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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
肆幕
22/61

玄武

ヤツヒメ「それでは、武運を祈るぞ。

 汝ら『百』の執行者に幸あらんことを」

------------------------

玄武の祠に入って間もなく、桃芽が言った。


桃芽「…草花の気を、ここは特に感じますわね」


奥に進む程に、そこかしこに蔦やら蔓やらが周りに見えてきた。


陽矢「なるほど…。流石は草木を司る神様だ」


桃芽「割と温厚な神だとは聞いているのですが…。…まぁ、今は村人を苦しめていると聞いている以上、ご乱心であることには変わりございませんが」


まあ、出来れば話し合いで解決できたらいいんだけどな。

…ん?


陽矢「…」


レキ『ん?急に立ち止まってどうした陽矢』


陽矢「…笛の音が聞こえる」


レキ『笛?…うぉおっ!?』


桃芽「ちょっと!」


嫌な予感がする。俺は走って笛の音がする方向に向かう。

そして、そこについた時…


天邪鬼「遅かったね。執行者君?」


陽矢「…あまの…じゃく」


夜月「陽矢!……!」


天邪鬼「一足早く玄武を操らせてもらったよ。なかなか強情で苦労したよ」


桃芽「何故このようなことをするのです!」


天邪鬼「何だろうね」


陽矢「とぼけやがって…」


陽炎「あはは。そう怒らないでよ、君が戦う相手はあっちだ」


陽炎の指差す方向を見れば、…黒い霧のようなものに包まれている玄武らしき姿。

玄武から天邪鬼と陽炎に視線を戻すと、既にいなくなっていた。


レキ『ケッ、逃げ足の早い野郎だ』


夜「ともかく、あれはもう話し合いではいかなさそうです」


玄武を見ると…どうやら朱雀の時と同様に威圧的な視線を向けている。

…確かに、そうらしいな。


陽矢「…ったく、もっと平和的に解決出来ればいいんだけどな…」


そう言いながらも俺は笛を取り出し、十六夜に変えて構える。


陽矢「 我こそは、浮世に遍く妖魔を退治す命を授かりし者。退魔の執行者──『百』の名に於いて、汝に取り憑きし魔を打ち払わん」


玄武『執行者ガ人間ノ子供トハ…笑ワセテクレル』


陽矢「笑ってられるのも、今のうちだ」

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