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あなたの望みを叶えましょう

いつも読んでくださりましてありがとうございます。



 その時、フォルス様が口を開いた。

「キアラ、この者達はいったい何者だ?」


 そうであった、そうであった。

 フォルス様の存在を、空気扱いにしていたよ。

 キアラ、うっかり。


「私としたことが申し訳ございません。フォルス様は、お兄様やアレックス、ルイとは面識がありますので紹介を割愛いたします。それでは、あちらの中央にいらっしゃる方から紹介をいたします。アスペルジュ国 第一王子リチャード様でございます。それから、えーと……他の方々は、私も存じ上げておりませんでした。申し訳ございません。」


 はい、嘘です!ゲームで攻略したから、よく知っているよー。

 でもこの世界では、お兄様の誕生日パーティーで家族と共に挨拶して以来、全く接点がないから、私は知らないふりをするよ。


 宰相子息と魔法騎士団長子息と騎士団長子息達も、私の事を名前くらいしか知らないと頷いた。


 そして、互いに軽く自己紹介した。

 どうも初めまして~といった感じのサラリーマンのやり取りの様な雰囲気で、なかなかシュールであった。



「では、なぜお前らはここにいるのだ?」

 王子が今のやり取りが無かったかのように背後にいる七人の騎士のメンバーに尋ねる。

 あの王子、無駄に胆が据わっているわね…。


「王子に呼ばれましたので。」

 と、宰相子息がこれまたハッキリと答えた。

 他の者達も、同じくと発言し頷いている。


 すると王子が、

「何?私は呼んでいないぞ!?」

 と、少し強い口調で返答する。

 壇上の者達が顔を見合わせ、王子以外が目で会話し合い、おかしな雰囲気を醸し出し始める。


 キアラは7人の騎士達をよく観察した。

 すると、皆が手に持っているこの場には似合わぬアレらを見つけてピンときたのだ。

 そして、アレを指さして大きな声で進言した。


「それだわ。皆が抱えているそれらの武器。それらを手にしたくて、あなた達は命令に従ったのね。」

 彼らの頭上に“ギクッ”と大きな文字が見えるかの如く、分かりやすい反応をしたのであった。


「何?武器だと?」

 王子だけが不思議がっている。


「ほら、王子以外は持っているではないですか!王家の至宝。」

 キアラは剣を振り下ろすような仕草をしながら伝えた。


 それを見た王子は、バッと振り向き彼らの手元に目をやり、彼らが後ろ手に隠して持っている布でくるまれた物を確認する。

「王家の至宝だと……なぜ、お前らが持ち出している!?それらは動かせぬはずだ。」

 その声に答えたのは、ルイだった。


「アリス嬢が、リチャードの…王子の命令だから今日ここへ来いって、僕を通して皆をここへ集めさせたんだよ。そしてこの武器を皆にくれたんだ。」

「や、やっただと???」

 王子は混乱している。

 脳内円卓会議の模様は、ゴチャゴチャであろう。


「王家の至宝は、お兄様の長槍、アレックスの二刀流短剣、ルイの大刀、宰相子息の弓、魔法騎士団長子息の魔法の剣、騎士団長子息の大剣、そして、王子の聖剣 (すべてアリスが力を込めるとメッチャ凄げぇになる武器、親密度による差が有り) で、よろしかったかしら。アリス嬢、あなたが王家の丘に祭られていたこれらの封印を解き、彼らに渡したのね。」


「そ、そうよ。それを使ってこの人達が魔王を倒すんだから、何が悪いのよ!」


 王子がワナワナと震えている。

「悪いに決まっているだろう!なにを勝手に王家の至宝を渡しているんだ。皆の者、この件は王家へ持ち帰る。武器を渡してくれ。」


「え~至宝くれるって言うから来たのに~。」

 ルイが頬を膨らませ、ふくれっ面になる。

「そうだーそうだー話が違うぞー。」

「訴えてやるー。」

 お兄様とアレックスも、お茶目に応戦している。

 その他の皆も大層残念そうな顔だ。

 騎士団長の息子なんて抱き込んで離さない素振りを見せている。

あの巨体で、ちょっと可愛いじゃないか。

 みんな、ドンマイ!


 私はオホンと咳払いし、話を進める。

「それで、なぜ王子はこの方々を集め、わざわざこのような場であのような言葉を私へ御掛けにになったのですか?」

「えっと、それは……アリスがそうしてほしいと言うから、言うことを聞けば、またやらせ、やべっ、私の願いを聞き入れてくれると言うのでな。」


 そう語った王子を皆が残念そうな目で見る。

 横に居るアリスは斜め上を見つめている。

 おーい、ヒロインよ、それでよいのか?


「えええっと、それではアリス嬢にお聞きします。いったいなぜ、そのような事を?」

 少しばかり動揺しながら笑みを作り、私はアリスに尋ねる。


「だってシナリオと違うから……私、王子以外の親密度上げられてない。それもこれも、あなたの所為よ!あなた、学院に来ないし、あなたが悪役令嬢をしていないから、こうなっているんじゃない。誰も病んでないし全然親密度上げられないわ。どうしてくれるのよ。このままだと……。」


 このままだと?


 ああ、そういうことか!? と私は閃いた。

 戦いに行かなければならないのは、あの人に会うためだったのね。

 フッ、あなたにも推しがいるってことね!!


そう考えた私はアリスへと力強く言い放った。


「分かったわ。あなたの望みを叶えましょう!」

「へ?」


アリスが私の言葉に疑問の声を上げている間に、キアラが手をパンと肩の上で叩くと、壇上に居たアレックスが勢いよく下りてきて、キアラの横に来る。

 アレックスは腰に下げた小さな袋から、コンパクトのようなものを取り出してキアラに手渡すと、直ぐに元の位置へ引き返していった。


 キアラは受け取ったものを近くの床へ置き、コンパクトのようなものを開いた。

 すると、それから光が放たれ、ある人物が立体映像のように浮かび上がったのである。



映し出された人物とは…。

ブックマーク、評価してくださりありがとうございます。

嬉しいです。



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