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腐敗したお肉を回収しよう


「宝箱のこと、私も聞いておきたいかも」


 私はフィナの傍に近寄った。


「パルトラは、腐敗した肉の回収を急ぐのではないのか……?」

「そうなんですけど、モンスターを作る次の工程でも、フィナの手を借りたくて」

「そっか……そうだな、わかった」


 フィナ手も借りたいことを伝えたら、迷わず納得してくれた。

 ダンジョン内での製作作業を進めるのは、宝箱のことを聞き出して、それからでも遅くはないはずだ。


「フィナ様、パルトラ様、宝箱についてですね。いまからサンプルを三つほど、ここにお出しします」


 受け付けのお姉さんが手のひらをみせる動作をすると、ギルド内に宝箱が三つ出現した。


「宝箱は全部で三種類存在します。鍵穴がなくて魔力を注ぐことで開くもの、鍵穴が存在しているもの、ミミックというモンスターです」

「ふむふむ、まずは鍵穴のない宝箱を調べてみましょうか?」

「そうだな……」


 まずはフィナと一緒に、一つ目の宝箱に近づいた。


「この宝箱、開けるよ」

 フィナが宝箱に手に掛けると、宝箱の蓋があっさり開いた。


 中身は空っぽだったのだが、みた感じ収納できるスペースはそこそこありそうに思えた。

 これなら大きめの装備品も余裕をもって入りそうである。


「あたしの魔力が消費されて宝箱が開いたのか……」

「そうみたいですね。次の宝箱を調べてみましょう」


 私は鍵穴の存在する宝箱に近付く。


「こちらをお渡しします」


 受け付けのお姉さんがひと言かけてくると、私の目の前に鍵がゆっくりと落ちてきた。


「これが宝箱を開けるアイテムですか?」


 丁寧に鍵を掴み、宝箱の鍵穴に差し込んでみる。

 すると、カチッと音がして宝箱が開く。

 当然、中身は空っぽである。


「ふむ……。次に行きましょう」

 私はエグゼクトロットを手に取って、最後の宝箱を軽く叩いた。

 すると、宝箱が開いて牙を剥き出しにしてきた。


「ガウガウ、ガウガウ」


 ミミックである。

 ごく普通のモンスターだ。


 いまは受け付けのお姉さんからの配慮によって襲ってこないが、ダンジョンだとそうは行かないだろう。

 クレイキューブの地下迷宮にも、是非とも設置したいところだ。


「ところで……これらの宝箱を製造したのは、どちらになるのでしょうか?」

「伝説の鍛冶職人でございます」

「なるほど理解しました」


 やっぱり、私のダンジョンにいる方じゃないか。

 アレイが運営サイドと何かしらの繋がりがあることを知っていたが、まさか宝箱まで提供していたとは、恐るべし。


「今回もありがとうございます」

「いえいえ、お役に立てて光栄です!」


 一礼して真顔に戻っていく受け付けのお姉さんは、どこか機嫌が良さげだった。


「宝箱のこと、まさかアレイさんが絡んでいたとは……」

「フィナ、そんなに複雑な心境を抱く必要はないのですよ。私は、まだまだ知らない一面がみられることが楽しいのです」

「パルトラは、とてもポジティブなんだね」

「はて、そうでしょうか……?」

「無自覚なのか?」

「そんなことないと思いたい、ですけどね」


 私はダンジョンに戻ろうとした。

 いつもの手順を踏んで、フィナの腕を掴むと、問題なくワープした。

 ダンジョンに戻ったら、アレイの元に行かないといけない。ダンジョンを製作する部屋を経由して、アレイの部屋に向かうのだ。


「はい。到着です!」

 ダンジョン内を移動するために掲げていた風神の和太鼓をしまうと、アレイに声を掛けようとしたのだが……。

 赤く染まる金属がハンマーで叩かれて、バチバチと散らす花火が美しい。

 アレイはどことなく真剣な顔で、武器と睨めっこしている。

 ポツンと丸い机に椅子があり、周囲は棚とレンガで囲まれている部屋。金属の立てかけがひとつあって、そこには作りかけと思われる剣が数本、刺さっていた。

 ここが、アレイの工房。クレイキューブの地下迷宮にあるとは思えない異様な光景に、思わず見とれてしまった。


「うん、お帰りやね。困ったことがあったのやね?」

「酸の土に埋もれてしまった腐敗のお肉を回収するアイテムを借りたいのと、ダンジョンの宝箱についての相談がしたくてですね……」

「なるほどやね。宝箱に関しては少々時間がほしいところやから、酸の土に埋もれた素材アイテムの回収に行っておいで。これを渡しとくやね」

 アレイから、ギフトで送られてくる。

 金のマジカルハンドだ。フィナと併せて二つ分、ありがたく使わせて頂こう。


「アレイさん、ありがとうございます!」

 お辞儀したあと、早速だけど部屋の移動を行う。

 風神の和太鼓を回して、ワープする。

 目指すは、酸の土で溢れてしまった部屋であるのだが、すぐに到着できてしまう。

「さてと、腐敗したお肉をようやく回収できますね」

 私は金のマジックハンドを両手にはめこんで、足下を見た。


「あたしも手伝う」

 フィナもやる気に満ちていた。


 ここで装備の確認を互いにしておく。

 マジックハンドの使い方は、落ちているアイテムの方向に対して、手を伸ばしてみるだけ。

 これだけで、アイテムの回収が行える。

 実際にアイテムが回収できたかどうかは、ログや所持アイテムの一覧を見るのが手っ取り早いと思われる。


「通知が来ましたね!」


 私の元に腐敗したお肉を獲得しましたという、お知らせが届く。


 この腐敗したお肉をいっぱい集めると、ゾンビをたくさん作ることが可能となる。そうすれば、ダンジョンに出現するモンスターの種類が増えて、階層相応にモンスターが強くなっていくという形に近づくことができる。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
着々と準備が整ってますね。 ダンジョン生成というテーマを書きつつ、 日常パートなどもとても面白いです。 面白かったので、ポイント評価させて頂きました!
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