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素材アイテムを求めて


「それじゃあ……。フィナ、デーモンウルフを倒しに……」


 フィールドマップへ行こうと誘うと、フィナはおでこに手を当てた。


「これからプレイヤーが多くなる時間帯だから、土から集めにいくのが無難かもしれない」

「プレイヤーの人数を気にしはじめた……!?」


 思わず目玉が飛び出そうだったら、よく考えてみたらフィナの言うとおりかもしれない。

 いくらでも沸くとはいっても、モンスターの数が減ってしまう状況なら効率も落ちてしまうし、何よりも他のプレイヤーと接触してしまう機会が増えかねない。

 もし他のプレイヤーと戦闘になったら、手加減できる自信もないので出来ることからやっていくのが良いのでは、ということなのだろう。


「わかりました。それでは、土から集めましょう」


 私は割り切っていた。レアモンスターのことも気になるし、出来たらフィールドマップの探索が良かったのだけれども。


「それで、行くアテはあるのか?」

「この辺りで土の採取、ですよね……」


 私は、ダンジョンのマップを拡大表示する。

 最も手っ取り早く採取できるのは、このダンジョン内であるが……。


 果たして採取することができるのか。

 プレイヤーが入手したという情報があれば完璧だったのだけど、だいたいはダークスライムが倒してしまっていたので、採取なんて余裕はなかったに違いない。


「うーん、ここはギルドに尋ねてみようかな……」

「わかった。いまのところ、このダンジョンで入手出来たという確認は取れていないという認識で大丈夫そうかな」

「ぎくっ。……そ、その通りですね」


 フィナに見抜かれていた。でも、フィナの笑顔をみてると、私も笑ってしまいそうになる。

 私もフィナも、心の奥底から楽しんでいるのだろう。


「ギルドに行くのですね。ギルド周辺に、あたしの記憶の石像を置いているので使います?」

「その必要はありませんね。私に着いてきてください」

「あっ、はい……」


 フィナは、物事が理解出来ない顔つきで困惑していた。

 ボス部屋の奥にある、さぞかし便利なワープゲートが存在することを、私がちゃんと伝えないといけない気がした。

 記憶の石像はひとりのプレイヤーにつきひとつ。

 フィナの記憶の石像は、もっと便利と思える場所に設置してもらったほうが、ダンジョン製作がよりスムーズになるだろう。


「ここ、あたしとパルトラが戦った奥地だよね?」

「そうですねー」

「記憶の石像とは、別物……?」

「私、ダンジョンクラフトというスキルを持っていまして、恐らくですが、ギルドへの一方通行となるワープゾーンであれば作ることが出来るみたいですね」

「一方通行、か……」


 悪くないかも。という表情がフィナの顔に出ていた。

 フィナを倒した私が、わりと早くギルドへやって来たカラクリに納得したご様子であった。


「パルトラさん、フィナさん、お疲れさまです。本日はどうされましたか?」


ギルドに入ったら、いつもの受け付けのお姉さんが挨拶してくれる。


「腐敗した土を採取できる場所は、何処にありますか?」

「なるほど……公式が提供している検索機能をお使いになるのですね。かしこまりました」


 受け付けのお姉さんがそう言うと、一冊の本が受け付けテーブルに出現した。

 それが開いて、空間上に浮かび上がってきたのは文字列だ。

 モンスターやアイテム等の基本情報に関しては、ゲーム内だとここで問いかけることで知識を得ることが可能ということかな?


 メニュー画面の図鑑項目だと、自身が触れたものしか分からなかったので、現状だとギルドから提供されたほうが情報を得ることが出来そうである。


「現在のバージョンでの、迷宮神殿オシリスの周辺で入手できる素材一覧になります」


 受け付けのお姉さんが丁重に説明してくれる。


「ありがとうございます。フィナ、みてみて!」

「えっと、パルトラが探しているものはどれだろう」


 フィナの視線が迷走しそうだったので、私は素早く目的の名前を見つけ出して指をさす。


「ここですね。腐敗した土となる素材は……黒い酸の砂?」

「それっぽい名前だな」

「このアイテムの入手方法は、水の都アクエリアとの境界付近ですか……」


 採取しに行くのは問題なさそうだが、時間はそれなりに掛かるだろう。

 国の境界線は、ギルドからやや距離があるように設計されている。なので、通常であれば乗り物のアイテムが必須とも言われている。


 若しくは記憶の石像でひとっ飛び。

 しかしながら、私とフィナの記憶の石像は近辺にある。

 他にフレンド登録はいないので、どうしたものか。


「どうにかして、この酸の土を採取できる方法はないものですかね……」

「クエスト受注してみるのはどうでしょうか?」

「ここで、クエストをするのですね」


 たしかに、アレなら現地までなら即座にワープできる。

 でも、帰りはどうしよう。

 ダンジョンクラフトの移動も、私が作ったダンジョン自体が近くにないと使えない訳だし。

 他のモンスターとかに倒されてリスポーンで戻ってくる方法は、そもそも私が杖で攻撃を受け切って、ダメージをもらわない自信しかないので、やり方が現実的ではなかった。


 あと、冒険者にいきなり襲われるのは嫌だし。

 他の手段を考えるしかない。


「クエストの受注を避けるとなると、残された手段は……」

「行商人がやっていそうな他のプレイヤーから買い取る行為をする、とかになりそう」

「フィナも、アテがないのね……」

「その通りだな。お役に立てなくて、ごめんなさい」


「フィナが謝ることではないし、それに」


「それに……?」

「アイテムを集めるのが簡単にいかないほうが、作りがいがありそうだしー」


 私はダンジョンに戻る準備をする。

 ワープ先の確認をして、フィナの腕を掴む。


「パルトラ、いまからどこに?」

「ないものは、ダンジョンで作ります。何故なら、私がそうしたいから」

「……やっぱり、そうなるのか。ふふっ」


 くすくすと笑いを堪えるフィナは、私の顔から視線を逸らす。


「えっと、私……変なことを言いましたか?」

「そんなことないよ」


「それなら……なんかよくない気がする……」


 フィナにとっては、私の発言がきっとおかしかったのだろう。

 けれども、フィナが和やかな気分であることは間違いない。


「ダンジョンに戻ったら、また新しい部屋を作ってアイテムの作成を始めようと思います!」


「そうだな。パルトラ、一緒に頑張ろう」

「はい。私、頑張ります!」


 いきなり素材アイテムの作成とか大変なんだろうけど、ひとつずつ。

 私自身が、もっとやれることを増やしていきたい。


 ひとまず目標は、出来る引き出しをどんどん増やして、楽しくダンジョンを作っていく!


 その為には、まず酸の土を作成する。

 何をすれば良いのかな?


お読みいただき、ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
ダンジョンを地道に少しずつ作っていくのが良かったです。ただ、少し都合が良すぎる展開なのが気になりました。
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