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You love him.  作者: ずび
最終話 〜Scorning is catching〜
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14 最後の愛の呪い

 春は今更自分の季節の性分を思い出したのか、今日は気温も穏やかで風も弱い。

 散歩をするにはあまりにも絶好の行楽日和なので、ボクは一人、学校をサボって一日町中を歩き回った末、夕暮れ時に荒浜海岸の海水浴場にやってきた。海水浴シーズンではないが、この海岸にはそれなりに人が居る。

 ゴミ拾いをしている近場の家の老人。ドラマの撮影ばりに意味なく海際を歩く夫婦達。そして、海水浴場に至る道中の高波防止用の防潮堤の上と言う極めて目立つ場所に、ヤンキー座りの女が一人。

 ブレザー姿だと言うのに、堂々と口にタバコをくわえたその女は、水平線に沈み行く日と静かに打ち寄せる波を眼下に見ていた。その後ろ姿に、ボクは声をかける。


「こんなとこでサボリかい?」


 第一声はもう少し気を利かせるべきだったかもしれない。だが、彼女は十分に驚いたようであった。振り向くと同時に唖然と口を開き、くわえていたタバコが落下した。まじまじとボクの顔を見ている。

 ボクの、呆れたような微笑み顔を、まじまじと。


「……あ、れ?」


 東ちゃんは、死んだ魚みたいに濁った目を何度も擦って、それでまたボクを見た。丸々とした大きな眼は何度か瞬かせた後、合点言ったように目を伏せた。


「殴りに来たのか?」


 憎くて憎くて仕方ない。学校をサボってでも一発ぶん殴ってやらにゃ気が済まん。だからボクはこうしてわざわざ東ちゃんを捜す為に町を彷徨い歩いて、ようやくここに辿り着いた。……彼女は、そう思っているのだろう。


「んな事するかい、君じゃあるまいし」


 ボクは軽く笑いながら防潮堤によじ上った。一段高い所にあるからだろうか。そこは思ったより風が強い。運ばれてくる潮の匂いも、下の比ではなかった。まさしく、海、って感じがする。

 ボクが近付いても、東ちゃんは逃げようとはしなかった。もしもボクが彼女を殴りつけたとしても、彼女は抵抗しないだろう。罰だ、と言っていたから。


「君、今どんな気分だ?」


 ボクはせせら笑う。本当に、意地が悪く見えた事だろう。なんせボクの意地は悪い。昔話に引っ張りだこな、いじわるじいさんよりもよっぽど意地悪な男だ。

 東ちゃんはボクとは目を合わせないようにして、身体ごとボクに背中を向けてしまった。こうして見ると、彼女はえらく猫背である。きっと前世は猫だったのだろう。


「……言えねえよ」

「そうかい」


 ボクだけ立っているのは間抜けだったので、腰を落ち着けた。胡座をかくと、少し尻がジャリジャリした。


「ボクは今、多分今まで生きてきた中で一番清々しい気分だ」


 そう言って、ボクは背を向けている東ちゃんの肩を掴み、強引に引っ張った。

 彼女はなすがままにされて、そのままボクの方に倒れ込んでくる。

 酷い顔をしてやがる。無表情の人形に憂いの感情だけ捩じ込んだみたいな、悲痛な表情をしている。

 ボクは、そんな彼女をしっかりと抱きとめて。

 ちょっと固いけど引き締まった細身の体を、力一杯に抱き締めて。

 顔をこっちに向けさせて。

 訳が分からないと言いたげに呆然としている東ちゃんを真っ直ぐ見つめて。

 とても、満ち足りた気分で。


「愛してるよ、東ちゃん」


 彼女に優しく唇を重ねた。

 そしてそのまま。

 まるで二人は時間が止まったみたいに動かない。どっちも、呼吸さえ出来ていない。

 風で髪がなびかなければ、本当に時が止まっていると錯覚してしまったかもしれない。

 どれだけボクらはそうしていたのか。

 ボクはずっとそのままでも、いっそこのまま窒息死しても構わなかったのだが、東ちゃんはここで死ぬのはゴメンらしかった。自分が何をされているのかようやく自覚したらしく、彼女はボクの胸を突き飛ばして強引に離れた。荒い息を吐きながら、東ちゃんは目を白黒させている。


「な……なにを、しやがりますか……」

「何だその言葉遣いは」

「っせぇバーカ! 訳分からんわバーカ! んだよいきなり、キ……とか! バーカ!」


 壊れたオモチャみたいにバーカバーカと繰り返す東ちゃん。顔を真っ赤にして、目をあちこちに泳がせて、手をワタワタ振り回して。

 そんなカワイイ姿を振りまくな。またキスすんぞ。チューすんぞ。いっぱいすんぞ。


「つーか待て! アレ!? っつーか……アレ!? 何これ! 何なの先輩!」


 混乱したらしく、元々ボサボサだった髪の毛を掻き乱す東ちゃん。最早鳥の巣みたいな頭の彼女を見て、ボクは可笑しくて笑ってしまった。中身が鳥頭だから丁度良いってか。


「先輩、アタシの事、嫌いじゃ!?」

「いや。好きだよ。大好きだ」

「大っ……! そ、そっか……って、違えよ! なんでだよ! 読んだだろ!? 読んだんだろ手紙ぃ!」

「あぁ、読んだともさ」


 読まなければ、わざわざ今日東ちゃんを求めて学校をサボったりはしなかっただろう。


「愛のこもったラブレターだったよ。正直、キュンと来た」

「いやキュンと来たじゃなくて……そうじゃなくてよぉ。もっとこう……あるだろ! 私の事こう……なんだ、憎たらしくなったりとか」

「まぁ……そんな事もあったかもな。ははは!」


 ボクはゲラゲラ笑った。東ちゃんは未だ信じられないのか、自分の頬を抓って夢じゃないかを確認している。そんな古典的な方法を実践している奴は、初めて見た。それが面白くて、また笑えた。


「けど、世の中全部お前の思い通りになると思ったら大間違いだぞ?」


 ボクはそう言って、ブレザーの胸ポケットから一枚の封筒を取り出し東ちゃんに突きつけた。まだ未開封のその封筒には『海津利之様へ』と書かれている。それを確認した東ちゃんは、震えていた。生まれたての子鹿みたいな震え方だ。


「大変だったんだぞ、これ回収するの。優の奴、渡す寸前だったしな。あんなに必死で走ったのは初めてだよ」

「……なんで?」

「アイツらは今幸せの絶頂期なんだぜ? そんなラブラブカップルの仲を引き裂くなんて鬼畜な事、ボクにはとてもできない」

「いや、アンタの当初の目的がそれだったじゃん……」

「いいんだよ、もう。優はボクを必要としてないし、ボクも、もう優を必要としていない。ボクらは単なる幼馴染み。元恋人ではあるけど、終わった事だ」


 勿論、少しだけ寂しい気持ちはある。胸に小さな穴が空いたような苦しさは、多分そう簡単に拭い切れるものじゃないんだと思う。

 でも……これでいいのだ。

 一度は全て諦めると決めたのだから。もっと大事な存在を、見つけたのだから。


「それから、君のラブレターなんだけどな」

「そうだよ! それ! アンタ読んだんだろ!? ならなんで……」


 東ちゃんは必死だった。そんなにボクから嫌われたいのだろうか。それはそれでショックだぞ。


「東ちゃんの呪いの正体が何なのか、ボクの呪いの正体が何なのか、それは分からない。でも、この呪いは上書きが出来るんだ。じゃなきゃ、ボクの呪いでくっ付けた吉田さん達が別れる事はなかった筈だからな。ボクの呪いを君の呪いで上書き出来たように、君の呪いもボクの呪いで上書き出来た」


 ボクはブレザーからルーズリーフの束を取り出し、東ちゃんに手渡した。彼女はそれを広げて、上からまじまじと読み始め、やがて苦虫を噛み潰したような顔をした。


「これ、アタシが書いた手紙じゃんか……」

「裏面見てみな」

「裏?」


 紙をひっくり返すと、そこにも文言が書かれている。

 『堂島駿介へ 大好きです 東奈々より』

 まるでこむら返りを起こしたミミズが雀から必死で逃げ惑った痕のようなグニャグニャの酷い字だ。

 東ちゃんも読解にはたっぷり二十秒もかかった。


「これ……先輩の字か?」

「そうだ」


 ボクは、東ちゃんからの手紙を全て読み終えたあの後、すぐさまペンを取り、心が憎しみに支配されてくのに必死で抗いながら、その一文を必死にしたためた。たったの一文、文字に直せば十五文字だと言うのに、相当の体力を要した。脳の正気の部分が幽かに放つ電気信号は幾度となく人体の脊髄反射に妨害され、本当に一体その一文を書くのにどれくらい時間がかかったのか分からない。それでもボクはどうにか書き記し終えて、改めてその文章を頭から読み直した。

 そんな儀式的な行為には、勿論ちゃんと意味がある。


「ボクの呪いが成り立つ条件は、まずボクの直筆の手紙である事と、差出人と受取人の名前がある事。差出人の偽らざる気持ちが込められている事、そしてその手紙が差出人から受取人に直接譲渡されている事、中身がちゃんと受取人に読まれている事だ」


 だから、ボクは東ちゃんのラブレターを『代筆』したのだ。『東ちゃんがボクに渡した紙』に。

 この場合、東ちゃんは『差出人』になる。

 そして『受取人』であるボクは、『東ちゃんが直接ボクに渡した手紙』の裏面に書かれた『堂島によって代筆された手紙』を読んだのだ。

 結果的に、『東奈々』は『堂島が代筆したラブレター』を『堂島』に渡した事になる。

 『代筆する』と『譲渡する』のプロセスの順番が逆なので、上手くいく確信なんてこれっぽっちもなかったけど。

 それでも咄嗟に思いついたこの無茶苦茶な方法を試したのは、まさに功を奏したと言えるだろう。現にこうして呪いは完成してくれた。東ちゃんの呪いはボクの呪いで上書きされてしまい、ボクは今、猛烈に東ちゃんが愛おしい状態にある。

 それこそ、一日中彼女を捜す為に町を歩き回ってしまう程に。


「携帯着信拒否にしてんだろ、君。手がかり無しで探し回るのは骨が折れる。今度からは控えてくれ」

「なんで……?」


 呆然としていた東ちゃんが、息苦しそうに胸の辺りを押さえて、ギュッと目を瞑る。段々息が不規則になってきて、目からは大粒の涙が一つ零れた。


「どうしてこんな事したんだよぉ……」


 ボクのした事を理解してくれたらしく、東ちゃんはそのまま大泣きし始めてしまった。彼女がこんな弱々しい泣き声を上げたのは初めてだ。やさぐれた女の子だったが、一皮むけばそこには極々普通の女の子が居て、ボクはむしろ少し安心した。


「……嫌だったか、東ちゃん」

「それじゃぁアンタが報われねえじゃんかよぉ……」


 鼻水を垂らしながら、それでも彼女は続けた。


「ずっと好きだったのに、振られて……取り戻す為にずっと頑張ってきたのに……もう良いじゃんかよぉ。幸せになってくれよぉ……アタシはもう十分だって、言ってんのによぉ……」

「……自分の納得いく結果になりゃ全部ハッピーって訳じゃない。いつかの君が言った言葉だぞ、東ちゃん。君も、ボクに負けず劣らず身勝手な奴だってことか」


 ボクはまた東ちゃんを抱き締めた。胸が熱くなる。心臓が激しく脈を打つ。ボクの胸の中で、東ちゃんの泣き声と不規則なしゃっくりが聞こえる。

 あぁ、幸せだ。

 こんなに幸せなのは一体いつぶりだろうか。なんの憂いもなく、なんの懸念もない。今やヤニの匂いさえ気にならない。


「君の事を嫌いになるのは、何がなんでも嫌だった。もし回避出来るんなら、呪いでもなんでも使う。ボクに出来る事ならなんだってやってやる。誰に憎まれても……君に憎まれてもいい。ボクは、それくらい君が好きだ」

「…………その感情だって、結局は先輩自身の呪いのせいで」

「それは違うぞ、東ちゃん」


 ボクは少しだけ語気を強めた。

 これは、ボク自身のナチュラルな感情なのだ。誰に操作されたものでもない。今だけは、自信を持ってそう言い切る事が出来た。


「じゃなきゃ、ここまで頑張れなかった。君から貰った手紙に抵抗なんてせずに、受け入れていたさ。そんで君の思う通り、多分何食わぬ顔で優と寄りを戻していただろうな」


 ボクの心を塗りつぶした東ちゃんへの憎悪は決して容易く退けられるものではなかった。なにせ、実の両親でさえも虐待の鬼へ変えてしまう程の強烈な洗脳なのだから。

 それでもボクが頑張れたのは、ボクが呪いの存在を知っていた事は当然として……彼女の想いを知った事と、自分が抱えていた気持ちと向き合う決意が出来た事、主にこの二つの支えがあったからだろう。

 どれが欠けてもボクはここまで辿り着けなかった。この激動の日々は、なんだかんだ言って人に多大な迷惑もかけたりもしたけれど。

 ボクの運命には、なくてはならないものだったのかもしれない。


「だから、さ。ボクと付き合ってくれないか、東ちゃん」


 言葉はさらりと自然に飛び出た。そして自然な佇まいで、東ちゃんの自然な返事を待つ。


「……本当に、良いの? アタシなんかで……」


 東ちゃんは、ボクの呪いを受けたとは思えない程にばつの悪そうな声でボソボソと返した。

 どうやら心の底から奥手な娘らしい。それはそれで楽しみが増えた、なんて思うボクはやっぱり意地悪な男である。


「君じゃなきゃ嫌だ」

「怒ると手ぇ上げるぞ」

「もう慣れたさ」

「体、傷だらけだぞ」

「構わないよ」

「……多分、その……結構、あ……甘えるかも、だけど」

「むしろ嬉しいね」

「あ、あああ頭悪ぃし、性格キチぃし、髪パッサパサだし、先輩より強ぇし、女の子らしさなんてないぞ、アタシ」

「安心しろ。ボクは君の良いところだって、沢山知ってる」

「メシも作れねえし、掃除も出来ねえし、洗濯とか超適当だし、アイロンは怖いし、子供嫌いだし……」

「なんだ、気が早いな。もう嫁に来るつもりでいるのか」

「ヨっ……! バカ言ってんじゃねえバカ島!」

「残念だけど、そう言うのはお互いもう少し大人になってから、な?」

「ううう、うっせーんだよ! んなのこっちから願い下げ……って、訳じゃないけど……その……えっと……」


 また殴られると思ったが、予想に反して東ちゃんは黙り込んで俯いてしまった。耳まで真っ赤になっているその様は、実に愛おしい。


「で、早く返事聞かせてくれよ」

「……もう、言ったし」

「いや、何も言ってないだろ君」

「手紙の中で言った!」

「あれは、返事とはちょっと違うような気もするけど……」

「察しろバカ」

「そこはもうちょっと頑張ってくれよ。ほら言ってみ、先輩大好き愛してる、さん、はいっ」

「…………無理。恥ずか死ぬ」

「初めて聞いたわ、そんな死に方」

「無理なもんは無理なんだよぅ……」

「……そうかい」


 君がそれで良いのなら、それで良いや。

 ボクはもう一度東ちゃんの顔を上げさせて、唇を重ねた。

 西日が少し目に染みて、ボクらは二人ともずっと目を瞑っていた。風でなびく東ちゃんの髪が、少しくすぐったかった。



  *




 結局、呪いの正体は分からないままだ。

 結局呪われたカップル達は、存在したままだ。

 結局ボクは、最初の意志を貫く事はできなかった。

 結局ボクは色々な人に迷惑をかけて、罪を償う事さえしていない。

 結局……いや、もう止めよう。きりがない。

 ボクの奇妙な日常はもう終わりを告げたんだ。

 ボクが成すべき事は、呪いの解明なんかじゃない。

 呪いの解呪でもないし、幼馴染みの尻を追っかけ回す事でもない。

 隣に居てくれる愛しい人の傷を癒すのが、これからのボクの仕事なのだ。

 だからボクの呪われた物語はここで幕を閉じる。

 もう、後ろは振り返らない。振り返っている暇なんて、ない。

 だってきっと、これから始まる物語は。

 きっと、今よりはもう少し明るくて。

 きっと、もう少し静かで。

 きっと、もう少し救いがあって。

 そして……もっともっと愛のある物語なのだろうから。

 ご読了ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。

 これで堂島駿介君の物語は終わりです。

 タイトルの通り、人を呪わば穴二つという言葉もありまして。

 呪い続けた堂島君は結局最後に自分を呪ってしまいました。

 これからの人生、彼は永久に、死ぬまで、例えどれほどの事があろうとも東奈々ちゃんを愛し続ける事でしょう。

 東奈々ちゃんも同様です。彼に呪われた以上、もう呪いを解こうなんて気もきっと起きないのですから。

 果たしてそれは、本当に愛し合っていると言っていいのか。

 この結末が果たして本当にハッピーエンドなのか。それは読む人次第といった所でしょうか。納得いかない人もおおいにいると思います。

 身勝手に他者を呪い続け、その報いを未だに受けていない堂島君に真の罰が下るのは、きっともう少し先の事。

 誰かしらに刺されて命を落とす未来が待っているような気がします。それだと東ちゃんが可哀想なので、もう少しマイルドかもしれません。

 けど、この話は終わりなので、そんな先の話、ずびは知りません。ぷー。



 以下、ダラダラ反省文とか言い訳とか。話の余韻を感じてくれている人が居ましたら、見ない方が良いかもです。



 内容の話。

 僕は案外乙女チックな性格をしています。アロハを来て外に出るとヤの付く職業の人と勘違いされる(された)外見の癖して、少女漫画とか読み始めるとドハマりするタイプの野郎だと思います。

 「恋を叶えてくれる魔法」が本当にあったら、なんて甘々乙女チックな事を考えると、こうなった。ならば、一体どこまで無茶苦茶な恋を叶えてくれるんだろうか。

 そうやって考えたら、碌にプロットも組まずにさっさか書き始めてしまいました。と言うかほぼ成り行きです。成り行きで最後まで突っ走ったせいで、微妙にパンチの効かないラストになっちゃったのです。



 主人公(堂島)の話。

 「ちょっと頭オカシくて、皮肉っぽい男」を目指しましたら、こんな風。なんでこんな奴がモテるんだろうか。自分で書いてて大いに疑問になりました。きっと物凄くイケメンなんです。そうに違いない。そうじゃないとやるせない気分になる。

 余人には理解出来ない理由で闘う孤独のヒーロー。実は書き始めた当初は目的無く、ただ単に人の恋心を弄ぶクソ外道野郎だったのですが、あんまりにもあんまりな人物になってしまったので、ボツ。

 そのへんの話は第四話の話にて。



 ヒロイン(東)の話。

 「話に直接絡んでこない、主人公の相方」を目指しましたら、こんな風。かと思ったら最終話で覚醒しました。これは予定調和ですが。

 どうでも良いけど、フランクな女の子って良いよねっ!



 キャラクターの話。

 無茶な恋愛をしている奴ら。

 シチュエーション作りの為だけに存在していると言っても過言ではなかった。それくらい個々のキャラクターがペラい。背景設定とかは全然練ってません。唯一頑張ってくれたのは紺野薫ちゃんだけです。



 第一話の話。

 四股をかけられた女達の憎しみが垣間見える話。

 リア充も楽じゃないんです。別に複数の人と関係を持つのがリア充とは言いませんが。

 主人公が複数のヒロインから好かれるライトノベルって、現実に還元するとこんなじゃないかと思いながら書きましたらこんな感じ。

 ぶっちゃけ、ただの導入部。導入部にしては話の入り方が超唐突。

 堂島君のせいで絶望的な恋愛をしている奴がいますよアピール。ツッコミの東。

 そんな話。



 第二話の話。

 金持ち特有の政略結婚(結婚じゃないが)の話。

 上流階級の話って必ず一定の需要があると思うんです。でもだから書いたって訳でもないです。本当に。

 背景にバラが飛び散る感じのお話が書いてみたいと思ったらこんな感じ。つまり、無理だった。

 普段堂島君はこんな生活をしているんですよアピール。ツッコミの東。

 そんな話。この辺りまでは本気でプロット無し。



 第三話の話。

 堂島君の変革の話。

 ホモさんをノーマルへ変えてやろうと必死こく話。

 個人的にはホモが好きとか嫌いとかは無いですが、でも実際自分の友人がホモだったらなぁ、と思って書いたらこんな感じ。友人すまぬ。でも多分みんな現実にこういう事態に遭遇したら、こんな感じだと思うんだ。

 ちょっと堂島君の人となりに関わる、クライマックスへの伏線を張り始めるあたり。ツッコミの東。

 ここからちょっと考えた。先の展開とか。



 第四話の話。

 堂島君の始まりの話。

 絵に書いたような美人幼馴染みの恋と、その彼女との別れの話。

 この辺りに堂島君が頑張る理由(幼馴染みがうんたらかんたら〜)が出るんですが……。

 この設定は書いている最中に思いついた、いわばあとづけです。

 堂島君が頑張る理由が無いと、本当にタダの下衆野郎一直線路線だったので。

 あとは恋愛ゲームのステレオタイプに対するアンチテーゼ……って言うと格好良く聞こえますが、これは単にボクが捻くれているだけです。

 最近不遇と言われる幼馴染みポジションのヒロイン。でもボクは、大好きですヨ?



 第五話の話。

 堂島君の閑話。

 死んだ幼馴染みと、それを追いかけようとする女の話。

 これは結構早い段階から思いついていた話だったのです。

 堂島君がタダの外道設定だった頃は、自殺志願の阿部にラブレターを嬉々として書いてしまったんです。

 その後阿部は段々と幼馴染みを失ったショックから立ち直り始めて、新しい恋にも目覚めたりするんですが、そこにラブレターの呪いが発動。

 死んだ幼馴染みと結ばれる為に、阿部は様々な不幸に会い、最後には……ってプロットでした。

 でもそれだと堂島君が殺人者になってしまう訳で。流石に同情の余地も何もなくなってしまう為、その設定はボツ。

 結果として少しだけヌルい話になってしまいました。



 第六話の話。

 堂島君の締めの話。

 ここでやっとこ真ヒロイン東ちゃんの話。

 開始当初は外道堂島駿介が東ちゃんの崩壊した家庭を修復する話だったんですが、堂島君の設定が変わったので話も大幅に修正。

 その頃は東ちゃんとくっ付く直接的描写はなくて、二人の仲の進展の暗示、程度だったんですが、展開の成り行きでこんな感じに。

 そのせいで伏線の回収の仕方が雑。とんでもなく、雑。最後の方の手紙とかが、もうアレな感じです。

 お話をちゃんと考えましょう。



 ボツの話。

 実はもう一話、ありました。

 超高性能な疑似人格を搭載したコンピューターが堂島君に、開発者へのラブレターを代筆してくれと頼むストーリーです。

 結末は特に考えてません。それ以前にボシャッたので。



 まとめ。

 単なるエンタァテイメントとしては微妙なところ。

 書いていて楽しい文章と読んでいて楽しい文章は全然違う。

 今度からは読んでいて楽しい文章を目指していきたいですね。



 色々書きましたが、なにはともあれ、こんな下らない後書きまで読んで頂き、感謝し切り。ありがとうございました。ホントに終わりです。

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