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Phase6 四人のロストキャラクター

 ヒナ愛用の量子応用コンピューター ”キース” から会社の業務端末に

突然メッセンジャーでメッセージが飛んできた


彼女の ”キース” は彼女の漫画の主人公よろしく、銀のセミロングで癖っ毛の髪

やや切れ長でクールな印象のアメジストの瞳、薄い唇と彼女好みな

容姿のコンピューターである。

OSは兄が使用しているものと同じく、妹の立場をフル活用して、アドオンモジュールを

たんまり積んである。


 尤もソースコードを弄れて改変まで出来るのは兄しかいないが

そんな実生活で買い物や調べモノなどヒナの好みをディープラーニングし尽くしていた

素体も、医療用のナノ構成素体で兄の量子応用コンピューター ”ベルゼーティア” に

たんまり融通した見返りに、アドオンモジュールを貰い受けて

ヒトと何ら変わりない応対をして友達に自慢していた。


 医療用のナノ構成素体は涼の時代では義体サイボーグ化術の人体と機械部の仲介を担ったり

時折、カウンセリングに来る 沢ノサワノキ 麗奈レナ 20才 (元男性)のような

性適合術で男性・女性特有の臓器や器官を生成して躰の一部にまで同化させる事の出来る

素体である


 外観はゼリー状でこれに何兆個ものナノ構成体が含まれていて専門のモデラーに生体デザインをして

構成体に指令を送り形を形成するのである

指令を送られた構成体はデザイン通りに形・姿を形成していく

世界歴(世界統一歴)に変わる以前の大昔の錬金術師が追い求めてやまなかった

”ホムンクルス” が素体のみなら新暦3xx年の新暦時代にようやく

対話型の人型の量子応用コンピューターとして実現したのである。


 兄の ”ベルゼーティア”も ヒナの ”キース” も1000年前の町並みを再現した

旧街区 アキバ街区の脳髄以外は全身義体の 沢村サワムラ 昇一ショウイチ

で大人の男性の義体と少女の義体を使い分ける、旧街区の天才技師直々の手に依るものである

 普段は助手が、対外的なやり取りをしていたが彼 沢村サワムラ 昇一ショウイチ

”プライベート”な少女の義体で自ら会って相談してデザインされた特別な個体である。


 彼は、外交には男性の義体を、プライベートでは少女の義体を使い分けていて

政府からも義体の使い分けを容認されている数少ない人物であった。


 信頼出来る助手には、 東雲シノノメ 紅葉モミジ 女性 (23)

が彼の義体の交換をする。


 なにせ 心理の座(脳髄の格納ユニット)を移動するのである

日本でも数少ない 戦略級無形知識保有者 に指定されている人物である

沢村サワムラ 昇一ショウイチ の助手ともなれば

身元や国籍等を綺麗に”洗われて”いる政府お墨付きでなければならなかった。

 

 兄の ”ベルゼーティア”も ヒナの ”キース” も医療用ナノ構成素体はヒナが

提供して 沢木氏にもプライベートで融通した事もある。

医療用ナノ構成素体は医師免許がなければ入手は不可能であり

医師であるヒナならいくらでも高価ではあるが手に入れられるのである。


そんな”キース”がわざわざ業務中端末に割り込みを掛けて来たのである

彼女はカイバーウェアには割り込みをかけないようにシステム設定していて 

割り込んで来られないようにしてあった


[ よぅ、ヒナ 真面目に”仕事”してるか 端末の入力の手休んどるじゃねぇか どうしたよ? ]

「とまるで男友達にでもしゃべるような軽い口調で語りかけてきた。


「うわっ ”キース”じゃない 今業務中よ私の上司に知れたら大目玉よ」

とヒナはびくりとふるえた

[ オメェがお目玉喰らうことなんざオレの知ったこっちゃナイゼ ソレより大変だぜ

ベルゼーティア のヤツが 勝手に”起きて”いるぜ 涼の兄貴がいないのによぅ

どういうことだありゃあ ] 

「えーーっ、 あのベルゼーティアがどうして ”起きて” いるの 涼兄ぃいまVR空間内に

囚われていてボイスコマンドだって 兄ぃ以外誰も受け付けないはずよ」

 涼の部屋をを覗いたのは”つい”最近だが、彼女ベルナは机にスカートを広げ

髪も広げ寂しそうに両膝を抱えていたはずである。


[ いや、完全に ”起きて” いてたのは一瞬ですぐ眠っちまった 

あぁ 何ていうんだっけ ”スリープモードってヤツだよ 淡く光っていたもんよ

高いオメェのデスクから飛び降りて 躰痛めちまったぜ ははは 後で”メンテ頼むぜ

ヒナセンセ ]

とからかうように言った。 


「からかわないの もうすぐ”カウンセリング”のクランケ(患者)が来るわ

とにかく今は状況だけレポートにしてストレージに入れておいて

後、勝手に会社のサーバーに接続しないで 怒られるの私だし

お給料もヘタすれば減額処分モノよぉこれ 

その時インターホンの割り込み画像がヒナの端末に浮かび廊下を歩いて来るのが見えた。

ちょっと子供っぽいワンピースを着た 沢ノサワノキ 麗奈レナそのヒトであった。


「もう彼女が来たわ 端末から消えてょぅ」

とヒナは懇願していた。


[ 分かった分かった でもよ オレの性格設定をこんな風に決めたの

他ならぬ ヒナ 医師センセだぜ まぁおれは ベルねえが気になるからな

オレ独自にサグリ 入れていいだろ なぁ?  ]

「う〜ん サグリ は入れてもいいわよ 彼(涼)のアバター(仮想体)見てもからかわないでよ

兄ぃって其処ンとトコ凄く精細な神経持ってるんだから」


[ オンナノコらしいが はたしてオレ好みかな へへ兄貴(涼)を

からかい甲斐があって楽しみだぜ

イゲン・ルート・オンライン ってVRゲーム内でいいんだよな ]

と今からからかう準備でもしているかのようなニヤニヤ顔であった。


「もう、そんな事まで知ってるの キース、貴男もしかして私に内緒で

政府管轄のクラウドサーバー ”ヒュードラ” にちょっかい出したんじゃないでしょうね

其処んトコはっきりしなさい」

ややきつく キースを問いただす

画面のキースはそっぽを向き、


[ さてね、オレはベルねえよかは、クラッキングは得意ではないね

涼の兄貴の”オンナ”よりはちくとOSの出来がよろしく無くてね。

”足跡” を残して来ちまったかも知んねぇな オレ様は ]

と意味深な事をのたまった。


「もしそれが”本当”なら 沢ノサワノキさんに大きな借りを作ってしまうわね

 わたし彼女自身は友人として、患者としてどうとも思って居ないけど

あの ”蒼天の智慧” は胡散臭くて好きになれないの

気を付けなさいよ 賢明なAIである貴男ならディープラーニングから

事の良し悪しも判断がつくと思うけどな」

とヒナは心理学を応用して褒め殺す。


[ へいへい、相変わらず ”ほめ殺す” のが上手くていらっしゃる 我がマスターは 

では オレ様はベルねえにでも逢いに行くかね ]  

と端末から すうっと エフェクト付きで引き下がった


丁度、沢ノサワノキがドアの前に来たらしい 濃厚なヒトの気配がする


「沢ノサワノキです。 カウンセリングに来ました 

あと、私の組織からも話があるので、良いですか? 」

(うわっ早速バレたのかしら どうしよう)

と狼狽の色が濃くなるのを自分でも感じながらワンタイムワードを彼女の

カイバーウェアに送った

程なくして


子供っぽいワンピーススカートを揺らせてヒナのデスクの横にある椅子に腰掛けた


「お久しぶりです 雛さん 先程新国にいくに氏とある件でお話してきましたの

実は ......と言うわけで 貴女の御兄様にお願いがありまして

雛さんからも言伝をお願いしたくて」

とキースの件には全く触れられずに彼女の説明を聞いていた。


「そぅ、 それで新国にいくにさん いえ、お義父様は? 」

激しく動揺したとの事で雛は流石に 上司でもあり義理の父でもあるので

呼び名は公私混同は避けているつもりだったが、ついプライベートでの呼び名を

言ってしまった。


「スミマセン、つい お義父様と言ってしまったわ 気を付けていたつもりなのに」

と分が悪くなり端末に視線を移してしまう


「いえいえ 新国にいくに様は、貴女のお父上でもいらっしゃいますから

気にしなくてもいいのよ」

と気を遣ってくれた。


「では、本題と行きましょうか 雛さん 貴女アバター(仮想体)は有るの? 」

「えぇ、イゲン・ルート・オンラインで一体持って居るしVR共有仕様よ

「そぅ、だったら貴女も潜ってくれないかしら? それとももう”彼”に会ったの? 」

とやや雛の心に刺さる物言いをした


「えぇ、もう潜ってます。 本業(医師)が忙しくて中々潜れないですし

兄の事です。 システムに関してはプロなのですから其処に関しては

任せておりますからね

この件は VR調査官としての依頼かしら それとも出てこれない涼にまた

”負担”をかけさせるつもり 貴女方 ”蒼天の智慧” は? 」

麗奈は雛がプライベートで兄の事を名で呼ぶ時は 彼女が兄の事で

刺さる言い方をされ時に出る癖の様なモノである。


 それを知っている麗奈は、

「ごめんね、これ ”比良坂会議” で決まったことよ 公にはされていないわ

世間じゃ ”比良坂会議” での議決事はどんな些細なことでもつまびらかにせよ

と煩いけど 事この事案に関しては水面下での話と思っていて頂戴

大きな、事案(大海)になればなるほど薄氷で覆っただけではすぐマスコミのエサになり

割られてしまうわ。

だから、私達のような ”蒼天の智慧” があるの

海面の遥か下の海流の如く皆の目に止まらない所で、事態は動いているの

友達であり私の主治医で有る貴女には言いたくないけど

これは ”蒼天の智慧” からの正式な ”辞令” よ貴女に拒否権はないの

優秀な医師として若くして地位も盤石な貴女でさえ社会の中の一羽のひな鳥なの

其処を分かってくれる? 」

 

麗奈からは可愛い子供っぽいワンピースからは想像できない理路整然とした言葉が飛び出してきた。

「うん、わかったわ あと涼には見返りが有るんでしょうね

ボランティアで潜っているわけではないから当然、”対価”を要求して良い案件よね これ」

と雛も負けじと”女”の打算さを見せつけた。


 心の奥底で自分より可愛いワンピースが良く似合う目の前に座って居る”彼”に

”女”としての嫉妬と対抗心をハッキリと自覚してしまい少し自己嫌悪に陥った。


「えぇこれに関しては今は言えないけど ”比良坂会議” 

で既に 十分は報酬と地位が用意され決定してる筈よ」

と事務的に麗奈は言う


「これだから ”蒼天の智慧” って好きになれないわ お義父様の口癖の通り

情報は吸い上げるくせに こちらには何も寄越さない 吸血鬼のような組織だって 」

「言ってくれるわね でもこの件は私の中に収めておくわ

プライベートでは貴女とは良いお友達でいたいもの」

と麗奈も負けじと言い返す。


”比良坂会議”とは 


北海ほっかいブロック 旧北海道黄泉ヶヨミガザキ 凛華リンカ 女性 

杜都もりとブロック 旧東北地方天ヶアマガハラ 詩乃シノ  女性

凱都がいとブロック 旧関東地方榊サカキ 啓三ケイゾウ男性

千都せんとブロック 旧関西地方日ヶヒガハラ カエデ 女性

福都ふくとブロック 旧中部地方高梨タカナシ 志郎シロウ 男性

水都すいとブロック 旧四国地方矢継ヤツギ 紗子サエコ 女性

硫都りゅうとブロック 旧九州・沖縄地方新町シンマチ 達郎タツロウ 男性


 

 の各政令首長で構成されかつてのような

総理大臣の様なまとめ役は居ない

上記の7人の会議で日本の政治の方針が決定されて官僚組織に働きかける

専用のアバター(仮想体)会議あり そこで方針が決まり議員の賛成多数で

決定される政治システムになっていた。


「兄には、話は出すけど彼の事案処理の優先順位までは

手を出さないでよ どうせ貴女も彼に接触するつもりなんでしょ? 」

「ふふっ流石は雛セ・ン・セよく分かっていらっしゃるわ

カウンセラーとしても優秀よね 貴女

VR捜査官斎木 涼の事案処理の優先順位までは関知しないわよ

其処までゲスな ”組織”ではないわ

サキュバス”レナーリア”として潜るから

あと彼次第だけど彼 いやいまはオンナノコ(フレイメア)だっけ どんな可愛いかしら

現実リアルの私とおんなじね ”眷属”契約しちゃおっかなぁ

魔族はね 他の種族の”眷属”になれるんだって 知ってた? 」

「うわぁ そんなこと時初めて聞いたわ

私だって真剣に”攻略”は考えていないものそんな事調べるつもりのもなかったの

アンタ、兄の”眷属”とやらになるの? 」

「いっいえ これは、業務のためよ 私もこの案件ばかりじゃないの

それに、元男として”何かと”アドバイス出来るじゃない 多少はね。


 彼、いきなりオンナノコのアバター(仮想体)で潜ってその上、VR内に囚われているとなると

心理学者として いえ..オンナとして心配でしょう 

アバター(仮想体)シンドロームで、心理傾向が女性寄りにな・る・の・が

 私と違って生まれた時から自己の性に違和感を覚えていないヒトには異性のアバターは敷居が

高いもんね 余程、はっちゃけた性格かデザイナーとかでないと好き好んで異性のアバター(仮想体)

なんかわざわざ選ぶ事なんてないもの

まして、御兄様って性格もカタブツなんでしょ? ふふ 所で彼、私の事知ってるの? 」

と小首をかしげ指を咥えにやにやしている。


「煩いわね、私は医者よ個人情報を例え兄にでも喋った事ないわ

ホント、アンタってそういう仕草だけは女性より女性してるわね

 それに兄の心理傾向は95%男性寄りよ ...絶対そうなんだから...そうなんだから...」

と雛は憮然とした。

「はいはい、貴女ちょっとブラコン気味じゃないの? 理想の男性を重ねちゃって まぁ

誰だっけ開発の大きな男性ヒト 大澤さんだっけ あのヒトと早くくっついちゃなさいよ

見ててやきもきするわ 」

「けっ健吾さんはいま関係無いでしょっ! 」

と顔を真っ赤にしてわかりやすい反応であり

カウンセラーとしてはやや不適切な反応でもあった。


「あら、私宛にドローンデリバリーシステム ”ストーク(コウノトリ)システム” から新作のワンピが

届いたわ早く業務おわらないかなぁ〜 ふふ楽しみぃ〜」


 このドローンシステムは嘗て、違法誘導電波に依る荷物の盗難、

サーバークラッキングにより自動飛行ルートを変更され、

物資を政府の許可無く第三国に持ち出させたりと

色々問題が起き一時廃れかけたが、画期的な専用高度の運行路での運用

道路同様マイクロマシンの電子灯台が空中に配置されそれに沿っての電波誘導と

200年前から、荷物ロストは年にニ三回ぐらいには起きるがそれでも利便性には勝てず、

再度見直されてドローンシステムの基幹プログラムの改良と

”ヒュードラ”のソーシャルカメラネットワークシステム同様、独自のネットワークシステムで

現在は運用されパーフェクトロストゼロを目指し今尚システムの改変が行われていた。

最近は、兄もプロジェクトの一端に関わったとされるが雛が知るよしはなかった。



 麗奈がカイバーウェアで視線操作する目の動きを雛は医師としてまた心理学者として

観察していた。


「いいわねぇ お洒落さんは、わたしなんかヒトのお腹の中ばっかで

すっかり暖色系が苦手になっちゃって、寒色系の服ばかりよ

アンタまた暖色のワンピース? 」

とさりげない会話からも雛は麗奈が完全に異性の躰に適合し、ワンピースの購入の事実から

彼女の心理傾向が98%女性寄りで有ること、端々に見える仕草を読み取り

所感を素早く電子カルテにカイバーウェアの視線入力でレポートした。


「それじゃね 雛さん 後は、プライベートでデートしない? 

元・男としては一度はデートのイニシアチブ握りたいじゃない まだ一度も

デートってやつ経験ないのよ 私って、オンナに成る前も後もよ」

とまた指を咥え上目で見つめた。


その可愛らしい仕草にドキリとすると同時に、やっかみのような嫌な感情もまた首をもたげた。


「ゴメン、今は忙しいのよ 明日か明後日いよいよイプシウス社製の機器が到着で

てんてこ舞いに成るはずだから、今から予め、段取り付けなくちゃいけないの

兄の躰も移動させるし何かあった時の対処のブリーフィングもあるから

デート気分ではないの」

と雛は、いま心の大半を支配している嫌な感情を兄の事をだしにしてごまかした。


「そう、それなら仕方無いわねぇ うわぁ話し込んでいる間に次の会議にギリギリだわ

雛さん 受診証明の著名をお願い」

「はいはい」

と雛はいつものようにスタイラスペンで麗奈が差し出した電子ペーパーにサインと

彼女のカイバーウェアに電子承認の文字列を送信した

「ありがとーーっ これで少し遅れても言い訳できるわ それじゃね」

と慌てて雛の診療室を辞した。


「へぇ、あのオンナ 元オトコってか なかなかに、なかなかだな」

とまたもや キースが端末に現れる

「キース! 貴男私達の会話全部聞いてた? 」

と雛は問い詰めた。


「そうさ、すべて音声でログってあるぜ 何ならオンナの声で再生しても良いんだぜ」

「下品な真似やめてよ キース! 」

とやや剣呑はな空気を含んだ声音で雛はキースを窘める。

「おぉ、こわっ 済まねぇちょいとオフザケが過ぎたぜ でもよ雛よ 

やっかみなんて冷静なオメェさんらしくもねぇな

あのオンナ、サキュバスのアバターで涼のアニキに逢いに行くっていってたから

ヤキモチかよ 相手は今はオンナとはいえ元・オトコだぞ その

オトコにオンナとしての対抗心燃やしてどうするよ 涼のアニキを取られるって訳......」

ここで雛はとうとう


「煩い! だまりなさいッ! この雛の気持ちあんたなんかに分かるもんですかっ! 」

と強めにキースに当たってしまう

「うへぇ 珍しいね 久しぶりじゃないか 感情露わにしたの

どうよ 少しはスッキリしたかい? 

オレのAIの判断じゃストレス物質の臨界間近っだったぜ

涼のアニキの事も有るから仕方ないちゃぁ仕方ないがね」

としっれっとそんな事をのたまった。

......


「あんたワザと? 」

「どう受け取って貰ってもいいぜ いまはアンタのストレス物質低下してってる事もまた事実だ」

とニヤリとキースは怒鳴られたにも関わらず微笑んだ。

「ふん あんたってホント性格悪いわ でも少しスッキリしたわ

これから3本オペあるしね」

「うへぇストレス物質満載でオペする気だったのかよ おっかねぇな」

「うるさいわねぇ まぁいいわ 少しスッキリしたわ でも音声ログは消しておいて

彼女は、あくまでカウンセリングの患者で此処へ来たの

個人情報の個別記録は絶対認めないわ」

「わーたよぉ 雛センセ 今、完全消去するさ」

とキースは、1000以上も前のメディアである

カセットテープのオブジェクトアイコンを握りつぶして完全に消去した。

「これで良いだろ バックアップは取っていないぜ」

「えぇいいわ さっきは悪かったわね 

でもアンタのディープラーニングルーチンプロセスに、もう組み込まれたでしょ? 」

「それはオレ達 対話型量子応用コンピュータのOSの仕様さ 無かったことには出来ないね」

とハッキリ言う


「そこまで、咎めるつもりはないわ ところでいつ潜んの? 」

「いつでも いいぜ オレ達は、あんたら人間と違って何時までもVR内に居れるしな

でもよ時々戻ってくらぁ ベル姉とも情報共有したいし方針を決めなきゃな

まずは潜ってみねぇことにはな

あと注意だかな いくらマルチタスク同時マルチスレッディングが出来るっていっても

相手はVR空間だ 向こうにリソース喰われるとこちら(現実リアル)では機能を100%発揮できねぇ

それは分かるよな? 」

「えぇ、 その時はコール命令発行するからすぐに戻って来て」

「おぅ、愛しの雛ちゃんのためならすぐにでも戻ってくらぁな」

「もぅ、茶化さないで」

「そんだけのやり取りが出来るくらいならオペに集中出来んだろ? 」

「ふふ もう どっちがカウンセラーか分かんないわね

では、涼の事お願いね」

「おぅ、任せとけ」

とキースは今度は完全に端末内から消えたようだメモリの使用量を

表すガジェットアプリの目盛りが減り CPUの使用率が急に減り

心なしか端末の動作が軽くなった。


 雛の業務で使用している端末は、 

対話型ではないもののイゲンテック社製の最新の量子応用コンピュータである

そこそこの性能を謳い文句にするくらいには名の在る型番であり

一般市場品をよりもずっと高価な機器である。


 それが彼が端末に常駐した途端、目に見えて重くなり居なくなった時の体感がこんなに

違うなんて、今更ながらに対話型量子応用コンピュータの性能をみせつけられて

彼がもし市場にでたらどれくらいの”値”が着くのだろうと下世話な事が頭をよぎった

キースによると兄の ”ベルゼーティア” はさらに数万倍の性能と機能が在ると言う

「ふっ やっぱり、りょうおにーちゃんてすごいな」

と誰も居ないことをいいことに子供の時の兄の呼び方でひとりごちた。


 一方、”ベルゼーティア”はレーヴェンティール内を歩き回っていて

ボクは今はネーベリアと二人である

「どうしようかな 取り敢えず拠点は確保できたし、とっかかりがないとなぁ」

とぶつぶつごちたその時である。


「よぉ、涼の兄ぃ って うはぁ こりゃ変われば変わるもんだぜ

今はフレイメアちゃん ちょっと言いにくいな ”メア” でどうよ なぁ? 」

と聞き覚えのある声

後ろの戸口から軽口を叩いたのは 雛の対話型量子応用コンピュータである キースであった。

「えっ何で君が此処に? 雛は? 」

「おうおう 慌てなさんなって これから、ゆっくりとじっくりと メアちゃんの前で

お話してやろうじゃないの

それと いまメアがいってたとっかかりってヤツ持って来たぜ」

「そうまずは此処に座ってよ ベリアも此処に」

「おぅ、」

[ えぇ、分かったわ ]

と二人を木製の椅子に座らせる

とキースから聞いた ”ロストキャラクター”の件を聞き

ボクは”とっかかり”に十分値すると判断した

なぜなら参考にしたオルティア・レコード”の小説内でも

異世界人(地球人)として  


葛城 奏哉  (カツラギ・ソウヤ) はソーヤ

小鳥遊 沙織 (タカナシ・サオリ) はサオリ

高木 茜   (タカギ・アカネ) はアカネ

羽村 猛   (ハムラ・タケル) はタケル・ハムラ・は


まだ読めていない部分かも知れない

とういうのも 不思議なことに”過去”の小説でもあるのにも関わわず

今だ不定期に”更新”されているのだ

いまは主人公の少女が 浮遊大陸 ”ベルゼ”を舞台に、奮闘中だった


この点も妙といえば妙だったが今は頭の隅に追いやった。


語感が同じというだけでまだ断定は出来ないが あまりにも似ていた

「なぁ、キース 君、オルティア・レコードのアーカイブは読んだ? 」

「あぁ、読み込んているぜ 雛のヤツが メアちゃんの作った世界の元を

読みたいとかで読める部分はダウンロードしてあるぜ でもよ現実リアルの話が

幻想ファンタジーとリンクするなんてあるかねその逆もしかりだ。

レナからは居なくなったとしか聞いていないから時期までは分からんし

そもそも 1000年以上の前の幻想ファンタジーの世界の

それも小説の世界に転移するなんてね

流石にラーニングピース(学習情報の欠片)が足んねぇや」

「そうだね ボクとしても頭に入れておくよ

ベリアもラーニングピース(学習情報の欠片)としてラーニングプロセスに組み込んでおいてよ」

とベリアに指示を出す

[ えぇ、了解よ まずはこの四人の事を聞き込みましょう まずは

アバター(仮想体)名があるか走査してみるわ......完了 ]

とものの数秒で検索が完了したらしい。

 

[ 有ったわ 有ったけどこの子ら全員 ”攻略”組ね ねぇフレイどうする

聞き込みとなるとこの ”攻略” 組に交じっての調査は必須よね ]

とアドバイスが入った

この時遥か下の始まりの街 ”トルティア” で木の葉数枚がポリゴンブロックになり

消滅してすぐ復元したのは誰も気にかけなかった

これはベリアのデータリソースの対価である。


 イゲン・ルート・オンラインはストーリーに沿ってイベントが発生するタイプの

VRゲームではない 

自由に自分を”ロールプレイ”をして自分のストーリーを作るのである

イベントはあるもののそれは、有志でイベントを設定して各々で盛り上がっていて

大物魔物の討伐数を競うのも、世界の隅々まで見て回るのも

NPCの王や貴族に取り入って貴族生活を楽しむのも自由である。


 ゲームとは言っても実体は幻想ファンタジー世界で

役割ロールプレイを演じて生活する為のソフトと言ってよかった。


 そのための魔物や王や貴族や商人のNPCが用意されているのである

これらを如何に自分自身ロールプレイのストーリーに沿って利用するかでもあった。

その中でも特に”攻略”組と呼ばれるグループは

嘗て紙の媒体の本が盛んな時代にあった幻想ファンタジー物語に出てくる

”冒険者”や”勇者”のロールプレイをする一群である

そういう一団の為に魔物やドラゴン等がMOBとして用意されていた


「実は、ボクは作るほう専門でプレイする側じゃ無いんだよねぇ」

というとベリアは

[ だったら、尚更、少女フレイメアのロールプレイにこだわらなくちゃ

攻略組で ”冒険者” や ”勇者” になりっきって居るヒトが殆どで

束の間の三時間、皆なりきりをして愉しんでいるんだもの ]

とまたボクに少女のロールプレイを勧めてきた。


「そうだぜ、 メアちゃんよぉ 何も恥ずかしがるこたぁねぇよ

現実リアル名のアバター(仮想体)使っているわけじゃなし

皆、ロールプレイをしたくて違う自分にしてんだ なぁアニィよ

ここははっちゃけちゃってもいいんじゃねぇか?

その中できちんとやることこなせば誰も文句は言えないと思うけどな オレはよ」

とキースまでベリアと同意見であったし

愉しんでロールプレイをしている、攻略組に素で接しても興ざめだろうということは

流石に理解出来た。

 

「うんそうだね ちょっとは気にかけてみるよ

流石はカウンセラーの雛の ”相棒” だね」

「おうともよ ここに来る前にオレ様がヒナのストレス物質を解消したトコだしな

あのままオペされちゃ敵わん」

「うわぁ、それは危なかったな えーコホン

......メアのベルゼーティアはどこに行ったのかしら? 」

と最後は少女言葉でロールプレイをしてみた。


「おぉ、兄貴よぉその調子だぜ 今のは良かったぜ なぁベリア」

[ そう、今の調子でどんどんなりきってね メアお嬢様 ]

とベリアまでロールプレイをしだす。

「オレは見なかったな 二つ目の質問だが

オレはヒナの従者扱いでな 直接此処に飛んで来たんだよ

ヒナをパーティーにしてあるだろ

でもよ おったまげたぜ こんなすげぇナビマウント引き当てるなんてよ

メアちゃん 運全部””かちゃったんじゃね?

「うん、メアもそれ心配してるの」

と慣れない少女言葉でロールプレイをする。


「そうかそうか でも心配すんな運がそう簡単には尽きねぇよ

ここで統計学の話を出してもいいんだが? 今は講義の場じゃねぇし

まぁ 詰まるところオレがヒナとの連絡役をやるからな安心しろって事だ

現実リアルとで、マルチタスク同時マルチスレッディングしているならではだな

ヒナのコール命令ががあれば直ぐにリソースをあちらに回すけどな

可愛いメアちゃんのためだ このキース様に任せな」

とキースは背が高い事をいいことに頭をぽんぽん叩く

まるで小さい”妹”扱いである


「まずはベル姉に逢わせてくれよ

オレの数万倍もの性能と機能のリソースを全て

こちら(VR)側にむけてんだ頼りにしたいのはオレのほうだぜ」

と言うと

「あら、キー坊 いらっしゃいな貴男も来たの? 」

といつの間にやら後ろには

ボクの愛用の 対話型量子応用コンピューター ”ベルゼーティア” が立っていた

「 キー坊はよしてくれよ ベル姉、もうこのナビマウントの全権を掌握したんだろ

すげぇぜ くるっと見回って来たと思ったらもう このナビマウントの機能掌握するもんな

たまげたぜ」

とキースは自分の後頭をぺしぺし叩いた。

「ふふ、こんなの児戯だわ私の演算能力の0.0001%ぐらいよ」

「うへっ さらっといいやがったぜ っとこんな話じゃねぇな

これからの”方針”を決めてオレはヒナにも報告せにゃいかんのよ

これは”業務”の部分だぜ よろしく頼まぁ」


「そうね ここは、皆でロールプレイよろしく ”円卓会議” といきましょうか」

とベルゼーティアは ”作戦” の口火を切った。



次回 7話 奇妙なNPC達

お楽しみに


イゲン・ルート・オンライン 設定集 人物編 暫定版からRev.0.1に変更しました

人物追加です


イゲン・ルート・オンライン 設定集 基礎編 Rev.0.1からRev.0.2に変更しました 

項目追加です。


設定集の

差分管理は大変ですので全て最新の設定に上書き更新です

軽微な誤字・脱字は次回更新の際修正します

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