捕獲から始まるので、中級者以上の職業ですが使いこなせればなかなか強いですよ」
「へえー面白そうだね」
「まあ、最終的に戦闘機とかに乗るんでモンスター関係ないですけどね」
「いや世界観守れよ」
戦闘機とかもはやファンタジー関係ない。
確かにファンタジーとは言ってなかったが、中世風の世界なのにカオスすぎる。
もしかしてブラスターとかパワードスーツみたいな近未来兵器もあったりして……。
「お二人はミーチューバーですよね? なら、このランダム選択がオススメかと」
「普通に選択するのと何が違うんだ?」
「通常選択では出ないレアな職業が三つ存在します。ただし一回しかできませんが……動画的にはいいでしょう」
動画の事まで考えてくれるAIとか有能すぎる。本当にゲームのAIかよ。
しかし、レアな職業か。
ここで出せたらかなり有利だし、何より動画のネタとしておいしい。
「シンジョーこれやろうよ。なんか面白そうだし」
「そうだな、じゃあ二人でやるか」
「よし、じゃあ俺からやるね! ランダム選択!」
こっはーがランダム選択をタッチすると、職業が書かれたスロットが現れ回りだした。
ランダムで一回、なんかソシャゲのガチャみたいだ。
レアな物が入っていればどんな確率だろうと回してしまうあの悪魔のシステム。
なんかトラウマばかり思い出すな……。
「レアな職業来るかなー、わくわく」
「マスターなら出せますよ。何せボクのマスターですから♪」
「ありがとうモモちゃん! ふふっ」
気づけば二人共いつの間にか仲良くなっているし。
相変わらず、こっはーのコミュ力は凄いな。
流石、西山オフラインで人気の……なんか俺が悲しくなるから止めよ。
格差なんてない、平等に人気の筈だ。
確信なんてないが、俺はそう信じている。
「なあ、戦闘機があるってことは戦車もあるのか?」
「もちろんありますよ。なんなら衛星兵器だって再現可能です」
「……この世界ファンタジーだよな? なんでそんな物が……」
「まあ、ジャンルがカオスファンタジーですし……」
「そんなジャンル聞いたことねえよ」
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