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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
捌幕
54/61

九尾・ツヅラオ

九尾はどこかに太陰を隠し持っているだろうが…こいつを倒さない限り出てこないだろう。


陽矢「汝ら5神の力を十六夜に宿せ!」


天照に授けられた力と修行のおかげで、今までは一つずつじゃないと宿せなかった四神の力が、一度に5神の力を宿せるようになった。


吉昌「(修行を積んだとはいえ、短期でここまで操りきれるようになるとは…流石だ)」


九尾『オロチ様の所に行かせる前に、貴様をこの場で亡きモノにしてやろう!』


素早い動きで俺に向かって突進を仕掛けてきた。間一髪それで避ける。


陽矢「あんの狐野郎…」


夜桜「えー…これもしかして僕も武器出さないといけない?扱い辛いんだけどなー…」


暦「当たり前だろーが。…あ。(小声:桃芽守れるのお前だけだぞ?)」


夜桜「ハッ!」


そんな言葉でやる気出させるってなんだよ。嫌だぞそんな兄。


夜桜「宝剣・『夢見草(ユメミグサ)』、『挿頭草(カザシグサ)』。…先代達の仇、とでも言っておこうか」


桃芽「…」


心成しか二人の眼つきが変わった気がする。


九尾『………ああ。あの男か。クカカッ!ならば貴様も食い殺してやろう!

 あの老い耄れどもののようにな!』


人食い狐かよ!


夜月「二人の祖父母があの日亡くなったことは知っておったが、まさかコイツに殺されていたとは…」


…。祖父の方が神威(カムイ)、祖母の方が神楽(カグラ)。二人とも良い人だったのは覚えている。

…確かに、微かだが九尾から昔感じたあの二人の気配がする。


陽矢「だったら尚更倒さねえとな」


十六夜を構え直して九尾と対峙する。

奴は九つの尾を俺達に向けて突き刺してくる。近付こうにも近づけない。

俺は高い岩場を見つけて一旦そこから様子を見ている。


陽矢「あの尾をなんとかして止めれば隙が出来そうだな…」


そこに桃芽と夜桜が俺の横に跳んでくる。


桃芽「隙を作れば良いのですね」


夜桜「だったら任せてよ。桃芽、やるよ」


桃芽「はい」


二人が頷いて飛び降りる。俺も少し遅れて降りた。


桃芽・夜桜「「秘儀・桃桜(トウオウ)乱舞!」」


二人が持っている武器を地面に突き刺すと、花護寺家特有の印を結ぶ。

どこから出てるのかわからないが桜と桃の花弁が舞っている。

花弁が九尾の尾に取り付いて、どうやら動きを止めてくれているらしい。


桃芽「持ってせいぜい数秒ですわ!」


夜桜「今だ陽矢君!」


陽矢「分かった!」


九尾『クッ…小癪な真似を!』


二人の術を振りほどこうと足掻く。確かに数秒ぐらいみたいだな。

九尾が動き出す前に、俺は懐に入った。


陽矢「おらぁッ!」


九尾『ギャアアアアアッ!!!』


十六夜で奴を斬ると、悲鳴を上げながら消えた。

そこには…天邪鬼と名乗っていた時に持っていた笛とはまた別の笛が落ちていた。


吉平「これが『太陰』だ。…やはり、奴が持っていたか」


父様が笛を懐にしまう。

そして、この先に進む為の道を探そうとした時だった。


暦「?…あれって、まさか…」


陽矢「…」


俺がここに来た目的の一つ。

行方不明になった神奉神社の巫女二人を捜すこと。


「…」


綺羅は東清村で見つかった。

朝美は…ここの生贄にされてしまうことを知った。


その朝美が、目の前にいた。


「…うぅ…」


陽矢「……朝美…!」


暦「あっ、お、おい陽…」


思わず俺は朝美に向かって走っていた。

だが…


「…。

 馬鹿な人間だ、貴様は』


陽矢「…え?」


突然朝美が目を開いたかと思うと、その目はあの九尾と同じく赤い目だった。

この朝美は九尾の化けた偽者。それに気付いた時には遅かった。

奴の背から黒い九つの尾が姿を現し、手には今にも俺を貫こうとする刀が握られていた。


陽矢「しまっ」


俺の視界は突然暗くなった。

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