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Phase7 奇妙なNPC達

7話 奇妙なNPC達


皆、小さいテーブルを囲み座る

「まず、メア貴女は此処レーヴェンティール内以外では

”ロールプレイ”を徹底してね

流石に、空中庭園内では素に戻っていいわ

アバター(仮想体)シンドロームの件もあるしね」


 アバター(仮想体)シンドロームとは、

乖離性仮想体症候群 (かいりせい かそうたい しょうこうぐん)

とも呼ばれ長いことアバター(仮想体)でVR空間内を過ごすと

自己境界が曖昧になり、様々な障害を引き起こすのである

性別・身体の差異が現実リアルと異なると

どちらが本当の自分か分からなくなり、現実リアルとアバター(仮想体)双方で

心のケアリングが必要になる。


 このゲームでもあまり現実リアルの性別と異なったり体格が

異なりすぎるアバター(仮想体)は禁止ではないが”推奨”されていない

国の ”比良坂会議” でもアバター(仮想体)性同一法案が議題には上るが

表現の自由及び現実リアルに心の性と体の性で不一致を感じる人々達を

考慮して可決までには至っていない。


どうやら、ボクはこのバグ問題が収束するまでリンクアウト不可らしいので

特にそれに陥らないようにするしなければならなかった。


「そう言ってくれると嬉しいな」

というと

キースは

「そうだぜメアちゃん 此処レーヴェンティールではリョウの兄貴に戻っていいんだぜ」

とさっきまであれほど”ロールプレイ”を押し付けて来た癖にしれっとそんな事を言ってのけた。


 ベルゼーティアは

「ふふ、貴男ってヒナと違って論理思考の塊のような感じだから もう少し柔軟な思考を

持ちなさいな」

と痛いことを突かれた


 そう、ボクは昔から教育課程中、現代国語やら倫理やら哲学といった

人文科学系が得意ではなく何時も単位取得に難儀していたのである。


 片や雛は、文系が得意で人文科学等が得意で

読む小説の傾向もボクはSFが主でファンタジー系はこのゲームコンセプトを

プレゼンテーションするにあたり、

雛の智慧を借りつつ難儀して読み込んで仕上げたくらいである

登場人物や背景等独自に解釈せねば、ゲームとして落とし込めないのである

魔法一つとっても物語世界の様にはいかず

解釈を元に作中の現象を数字やコードにしなければゲームは出来ないのである。


「とこでリョウの兄貴よ 先程例のアーカイブ小説 更新されたぜ」

「えっ、して日付は? 」

「それがよ、このオレも分からねぇ 日付データのみ欠落してやがってよ

ダメなんだわ でもよ文章データは欠落無しだないまダウンロードして

ベル姉に転送したぜ」

とベルゼーティアも頷く

「でよ方針はどうよ かなり話しが逸れちまったしな」


「そうね本来はメアちゃんが示すべきだろうけど いいわ

わたしが提案してあげる

先ず貴男メアは最前線の攻略組に食い込みなさいな

現在は3つ大きな攻略組があるわね それでいいんでしょ ベリア? 」

とベリアは コクリと首肯する


「女性アバター(仮想体)のみのグループ

男性アバター(仮想体)のみのグループ

混成アバター(仮想体)のグループねぇ

どれもこの世界オルティアの ”世界樹” の発見に躍起になっているわね」


 このイゲン・ルート・オンラインは”ラスボス”は存在しない

あくまで異世界を体験するための仮想世界である

魔物やNPC達はフレーバーなのである

しかしながら、多くのプレーヤーの間ではこの世界オルティアの何処かに

有ると言う”世界樹”の発見が最終目標であると思われている節があり

アバター(仮想体)の参加形式掲示板

現実リアル版とVR版が有る

トレンド・ちゃんねる で結構話題に登っているらしく

しばしば、煽りや諸元がはっきりしない噂などで

荒れたりして話題をふりまいていた。

 

 ボクは興味が無かったが

キースがリンクインする前にざっくり見た感じだと


中には世界樹これを見つけると現実リアル

願い事が叶うなんて発言もあった となかば莫迦にした調子で言う

「あれには驚いたぜ、現実リアルで 願いが何でも叶うなら

苦労はねぇ」

「あはは、そうだね」

とボクがいうと

「メアちゃん、呑気に笑っていられねぇぞ

その躍起になっている連中に食い込まなきゃなんねぇんだからよ」


「そうだね、まずは第一目標はその攻略組に食いつくことからだね

まぁさしあたって、女性アバター(仮想体)のグループに当たりをつけようかな」

「あぁその方がいいかもな ただメアちゃんはNPC扱いて事だ

いきなりは無理だと思うぜ ヒナが潜って来たら

その時が 本格的に動くときだと思うけどな

それまでに下界を散策したらどうよ 此処に居たって始まらんぜ」

とキースも提案する。


「そうだね 雛の非番までには時間もあるしベルゼに此処の管理頼めるかな」

「いいわ 方針としては今それが最善だと思うわ

キー坊、今の方針をヒナに伝えてよ わたしは、レーヴェンティールのあの

花の端末から現実リアルの ”トレンド・ちゃんねる” にアクセスしてみるわ」

と何やらニヤつきながらさらっと重要な事を言う

「そんな事出来るの あれ? 」

ボクは驚いていた てっきりトレンド・ちゃんねるはリンクアウトしなければ

使えないと思っていたからである。


「ただVR版でなく現実リアル版のテキスト版だけどね

しかし千年も前のアスキーアートも今だ健在なんて昔のヒトってすごいわぁ

広告表示もなくて却って使いやすいし

わたしにとって広告のデータはヒトで言うところの雑草扱いよ」

と戸口の垂れ下がった花の端末を操作しながらベルゼーティアは

しきりに感心していた。


 トレンド・ちゃんねるのVR版は空間内のオブジェクトに広告製品を設定出来て運営は

これで広告収入を得ていて

空間内はこうした広告オブジェクトが浮かんでいたりしている。

アバター(仮想体)で触るとその製品の購入意思を確認するメッセージが

出てその場で購入も可能だったしかし、


以前は広告オブジェクトのオススメがアバター(仮想体)につきまとってきて

 その製品の購入傾向が分かってしまうため

その ”つきまとい” が問題になっていて広告主に苦情が殺到して

広告主の企業が危機感を感じて運営に改版を要求


 今は、指で指し示さない限り近くまで寄ってこなく来なくなっており

広告収入は設置代金(月極)とアバター(仮想体)が触って購入が成立した時に

製品代金の一部から支払われることで賄っていて 雛はアバター(仮想体)で

何度か医師の専用ちゃんねる内でこの広告オブジェクト経由で購入経験が有るらしい。


 VR全盛のこの時代では

企業も運営もVR版の方が広告効果が大きいと判断しているのだろう 

現実リアルのテキスト版には広告表示はなくボクのような

合理主義の塊のような人間は却ってこっちの方が性にあっていた。

その機能がゲームのナビゲート・マウントのようなガジェットにまで搭載されているなんて

知らなかった。


「メアは運がいいのよ この空中庭園:レーヴェンティールだって定量制の

極々レア品で貴男ので最後よ」

とベルゼーティアも驚いたように説明した。


 運営では、度々こうして定量制のレア品を販売したりする

こうしておかないと確率とはいえ無限にレア品が出続けることになり

排出総数は、当然極秘だろうが、射幸心を煽られなくなるのでたいてはこうした仕組みを

設けていたのある 

しかもボクのナビゲート・マウントは更に期間限定品だったらしく

ボクの他には4個しか無いらしい


 それにレベル制を採用していないこのゲームでは

そこらの雑魚魔物からも ”レア武器や防具” がドロップしていた

大物の魔物よりは確率は低いがドロップテーブルには組み込まれている

とボクの会社の運営部門からも訊いているし

最初のリンクインのときに読まされる

同意書や簡易説明書にも明記してあった。


 ボクは何故かその過程が無かったが

本来は同意書をカイバーウェアで視点を動かし 視点走査率100%にしないと

了承出来なかった


 眼の前に浮かんだホログラムをカイバーウェアで視点を動かし下の方に

視点入力走査率100%のメッセージが出るまで”読まなければ”同意のボタンが

現れないのである。


 プログレスバーは出ず視点走査率100%になって初めてメッセージが出るので

作業的に視点を動かすなどして楽は出来ないのである

また目が不自由な人には音声で、一文節づつ自動音声で読み上げられ

その度に、了解と言葉で言うのである

そうした上でのリンクインでありこの時代の使用許諾書の形態であった。


 こうしてボクは再び始まりの街 ポータル・オベリスク:トルティアにベリアともに

転移した。

キースは一旦、全演算処理を現実リアルに振り向けて

雛に報告に行くと言う

そしてこの行動指針は、正式に 斎木 涼 の業務報告となる。


「まったく、両兄ぃったら相変わらず行動指針とかを決めるのは苦手なようね

組織人間そのものだわ」

と戻ってきたキースと駄弁っていた。


 雛もようやくオペが終了し、3日の非番の後、イプシウス社製最新医療機器の搬入

そして国内最初の臨床被験者の兄・涼の移動の運びとなっていた。


 ボクは、改めて最初の街をベリアと共にうろついていた

このイゲン・ルート・オンラインは現実リアル時間と同期している

昼は流石に、アバター(仮想体)も少ない時間であったが

時間限定イベント等もこの仕様を考慮されていて

企業体単位での時間限定イベント等の開催は申請が通らなかった。


 企業体単位でのイベントは大抵は期間開催であり、このゲームも昼と夜間では

魔物の出現種類は異なるもののドロップテーブルには影響しないし

現実リアルの休日には夜間しかいない魔物も討伐できる上

リンクインが3時間制限ということも相まってこれに関する不満は出ていなかった。


 街では、吟遊詩人のNPCが詩を歌っていた これは

比喩や暗喩などの文学的表現で歌われ

直接的な「アレコレを倒せ!! 」等とは言わない

プレーヤーはこれからクエストを読み解き、ケーム内マネー ”リーン” を支払い

クエストを受注する

尤も、通常クエストはギルド内でも受け付けていたが

吟遊詩人のクエストは大抵が、大規模パーティー(レイド)戦用である。


ふと

 ケット族の少女アバター(仮想体)がぼやいていた

「あぁ〜あ、 わたし手持ちすっからかんよ 武器に防具それに

お洒落用のアクセサリー買ったらまた 


薬草集め

腐れ大鼠退治

闇蚯蚓の雑魚退治

豚犬退治

腐肉塊スライム退治


のクエスト料金がかからない常設クエストからかな いやだなぁ めんどくさいし

これでも、このゲーム長いことやっているのにな」

「へへっ 女アバター(仮想体)は現実リアルも仮想も大変だな

オレはこの通りウル族の盾役タンクだし漢だからな

装備が良ければ全てよし お洒落なんざ興味がねえな」

「フン アンタはそれでもいいかもだけどね 私はお洒落もしたいし

武器や防具もいいの持ちたいのよ」

「へいへい、分かってら オレとパーティー組まないか? クエスト料金は俺持ちでいいぜ」

「へえ 気前いいんだ 下心あるんじゃ? ...」

「おっと、莫迦言わないでくれよ 俺も盾役タンクだけではどうしようもねえだろ

防御はいっぱしだが攻撃力はねぇ、アンタとは逆さ ...なぁ いいだろ? 」

「そうねぇ ......いいわ あとあの達もパーティーに入れようよ 可愛いし どお? 」

とボク達に視線を投げていた。


「あン あれ”NPC”じゃねぇか言う通りになんか動いてくれねえしこちらが

あの”NPC”が上手く動くように誘導しなきゃなんねし オレはいやだね

ちゃんと”肉入り”さがすさ オメェのようにな」

「”肉入り”なんて 嫌な言い方ね」

「けっ 1000年前のスラング使ったってよ いいだろ」

とウル族のプレーヤーがケット族のプレーヤーの頭をぽんぽん叩いていた

「そうね スラングは別に気にしてないけど 

ただ今や古語扱いだから ちょっと古くさい言い回しで嫌だったの


 まぁ

可愛いけど ”NPC” じゃ しょうがないかぁ でもあと一人最低でも治癒役ヒール

が欲しいね ...... ネェそのヒム族の 貴女、治癒役ヒーラーでしょ一緒に入らない? 」

とケット族のプレーヤーが言うと 声を掛けられた錫杖を持ったヒム族の少女は

「わぁ ありがと 私も実は手持ちがすっからかんでどうしようかと思っていたわ」

「ちっ二人共、無一文かよでもいいぜサキュホーン10体狩りと行こうぜ

それでお釣りがくるだろ」

「いいわ いいですよ」

と二人の女性は同意したらしくパーティーを示すアイコンが胸に表示された

このアイコンガジェットはパーティーが成立すると

胸のアクセサリーとしてガジェット表示される

ウル族の男性はバッジ、女性にはそれぞれ鳥のブローチと蝶のイヤリングの

ガジェットが装備された。


 このガジェットはパーティーが成立すると

個々人の設定でバッジやブローチ又はイヤリングと形を変え自動で装備され

使い捨てのユニークなIDが振られるそして

アイテムのドロップ管理用インベントリがパーティーで共有される

此処に一旦全ての素材が格納されリーダーが分配を決め全ての面子が合意すると改めて

個人のインベントリに格納されて個々人の所有権が発生する

所有で揉めた場合などは

システム判定にすることもできる。


 盾役タンクなら攻撃を防いだ量攻撃役なら与ダメ量治癒役ヒール役ならヒール量など

それぞれの役割ロールに応じたグラフが表示されパーティー全員がこれをみて

リーダーが最終的に采配するのである。

それでも納得行かない場合はランダム判定で決め一定時間所有権が決定しないと

消去される。


 大抵はシステム判定で事が済むことが殆どであり大事にはならない

そのためそこらの雑魚魔物でも瞬殺を防ぐため体力や攻撃力は見た目より強く設定されていて

設定上弱い魔物は群れで襲って来たり更に上位の魔物を呼んだりと

パーティーメンバーが”何もしない”で討伐されることを”極力”防いでいるのである。


「おし それじゃ行くか 行く前に痛覚感度の調整はいいか お前らがマゾっていうんならいいがな

後、分配はオレの采配と皆の合意でいいか? 」

「異議なしです」

「おう、今回はオレがクエスト料金をもつからな 分配は慣れているし街の外にでたら

PKプレーヤーキラー ......いや此処は 雰囲気をだしてだな ”ならず者” 

に殺られないようにな 行くぜ」

と三人は街の境界にいる衛兵の向こうのフィールドに出ていった

街とフィールドにも見た目に分かる境目や境界も無く、世界観設定上は”魔抗結界”を

過ぎると、


これからは”フィールド”です PKプレーヤーキルとフィールド痛覚感度が有効なります


のメッセージのみが出るのである


 そう言えばボクの痛覚感度がどうなっているんだろうとメニューから諸設定の痛覚感度の

項目をみて愕然とした 


アバター(仮想体) フレイメア 痛覚感度

拠点・街 : 1 これは固定されています変更できません

フィールド : 10 これは固定されています変更できません


 となっていてグレイアウトしていた

痛覚感度はアバター(仮想体)への攻撃等の痛みの度合いが実際に脳へフィードバックされる

感覚である

つねったり転んだりぶつかったなどの痛みも同様で

街は現実リアルと同様であるがフィールドでこれらの痛みは勿論、攻撃が当たったなどの

痛みが通常の10倍にはなると言うことでもあった


 このゲームは満15才以上からプレイ可能であり18才迄は

痛覚感度を3迄しか設定出来ない様になっている

これは、教育課程中と言うこともあり現実リアルの躰や精神を配慮しての事であった。


 これは死んで拠点戻りした時のことを考えると今から及び腰であった。

しかも種族も ホムンクルス でヒールでのLPライフ・ポイントの回復量も

魔族と同様低く 同じヒール効果で回復量が少ない

継続してフィールドで調査するには死に戻りは避けたかった。

それに痛覚の問題もある

 雛にも言い含めておかければならない事柄だった。


「やれやれ、気が重いわ」

と慣れないロールプレイをしながらギルドへ向かった


 「やっほー メア 元気してた? ...ってまたエトランスからパーティー拒否られたの? 」

「まぁ、そんなトコよ どうしたらいいのかしらね」

可愛さを精一杯演出した。


「おやぁ いつの間に オンナノコになったのかな? 中の人男性でしょ? 」

とリアはからかう様な顔つきをする

「いやぁ、ナビゲート・マウントの拠点以外はこうした方がいいって 言われてね

窮屈だけどね これもバグの原因を探るためさ 仕事だからね」

「ふ〜ん 私は何時もその調子オンナノコで問題ないわ 中の人が男性としてもね」

と相変わらずボクには親しくAIとは思えない反応を返す


「まぁヒナさんが来るまでブラブラしてたらいいじゃない

様子見も有るでしょうし」

とまるで人そのものの反応であった


「ところで彼処にいた 可愛いNPCの露天のはどうしたの? 」

と尋ねた 確か表通りに居たはずのNPCが見当たらない

すると NPC:リアは 

「あのねエトランスの男に虐められて”病気で臥せっている” の 後3日後ぐらいには

復帰の予定よ」

と言うがなんの事かさっぱり分からない

首を傾げ困った顔をしたらしいボクを見て リアは


「そうねちょっと来て」

と耳の傍で

「あのエトランスの男性の憂さ晴らしに有って”死んじゃった”の

このゲームはNPC殺しも出来るけどそうなると

他のエトランス(プレーヤー)が

お買い物とか困るじゃない 

だから ”一定時間、病気で臥せてること” になるわけ

そうなると他のエトランスもその間お買い物出来なくから

NPC殺しをすると間接的に他の皆にもペナルティが課せられるってわけ


 でも、そのNPC殺しのエトランスは一切、そのからは買い物できなくなるわ

仕事クエスト発行担当は、お仕事クエスト受けられなくなることは無いけど

その代わりクエスト料金が跳ね上がるわ

あの可哀想に3度も憂さ晴らしに有ってその度にお買い物の代金が跳ねあがって

更に憂さ晴らしに合って今回で3度目 あとは一切買い物も出来ないし接触判定すら

あのエトランスに対してだけ無くなったからいい気味よ」

と小声で教えてくれた

 このゲームでは、アイテム等も現実リアルと同様

おカネのオブジェクトをわたしてやり取りする

なので、

プレーヤー同士も同様で過度なハラスメント行為に発展しない程度で

接触判定も存在していたし、偶に現実リアル同様

ぶつかった・ぶつからないでいざこざが発生する時があるらしい

リアがこのことも含めて教えてくれた。


(そうなのか、オンラインでは皆がNPCを共有している

誰かが”殺す”と後のプレーヤーが利用出来なくなる。

NPCのリスポーンをこうして一定時間、 ”病気で臥せてること”にして

世界ゲームの整合を保つ訳だ

あとは”リア”の説明通りか

...にしても 彼女は台詞な最後で ”いい気味” と感情を表現していたな

明らかにおかしいな

まぁ彼女には”不死”属性がついているし乱暴狼藉をしても ”病気で臥せてること”には

出来ないからかもな

やはりヒナが来てから一緒に行動しなければ何も出来ないか)

とボクは

「ありがとう リアさん ...って君はNPCだったね」

というと

「うふふ でも ”うれしいわ” あと今夜から十日間 オンナノコのイベントがあるわ

中央広場にて19時から翌1時迄”バレンタイン週間”よ メア貴女もきてね」

とちゃっかり宣伝も忘れない


 街内では季節イベントはそれに合せてデコレーションされ賑やかな装いとなる

こういったイベントはやはり1000後の新暦5xx年の今でも健在であった

 

 流石にフィールドは世界観重視でデコレーションはないが

街はこうしてデコレーションでプレーヤーを愉しませるのも、ゲーム世界ならではであり

季節限定のアクセサリーもアイテム販売やそれを製作出来る魔石が特別に

ドロップテーブルに加わる

防具や武器も季節イベント品は全て世界観重視でこの期間内のみ装備出来る

武器や防具アクセサリなどであり

たとえ季節イベントを過ぎてもこれを素材にして通常装備に仕立て直すのもよし

来年の同イベントまでしまっておいてまた装備するも良しで使いみちはあった。


 協賛各社趣向を凝らしたイベント品で自社製品をさり気なくプロモーションするのも

恒例である


 しかも今回のバレンタイン期間は

アバター(仮想体)アイドルも今夜のイベントに出るらしいと

早くもプレーヤー間で話題になっていた



 メンバー : ショウ・タクム・タケル・ハズム・タイガ・ロウガ で構成される

男性アイドルグループ グループ名 : ブルーエアー・ホライズン 


 メンバー : ルンナ・リンナ・ユウナ・ネルリ・ツバキ・カナデ で構成される

女性アイドルグループ グループ名 : パッション・ホライズン

でそれに新たに加わる ”ユノン” の初お披露目とあって

14時であったが早くもポータル・オベリスク:トルティア

に続々とエトランス(NPC側から見たプレーヤー)がリンクインしてきていた

しかも今回は

 

新曲:ギリギリ♡(はーと)にキリキリMindマインド


 も同時発表ともあって何時になくリンクイン数が多いらしい

ボクも、普段はあまり関心がない、アバター(仮想体)アイドル ”ユノン”には

興味が湧いていた

なぜならボクの”ベルゼーティア”をボクのデザイン原案を元に

実際にモデリング監修した 

大人の男性の義体と少女の義体を使い分ける、旧街区の天才技師で

ナノゼリーのトップモデラー

沢村サワムラ 昇一ショウイチ氏のフルスクラッチモデルアバター(仮想体)

だったからで氏のファンも多く、実際コレ目当てで

各界の著名なモデラーがこぞってインするぞ

と早くもトレンド・ちゃんねる内で話題に成っているらしい。


 かくいうボクも、氏の造形したアバター(仮想体)は興味があった

中の人は男性でもあるし、本人には直接会った事もある

尤も彼は日本でも数少ない ”戦略級無形知識保有者” に指定されて居る人物で

脳以外は全て義体化しているので

お気に入りの少女の義体では有ったが。


 そこで気に成ったのがやはり”NPC”達の反応であった。

「へぇ、エトランスのアイドルねぇ 私も行きたいなぁ」

「ダメダメ、アンタは持ち場があるでしょ? エトランスが来たらどうするの」

「いいなぁ、エキストラのNPCだと縛りがなくて」

「わたし、詐病使っちゃおうかな」

「出来るわけ無いでしょ、アンタの分まで愉しんで来るわ」

等と”NPC”達が言っていたのである。


 やはり、事務的なパターンでなしに自然な”人”のやり取りであった

新しいAI行動のアルゴリズムを試している国家プロジェクトでもあるのか

判断が付かなかった。

ここら辺も社会事案に詳しい雛に訪ねてみるしかなさそうだった。


 ボクは要点をテキストファイルに起こしつつ、

少女のアバター(仮想体)で、イベント前特有のお祭り前夜にも似たワクワクを愉しんでいた

ちなみにネーベリアは今は、魚の形態に成ってボクの周りを浮遊していた

流麗な闘魚のような姿で

『ふふ、NPCが二人共連れで立っていると周りの目も気になるし可愛いでしょ? これ』

と可憐に宙返りをする。

「いいんじゃない 凄く可愛いわ」

というとまた嬉しそうに宙返りをして返事を返した。


「見て見て、あの可愛いNPCののアレ、今度実装予定の新しい召喚獣かな

何処のプロモだろ アンタ見たこと無いよね あの魚」

「そうだね、 初めてみたな この”ネッソス”様としちゃ見逃せないね」

「うわぁ でたよ ”ネッソス” のデータコンプ発言 ”ニードキール” と争って

いるんでしょ それ」

「あぁ、もちろんさヤツとはどちらが早くデータコンプ出来るか競っているんだけど

僕とヤツで追い越し追い越されって感じだね。

 

 このゲームは

クライアント解析を防ぐ目的で視界に入って初めてクライアントに

アイテムデータが読み込まれる方式だろ

だからね ついついね 僕は現実リアルでも アバター(仮想体)アイドルの

ホログラムフォトモデル多数 コレクションしてんだ」

とダークエルフの ダークエル族 の男性 吟遊詩人らしい リュートとレイピア

ナビゲートバディに子竜型ワイヴァーンを連れた男性アバター(仮想体)が自慢気に

話していた。


 この立体ホログラムフォトモデルはポーズデータと表情データを購入しモデルにインストール

するとそのポーズと表情をしてくれるのである

また、衣服は交換出来ないので 新しい衣服のホログラムフォトモデルが発表される度に

発売されるのである

ポーズデータと表情データはその立体ホログラムフォトモデル共通であるので

これもコレクション対象でこの時代ならではの電子フィギュアだった。

 

「もう、トレンド・ちゃんねるに、投げちゃった レス楽しみね」

「アンタてミーハーね って中の人って女? 」

「ふふ ソレは言えないな ”お約束”だろ 」

「ごめんね 中の人の性別を尋ねるのはマナー違反だったね」

「気にしなくていいよ あまり立ち入ったことでなければいいよ」

と二人の男女のアバター(仮想体)は早くも会場に向かっていった。


見慣れた、ウンディーネ族 のアバター(仮想体) ヒナが ボクの所に駆け寄ってきて

「あーっ いたいた はぁ なんとか間に合ったわぁ」と


声をかけられた


いよいよ19時近くになり、季節イベント”バレンタイン”の開催である



お待たせ致しました

次回 8話 NPCであるということ

お楽しみに

ニュアンスの変更は有るかも知れません

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