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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
肆幕
21/61

北森村

「__、___。こちらへ来なさい」


「…ちちさま。ボクもよぶなんて、どうしたの?」


「…。今から、__に託した神器を、___に継承させようと思う」


「?」


「…ほんきですか、ちちうえ。まだ___はこんなに幼いのに…」


「…__。これは、どうしても…今日中に___へやらなければならないんだ。…わかってくれ」


「…まさか、___の身に──」


「__」


「!……わかりました」


「…どうしたの?」


「……わたしは…どうしたら……、いや…なんでもない…」

━━━━━━━━━━━━

──陽矢」


陽矢「…ん…?」


目が覚めると、どこかの屋敷の中にいる。

…にしても何だ、今の…。


レキ『何だ何だ?また長いこと寝てるかと思えば、涙流してよ』


陽矢「涙?…あ」


確かに目を擦ると、裾が濡れた。


陽矢「…なんか、夢を見てた気がする。…肝心なところは、穴だらけだったけど」


レキ『夢なァ…。ん、もしやアレか?「夢見(ユメミ)」ってヤツか?』


陽矢「…夢見?」


桃芽「昔のことであったり、正夢の様なものであったり、時に人の記憶も…ということがあるのですわ。

 夢見となると…。…貴方にはそれなりに強力な霊力があるそうで」


陽矢「それなりってなんだよ」


桃芽「己の意思で見ている訳ではなく、突然見ているということなので。

 中途半端に強い霊力だとそうなるのです。もしくは、まだ力が目覚めたばかりなので操りきれていないだけか…。まぁ、どちらかですわね」


陽矢「はぁ…。…で、ここは?」 


「目が覚めたようじゃな」


なんか前と同じような感じだが、女性が俺達のいる部屋に入る。


(ワラワ)はヤツヒメ。ここ、北森村の村長じゃ。

 お主等か、ガクツチのいう『百』の執行者というのは」


北森村村長‐ヤツヒメ。

なんだかミクマリさんとはまた違った雰囲気だな…。


ヤツヒメ「お主等が来たということは、やっとこの村も平穏が訪れるのか。そうかそうか…」


陽矢「…」


…どこかで見た気がする。

朱雀の時以来、日神祀の何もかもが懐かしく感じる。それに、小さな頭痛がしている。

一体俺は…何者なんだ?


ヤツヒメ「…お主。どうやら何か疑問があるようじゃな」


陽矢「…」


ヤツヒメ「まぁ、その答えは妾が言うよりも、お主自身で見つけることだ」



──かかっ、無邪気な童じゃな。お前様とこの御子は──



陽矢「っ…」


ヤツヒメ「…どうかしたのか?」


陽矢「…いえ。何でもないです」


夜月「…」


この村で起きていることをヤツヒメさんに聞いた。

思っていた通り、5神のうち一人がこの地で村人達を苦しめているらしい。


ヤツヒメ「いくら妾が玄武の眷属とはいえ…相手は5神のうち一つじゃ。流石に妾でも敵わんものじゃ」


レキ『玄武。確か草木を司る神サマだったな…苦しめるとなると、農作物が取れないとかそうなるか…』


陽矢「…草木を司る神か。…草木には火炎、朱雀の力が一番良いな」


ヤツヒメ「健闘を祈るぞ。『百』の執行者よ。

 …と言いたいところじゃが、どうやら南焔から来てすぐのようじゃ。神の力があるとはいえ無理は禁物、今宵は休むが良い」

――――――――――――

その日の夜。

俺はなかなか寝付けなかった。


陽矢「…」


「寝られないのです?」


珍しい人に声をかけられた。


陽矢「…桃芽」


桃芽「あまり深く考えていると、身が持ちませんわよ」


陽矢「…分かってる」


なんだかこうやって話してると、姉みたいな感じたな。

まあ、多分俺は一人っ子だから…。…一人っ子……。


陽矢「…なあ桃芽」


桃芽「何です?」


陽矢「…桃芽は、俺の両親を知ってるか…?」


桃芽「…。悪いのですが、私には…」


陽矢「…そうか」


桃芽「…。けれど、これだけは言えます。貴方のご家族は霊神村にいます。…おそらく」


陽矢「…」


桃芽「おそらくですから、確証はありませんが…」


陽矢「いや。それだけでもいいんだ、両親がそこにいるんだって分かったなら。ありがとう」


桃芽「礼を言われる程では…」


霊神村…。俺達が最初に向かおうとした場所だ。

そこに、俺の両親…。

俺はその事を思いながら、眠った。


桃芽「…(言って良いのか、私には分からないのです。本当に、彼のご家族がそこにいるのか…。

 私も、レキと夜、兄様に聞いただけですから…)」


夜月「……」

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