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18話 翌日自宅にて 7

 公子サマたちの国は架空のものです。

 人名についても、完全にフィーリングで付けています。

 異なる国の人名が混じっていたり、実在しない名の可能性大ですが、つっこみはお心の内に留めていただけるとありがたいです。


 学生時代に海外にホームステイしたことがあったはずの祥くんはどう思ったのかな?

 そう思ってちょっと見てみたら、向こうも横目でこちらを見ていた。口元が何か言いたげにひくりと動いた気がしたけれど、結局発言は無かった。

 ……やっぱり珍しいんでしょうか?あの紹介。まぁ、お国が違えば風習も違うということで。


『-------------------』

「この者はユーリ・リョウト・ブラント」

 次にセパシウスさんが示したのは公子サマの右隣に座る通訳少年。

『----------,-------------------------』

「祖父が日本人で、日常会話程度の日本語であれば不自由なく話せます」


 いわゆる‘クオーター’ということですね。

 黒髪黒目だ――目が一重なのは特に日本人らしい?――けど、やや彫りが深い顔立ちとか白い肌とかは残り四分の三の血の賜物なのだろうと納得。

 まっすぐな髪を肩くらいまで伸ばして首の後ろで一つに括った髪型は日本の子供ではあまり見ないものだけれど彼には似合っているし、着ている黒いスーツ――襟元に結んでいるのは普通のネクタイじゃなくて紺の紐をリボン結びにしたものだから制服にも見えるかな?――とも相まって小さな執事さんにも見える。


『--------------,------------------』

「まだ12歳と若輩ですが、将来に備えて経験を積ませるため同行させました」


 はぁ~。

 12歳でもう将来のことが決まっているんですか。

「感心ですね~」

 思わず声が漏れてしまいました。


 通訳少年あらためユーリくんは

「まだまだ至らぬところばかりです。この度は殿下のおかげで祖父の故国を直接この目にする機会を得ることができました。まだまだ未熟ですが、殿下のお役に立てるよう精一杯勤める所存です。僕の日本語のおかしな点がありましたらどうぞご指摘ください」

と日本人らしいお辞儀と共に挨拶してくれました。

 ……それだけ喋れれば完璧だと思います。ええ、本当に。


『--------------------------,---------------------------.-------------』

「私はセパシウス・カルツェスタ・デラントと申します。クラウス殿下の身の回りのお世話をさせていただいております。どうぞお見知りおきください。」


 続いてはセパシウスさんご本人。右手をお胸に当てて軽く目礼。

 昨日のフェア会場と同様の執事服(もどき?)を着用され、ぴっちりとなでつけた白に近い灰色の髪と整えた髭に柔和な笑み。

 昨晩涙を氾濫させていらっしゃったお姿が嘘のようです。

 ついまじまじと見てしまい

『---------------------?』

「私の顔に何か付いてますでしょうか?」

 怪訝な顔をされてしまったので、「何でもありません」と慌てて顔を背けました。…少し不自然だったかもしれません。

 あ、ちなみにセパシウスさんの目は髪より濃い灰色でした。


 最後は立ってらっしゃる黒服の方たち。

『-----------.---------------,-----------------------.-----------------』

「この両名は護衛です。日本の治安のよさは承知しておりますが、立場上伴わないわけにゆきませんもので。お目ざわりでしょうがご容赦ください」


 護衛の方たちは背も高いし体つきもゴツイ感じで威圧感がするのだけれど、護衛というお役目柄仕方ないのかもしれません。

 いや、むしろそれらが護衛としての必須条件なのかも!

 そう思うと怖いというより‘おつかれさまです、大変ですね’と思えてきて、お二人に会釈しました。


 こうしてお客様たちの紹介が終わったところで、次はやっぱりこちら側ですよね、どう考えても。

 というわけで

「ご丁寧なごあいさつ、ありがとうございます。昨日は名乗りもせずに失礼いたしました。佐原(さはら)清香(さやか)と申します」

 実際は無理やり車に連れ込まれたり、問答無用で抱きつかれたりなんだったりで名乗るどころじゃなかったわけなのだけれど!……そこは触れずにというのが大人の対応というものです。

 というわけで、にっこりと日本人らしい微笑と共に名乗ったのですが。


 じーーー。

 テーブルの向こうの皆様の視線が、こう……

 護衛の皆様まで含めて5名分の視線が妙な重さを伴って私に集中していたりする。


 え~っと、これはやっぱり名前だけじゃ駄目ってことでしょうか?

 ……十代の時は全く感じなかったのに、二十代、それも23になったあたりから年齢を口にするのがなんだか気恥ずかしく――異性相手だと特に!――なってきたのは不思議ですよね?ふふふ。

 言わずに済めばと思っていたのですが、どうやらそうもいかないようですので言いました。

「……24歳です」

 

 しかし視線はまだまだ許してくれません。

 じぃーーーーーーーーーっ

 いえ、むしろ先ほどよりプレッシャーが強く…?

 アレですか?アレを私も言えと仰るのですか!?


 救いを求めて祥くんに視線を向けましたが

「……言うしかねぇんじゃないか?」

 むしろトドメを刺されました。


 じぃーーーーーーーーーっ

 それでも観念しない私に、無言で視線だけが迫ってきます。

 じぃーーーーーーーーーっ

 ……内向的な日本人にはこの視線集中ってつらいですよね?

 じぃーーーーーーーーーっ

 じぃーーーーーーーーーっ

 じぃーーーーーーーーーっ


「…………独身、恋人もいませんし結婚予定もありません……」

 結局屈しました。

 ううぅ、捨ててはいけない何かを捨ててしまったような気がします。 



 少し長めでしたが読んでくださってありがとうございます。

 次かその次くらいで公子サマたちの訪ねてきた用件が出てくる…はず…です。

 たぶん…………。

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