閑話 従魔たちの会議模様その② 【ツーク視点】
『お~、騎士団ッスねぇ』
『ね~』
『……』
村の広場に帰ってくると、甲冑を来た兵士たちの姿。
なんだかえらい頑丈そうな馬車もありやすから……。
盗賊たちの未来、大変そうですねぃ。
ま、自業自得ってヤツでさぁ。
『……』
『あ、ルゥ兄さん。お背中、痛くありやせんか?』
『……兄さん?』
『ボクがフゥ兄さんで、ルゥがルゥ兄さんらしいよ~』
すいやせん。それ、そのままッス。
…………なんて、兄さん方の前じゃ言えねえええぇぇぇ!!
『? どうしたの~ツーク?』
『い、いえ。オレっち、自分の限界に挑戦中で……』
『え~? ツーク、へんなのー』
『タ、タハー』
……アニキ、助けてくだせぇ。
たぶん、ツッコミがオレっちだけじゃ追いつかねぇッス。
『我はそう長くは生きていないと思うが』
『え? そうなんですかい? てっきり三十年ほどは──』
『ボク百年~?』
『我は八十年ほどだな』
『ピャーーーー!!??』
想像以上に年上――!?
『ツークは~?』
『ええっと、アニキに拾われてからだから……二十年?』
『わ~、赤ちゃんだねぇ』
『い、いえ。そこまでは……』
『……魔力のない動物に比べれば、我ら魔獣というのは長生きではある。
だが、ツークの魔石を見るに我らよりも長生きしそうだな』
『ほんと~キレイ~』
『そ、そッスかねぇ? なんせ、同族に会ったこともありやせんし……』
『同じ種族でも、魔石がある以上魔力の質が違えば寿命も違う』
『人間は魔石ないんだっけ~?』
『なんか、魔石に代わる魔力を作る仕組み? ってやつがあるらしいッス』
『へ~、おもしろ~』
ほ、ほんとにフゥ兄さんは独特でいらっしゃる。
このオレっちが会話で遅れをとるなんて──!
『時にルゥ兄さん』
『?』
『ルゥ兄さんの、かっこよさの秘訣って……なんかありやす?』
とりあえず、オレっち。見た目はかわいい。
かわいいの師匠はいなくてもいいが、頼れる男、頼れる従魔の師匠は何人いてもいい。
『かっこよさの……秘訣?』
『なんか、ボクたち男の中の男なんだって~』
『そりゃもう! Aランク冒険者の従魔なんて、実力もあればハートも熱い! そんな者にしか務まらないはずでさぁ!』
……あ、オレっち、実力はないんじゃ……。
『ほう? 殊勝なことだ。リシトといったか、奴のために己を研鑽しようと?』
『へい! オレっち、アニキを大大大人気冒険者にしてあげたいんでさぁ! そのためにまずはオレっちが熱い男になりやせんと!』
……あれ、オレっち、方向性まちがってる……?
『? なんで~?』
『……へ?』
『大人気冒険者とやらに、なる必要があるのか?』
なんで? うーーん。
なんで、と言われれば──
『実はアニキ、他人のことをよく見ているわりに、自分のことはあんまり見えてないんでさぁ。そのせいなのか、自己評価も低くてですねぇ……。まぁ、一緒にやってたメンバーが個性的すぎるってのもありやしたが、固定パーティを追放されちまったんですよ。おっさんで、補助魔法一本の付与術師なんていらねーって』
『えー! ひどーい』
『ほう。リシトからは心地よい魔力を感じるがな』
『! そう! そうなんスよ! ルゥ兄さん、わかりやす!? たぶん、オレっちの見立てだとアニキ、魔力量はとんでもないんですけど……。適性が補助魔法だけだったみたいで』
『へ~めずらしいね~』
『そうなんスよ~。なんでなんスかね~』
『魔力量も適性も、個人差はあるだろうからな。仕方あるまい』
『でも、めずらしい特技をお持ちなんですよね~』
『とくぎ~?』
『そッス、補助魔法を料理にかけれるんスよ! オレっち、もうそれの虜でして!』
『……え~?』
『料理? つまり、リシトの補助魔法というのはスキルによる先天魔法なのか?』
『え?』
『ツーク、どうしたの~?』
『なんだ、違うのか?』
『えーっと、スキルは【鑑定】のはずなんですけど……』
先天魔法? なんでしょう、そりゃぁ。
アニキなら知ってますかねぃ?
『ふ~ん? あ、でも【鑑定】だったら補助魔法との相性はいいよね~』
『そうなんですかぃ?』
『セレは魔法の適性はほとんどないが、魔力を見極める力なら抜群だぞ。補助魔法とは、付与する相手の魔力を把握する必要があるからな。いい組み合わせではある』
『へぇ~、そうなんですかぃ』
『んー? リシトって、付与術師なんだよね~?』
『そッスね』
『なんでツークが知らないの~?』
『…………、なんででしょうねぇ~?』
アニキ、たいへんです。
オレっちたちあまりに感覚派すぎて、魔法のことよく分かってないかもしれやせん。
『仲間の魔術師に教わるとか~?』
『い、いえ……そういう機会は……』
あのリリムがアニキに魔法の教授をするなんて……。
あり得ないッス!
『固定を組んでいない期間が長かったのか?』
『ッスねぇ……。アニキは冒険者としての心得はたっくさんありましたけど、そう言われると魔法について人に教えてる姿はあんまり見なかったッスね』
『誰かに師事する者も多いだろうが、冒険者であれば自己流の者もいるだろう。まして、スキルや魔法適性のような個人差のある知識は、冒険者になる前から調べているだろうからな。戦術の指南ならともかく』
『セレは知識欲ハンパないから~』
あー、アニキ。スキルが【鑑定】だったから、ちゃんと勉強してこなかったんですかねぃ……?
『……もしかして、今のアニキに足りないのって……』
めっちゃすごい人から教わる、環境?




