北森村
「__、___。こちらへ来なさい」
「…ちちさま。ボクもよぶなんて、どうしたの?」
「…。今から、__に託した神器を、___に継承させようと思う」
「?」
「…ほんきですか、ちちうえ。まだ___はこんなに幼いのに…」
「…__。これは、どうしても…今日中に___へやらなければならないんだ。…わかってくれ」
「…まさか、___の身に──」
「__」
「!……わかりました」
「…どうしたの?」
「……わたしは…どうしたら……、いや…なんでもない…」
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──陽矢」
陽矢「…ん…?」
目が覚めると、どこかの屋敷の中にいる。
…にしても何だ、今の…。
レキ『何だ何だ?また長いこと寝てるかと思えば、涙流してよ』
陽矢「涙?…あ」
確かに目を擦ると、裾が濡れた。
陽矢「…なんか、夢を見てた気がする。…肝心なところは、穴だらけだったけど」
レキ『夢なァ…。ん、もしやアレか?「夢見」ってヤツか?』
陽矢「…夢見?」
桃芽「昔のことであったり、正夢の様なものであったり、時に人の記憶も…ということがあるのですわ。
夢見となると…。…貴方にはそれなりに強力な霊力があるそうで」
陽矢「それなりってなんだよ」
桃芽「己の意思で見ている訳ではなく、突然見ているということなので。
中途半端に強い霊力だとそうなるのです。もしくは、まだ力が目覚めたばかりなので操りきれていないだけか…。まぁ、どちらかですわね」
陽矢「はぁ…。…で、ここは?」
「目が覚めたようじゃな」
なんか前と同じような感じだが、女性が俺達のいる部屋に入る。
「妾はヤツヒメ。ここ、北森村の村長じゃ。
お主等か、ガクツチのいう『百』の執行者というのは」
北森村村長‐ヤツヒメ。
なんだかミクマリさんとはまた違った雰囲気だな…。
ヤツヒメ「お主等が来たということは、やっとこの村も平穏が訪れるのか。そうかそうか…」
陽矢「…」
…どこかで見た気がする。
朱雀の時以来、日神祀の何もかもが懐かしく感じる。それに、小さな頭痛がしている。
一体俺は…何者なんだ?
ヤツヒメ「…お主。どうやら何か疑問があるようじゃな」
陽矢「…」
ヤツヒメ「まぁ、その答えは妾が言うよりも、お主自身で見つけることだ」
──かかっ、無邪気な童じゃな。お前様とこの御子は──
陽矢「っ…」
ヤツヒメ「…どうかしたのか?」
陽矢「…いえ。何でもないです」
夜月「…」
この村で起きていることをヤツヒメさんに聞いた。
思っていた通り、5神のうち一人がこの地で村人達を苦しめているらしい。
ヤツヒメ「いくら妾が玄武の眷属とはいえ…相手は5神のうち一つじゃ。流石に妾でも敵わんものじゃ」
レキ『玄武。確か草木を司る神サマだったな…苦しめるとなると、農作物が取れないとかそうなるか…』
陽矢「…草木を司る神か。…草木には火炎、朱雀の力が一番良いな」
ヤツヒメ「健闘を祈るぞ。『百』の執行者よ。
…と言いたいところじゃが、どうやら南焔から来てすぐのようじゃ。神の力があるとはいえ無理は禁物、今宵は休むが良い」
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その日の夜。
俺はなかなか寝付けなかった。
陽矢「…」
「寝られないのです?」
珍しい人に声をかけられた。
陽矢「…桃芽」
桃芽「あまり深く考えていると、身が持ちませんわよ」
陽矢「…分かってる」
なんだかこうやって話してると、姉みたいな感じたな。
まあ、多分俺は一人っ子だから…。…一人っ子……。
陽矢「…なあ桃芽」
桃芽「何です?」
陽矢「…桃芽は、俺の両親を知ってるか…?」
桃芽「…。悪いのですが、私には…」
陽矢「…そうか」
桃芽「…。けれど、これだけは言えます。貴方のご家族は霊神村にいます。…おそらく」
陽矢「…」
桃芽「おそらくですから、確証はありませんが…」
陽矢「いや。それだけでもいいんだ、両親がそこにいるんだって分かったなら。ありがとう」
桃芽「礼を言われる程では…」
霊神村…。俺達が最初に向かおうとした場所だ。
そこに、俺の両親…。
俺はその事を思いながら、眠った。
桃芽「…(言って良いのか、私には分からないのです。本当に、彼のご家族がそこにいるのか…。
私も、レキと夜、兄様に聞いただけですから…)」
夜月「……」




