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ゾンビを生み出すには


 翌日、シクスオにログインした私は、ギルドでフィナと顔を合わせた。


 最優先で案内したいところがある。

 私が、記憶の石像を設置してある場所だ。


「ここは……」

「私の、作業スペースですね」


「へぇー」


 フィナは、立体に浮かび上がっているダンジョンマップに興味を持つ。

 私のダンジョンにある製作部屋。そこにフィナが入って来れたということは、フィナにも何かしらの権限を得たということなのだろうか。


 一度、フィナにステータスの確認をしてもらおうかな……。


「フィナさん!」

「あたしのことは呼び捨てで大丈夫です」

「では、私のことも、パルトラって呼んでください」

「はいっ。そうさせてもらいます」


「それで、フィナはこの部屋に初めて入りましたよね。フィナ自身の身に、何か変わったことはありませんでしたか?」

「これといって特に……いや、あるかな」


 フィナは何かに気づいていた様子だった。


「あたしのステータスに、ダンジョンクラフトのゲスト状態と表示されています」

「ふむふむ……」


 フィナがゲスト状態ということは、恐らく私がホストなのだろう。

 ダンジョン作成に携わる重要な物事は、私にしか動かせなくて、そのほかの簡単なことであればフィナにもできるという意味なのだろうか。

 何事も試してみないと、仕様がよくわからないかもしれない。


「パルトラは、今から何するの?」


 フィナからそのようなことを聞かれた私は、昨日シクスオからログアウトした後のことを思い返していた。

 受け付けのお姉さんから、シクスオのモンスター作成マニュアルという特殊な電子本を貰っていた。

 そこには、シクスオに登場するモンスターについての記述があった。但し、迷宮神殿オシリスに出現するモンスターしか詳細が書かれていなかったので、他の国のモンスターを作成しようと思うのなら、現状手探りでないといけない。


 まずは、作成難易度の低いモンスターから手を付けていこうと思う。


「フィナ、まずはモンスターの種類を増やしましょう。冒険者の残骸はダークスライムにあらかた回収させましたので、それらを使ってゾンビでも作ろうと思います」


「ゾンビを作るのか……」

「そうですね。ゾンビを作るのです!」


 早速作業に取り掛かろうとした私は、ダンジョンマップに手を近づける。

 残骸の量はそれなりに集まっていたので、ゾンビをたくさん作ることが出来そうだった。


「ゾンビを作る……。あたしは何をすれば」

「一緒に素材集めですね。ゾンビを大量に作るには素材もたくさん必要になりそうですから」


 ダンジョン周辺のマップを開いて、出現中のモンスターの種類を調べた。

 見た目はダンジョンでお馴染みのダークスライムと、デーモンウルフ。あとはレアモンスターが非公開情報として存在している。

 ダンジョンクラフトのスキルを所持していても、流石にレアモンスターは遭遇しないと、情報解禁されないようだ。


「フィナはこの近辺でのレアモンスター、遭遇したことありますか?」

「風の噂程度にしか聞いたことなくて……」


 フィナは首を横に振る。


「ということは、簡単には見つからなさそうかな……」


 そのレアモンスターが落とす素材で、ゾンビが作れるかは不明ということ。


 ならば、私はどうする?

 そのレアモンスターに遭遇するまで、探索を続けるのみだ。


「あっ、デーモンウルフのドロップアイテム……」

「フィナ、どうされました?」

「デーモンウルフはお肉をドロップするので、それをかき集めてから何らかの方法で腐敗させるのはどうかと思って……」

「商品加工みたいに、ですかね」


 私は少し考えてみる。

 まず第一に、アイテムを即時腐敗させる魔法なんてないような……。


 腐敗させるには、菌とか?

 それじゃあ、炎魔法で温めるのは駄目で、水系統もよくない気がして。


「そもそもの話、デーモンウルフはレアドロップ枠で良質な肉を落とすので、量産は難しいかもしれない」

「自然放置して鮮度が落ちれば、徐々に腐敗していきますが……」


 時間が掛かる。手間を掛けても良いのだけど、少なくともダンジョン内に解き放っているダークスライムよりは弱いレベルで設定をしておきたいので、ゾンビは量産型で作るのが好ましいのである。


「腐敗……。他の国にそんなアイデアあったかも」


 フィナは世界地図を広げていた。

 そして、じっと見つめる。


「ベフュモに、そんな技術があったっけ……?」


 頭を抱えるフィナは口を酸っぱくする。恐らく、うろ覚えなのだろう。


「ごめん。なんか思い出せそうで駄目そうだ」

「いえいえ、フィナはいろんなところへ冒険していたのですね?」


「はい。あたしはトルード出身でして」


「トルードということは、こことはだいぶ離れた位置で……ベフュモが近いですね」

「トルードには世界樹がありまして、その影響を受けたベフュモが発展している文明が実在しているんだよ」

「その世界樹によって、各アイテムが栄養たっぷりのように思えますが……」

「あっ、ゾンビを作るお話しでしたね。その文明によって生まれた肥料なんだけど、その作り方とか参考にならないかなって」

「肥料の作り方ですか?」


 ええっと……。

 肥料はたしか土を捏ねて。


 デーモンウルフが落としたお肉と混ぜて、捏ね続けたらできるのかな。

 やってみる価値はありそうだ。

 フィールドにいるモンスターは一定時間で自然に湧き出るので、デーモンウルフを倒すことには問題なさそうである。


 あとは混ぜる土をどうするか。

 その辺の方針が決まれば、ゾンビモンスターを生み出していく作業に入ることが出来そうだ。



 ひとまず、新しい部屋を作っておく。


 ダンジョンクラフトのスキルを用いて、私は新たな作業スペースを作った。

 ついでになるが、ダークスライムが回収した冒険者の死骸も、そこにかき集めておこう。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
成る程。 こんな感じにダンジョン作っていくんですね。 モンスターの種類も増やして、 それっぽいダンジョンになってきましたね。 ある意味、主人公が創造主視点なのが非常に良いと思います。
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