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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
捌幕
56/61

大妖怪・八岐大蛇

九尾とは比べ物にならない妖力。…流石は「常闇の君主」といわれるだけはある。

薄暗い狭い通路を駆け抜けて、また広い場所に出た。

上を見上げれば、天井がないのか黒雲に包まれた空が見えた。


陽矢「…。…!」


周りを見渡していると、黒い鳥居…禍々しい妖気のするところにぐったりとした朝美を見つけた。どうやら気絶しているらしく、全く動かない。

俺が一歩踏み出した直後…地面が揺れた。


陽矢「っ…!」


その正体はすぐに分かった。

アレ。八岐大蛇が姿を現したからだった。


八岐大蛇『我ニ刃向カウ人間ヨ。貴様ハ何故ココマデ来タ』


陽矢「何故かって?…決まってるだろ。お前を退治しに来た!」


八岐大蛇『…ホウ。人間トシテハ珍シイ。千年前我ヲ封ジ込メタアノ男トヨク似タ強イ目ヲシテオル』


陽矢「…」


なんだろうか。こう、敵ながら器の大きさを感じる。

やっぱり「君主」というぐらいだから、広いのかもしれない。


八岐大蛇『我ハ元ヨリ何千年ノ時ヲ生キテキタ。コノ目ニ映ッタノハ、醜キ人間ノ姿ダッタ。我ハ耐エキレナクナリ、ナラバ我ガ腹ニ収メタ方ガマシダッタ。

 ソンナコトヲ繰リ返シテイルウチニ、我ニハ仲間ガデキタ。ソシテ、コノ世ヲ征服セント思ウヨウニナッタ。

 ノウ、人間。我ハ結局何ガシタカッタノダロウカ』


陽矢「……。…俺には、分からないさ」


八岐大蛇『ソウカ。アノ男モ同ジヨウナコトヲ述ベテイタ。

 サテ人間ヨ。貴様ノ目的ハ我ヲ倒スコトダッタナ。ナラバソノ願望、我ニブツケルガ良イ!』


八つの首を持ち上げ、俺を見下げる。

俺は奴に対抗する為に、十六夜を構え体勢を整えた。
































──夜月」


夜月「………父上…?」


桃芽「急所は外れていましたので、思っていたより大事には至らなかったので良かったですわ」


夜月「…。…そうだ、陽矢は!…っ」


桃芽「無理はしないで。傷は深かったのですから」


吉平「おそらく陽矢は…一人で」


夜月「そんな無茶な…!」


吉昌「……」


暦「ん?どうしたんだ父さん」


吉昌「…どうも、争っているような気配がしない。何か違和感を感じる」


暦「…どういうことだァ?」


夜桜「そういえば…なんだろ、桃芽の顔色がさっきよりは良くなってる」


桃芽「…はい?」


吉平「桃芽は体質的にも障気や妖気に弱いからな…。

 何かあったのかもしれない。皆、急ぐぞ」


暦「夜月、乗れ」


夜月「……は?」


暦「背負うから乗れ」


夜月「い、いやいい」


暦「無理すんなって。その怪我じゃ走れないだろ」※天然


夜月「わ、私はそんな子供じゃ…きゃあ!?お、降ろせ暦!」


夜桜「いやー天然って罪だねー桃芽(黒笑)」


桃芽「そうですわねー兄様(黒笑)」

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