31話 翌日自宅にて 20
う、わー。
ご長男さんです。きょうだい思いのご長男さんがここにいらっしゃいます!
家を継ぐ自覚をちゃんと持って、弟さんや妹さんを守ろうとする、ご長男さんが私の目の前に!!
すみません、私、今とっても感動しています。
むか~し昔(お祖父ちゃんや曾お祖父ちゃんの頃)、農家は長男が全てを継いで、次男以下はよそへ奉公に出るというのが当たり前だった。
今は、大学まで進学して、そのまま都市部で就職して結婚して家を買って子育てして……長男といえども必ずしも‘百姓’にならなくなってしまった……伯父さんみたいに。
もちろん、今は昔みたいに農業だけで生活していくのが難しいっていうのは分かっている。
……でも、60代70代のお爺ちゃんお婆ちゃん達が、‘都市部に出ている息子さんが帰って来て継いでくれるかもしれないから’って懸命に田畑を守っている姿を見ていると。そして、山の手の方の機械が入れない田畑の面倒が見られなくなって耕作放棄地――手入れされないまま荒れていく田畑――を目にすると。
どうして皆ほったらかしにできるのだろう、帰らずにいられるのだろうかって、思ってしまう。
あ、皆が皆そういう人たちばかりじゃないのも知ってますよ。
慶くん――ハトコの慶一くん、祥くんのお兄さんね――は大学を出た後地元に戻って来て農協に就職し、土日や農繁期には小父さん――慶くんや祥くんのお父さん――のお手伝いをしていて、ゆくゆくは家を継ぐって言っている。
それに祥くんも、次男だけどやっぱり大学卒業してからこっちの役場に就職して、仕事がお休みの時――農繁期にはお休み取ったりして――手伝っているし(あくまで‘手伝い’で、公務員の‘兼業禁止’に抵触しないとかなんとか言っていたけど、本当に大丈夫なのかな?)。
でも、日本の農業の現状を見れば‘後継者不足・担い手不足’というのは深刻な課題で。
それに加えて、一人っ子の私にとっては弟や妹を守る‘お兄ちゃん’というのは‘自分にもいたら良いのに’という憧れの存在で。
だから、そういう諸々――連綿と継承されてきたものを担う自覚と下のきょうだいたちへの思いやり――を体現した公子サマに。そういう存在が自分の目の前に居るということに。
すっかり感動してしまったわけですよ。
そんな状態だった私なので。
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「そういうわけですから、私の‘病気’克服のために、ぜひ貴女に力を貸していただきたいのです」
と公子サマに言われて、
「はいっ!私でできることでしたら喜んで!!」
って答えてしまったのも無理はないことです……よね?
あれ?
あの~祥くん、どうして右手で目を覆って「あちゃ~」みたいな表情しているんでしょうか?
それに、私の返事を聞いた公子サマ。浮かべたスマイルが‘にっこり’王子様というより微妙に‘にやり’悪者系寄りに見えるのは、私の気のせい…です……よ…ね??
え~っと。
もしかして私、何か早まったんでしょうか???
せめて週一更新をと思うのですが、とんでしまって心苦しいです。
職場の配置換えがあり、予想もしなかったところに動いて仕事を一から覚える羽目になりました…orz
多少残業しなければならないかもしれませんが、一応カレンダーどおりの連休(のハズ)ですので、今のうちに少しでも進めたいと思います。
今しばらくお付き合いいただけるとありがたいです。