大妖怪・八岐大蛇
九尾とは比べ物にならない妖力。…流石は「常闇の君主」といわれるだけはある。
薄暗い狭い通路を駆け抜けて、また広い場所に出た。
上を見上げれば、天井がないのか黒雲に包まれた空が見えた。
陽矢「…。…!」
周りを見渡していると、黒い鳥居…禍々しい妖気のするところにぐったりとした朝美を見つけた。どうやら気絶しているらしく、全く動かない。
俺が一歩踏み出した直後…地面が揺れた。
陽矢「っ…!」
その正体はすぐに分かった。
アレ。八岐大蛇が姿を現したからだった。
八岐大蛇『我ニ刃向カウ人間ヨ。貴様ハ何故ココマデ来タ』
陽矢「何故かって?…決まってるだろ。お前を退治しに来た!」
八岐大蛇『…ホウ。人間トシテハ珍シイ。千年前我ヲ封ジ込メタアノ男トヨク似タ強イ目ヲシテオル』
陽矢「…」
なんだろうか。こう、敵ながら器の大きさを感じる。
やっぱり「君主」というぐらいだから、広いのかもしれない。
八岐大蛇『我ハ元ヨリ何千年ノ時ヲ生キテキタ。コノ目ニ映ッタノハ、醜キ人間ノ姿ダッタ。我ハ耐エキレナクナリ、ナラバ我ガ腹ニ収メタ方ガマシダッタ。
ソンナコトヲ繰リ返シテイルウチニ、我ニハ仲間ガデキタ。ソシテ、コノ世ヲ征服セント思ウヨウニナッタ。
ノウ、人間。我ハ結局何ガシタカッタノダロウカ』
陽矢「……。…俺には、分からないさ」
八岐大蛇『ソウカ。アノ男モ同ジヨウナコトヲ述ベテイタ。
サテ人間ヨ。貴様ノ目的ハ我ヲ倒スコトダッタナ。ナラバソノ願望、我ニブツケルガ良イ!』
八つの首を持ち上げ、俺を見下げる。
俺は奴に対抗する為に、十六夜を構え体勢を整えた。
──夜月」
夜月「………父上…?」
桃芽「急所は外れていましたので、思っていたより大事には至らなかったので良かったですわ」
夜月「…。…そうだ、陽矢は!…っ」
桃芽「無理はしないで。傷は深かったのですから」
吉平「おそらく陽矢は…一人で」
夜月「そんな無茶な…!」
吉昌「……」
暦「ん?どうしたんだ父さん」
吉昌「…どうも、争っているような気配がしない。何か違和感を感じる」
暦「…どういうことだァ?」
夜桜「そういえば…なんだろ、桃芽の顔色がさっきよりは良くなってる」
桃芽「…はい?」
吉平「桃芽は体質的にも障気や妖気に弱いからな…。
何かあったのかもしれない。皆、急ぐぞ」
暦「夜月、乗れ」
夜月「……は?」
暦「背負うから乗れ」
夜月「い、いやいい」
暦「無理すんなって。その怪我じゃ走れないだろ」※天然
夜月「わ、私はそんな子供じゃ…きゃあ!?お、降ろせ暦!」
夜桜「いやー天然って罪だねー桃芽(黒笑)」
桃芽「そうですわねー兄様(黒笑)」




