表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

第32話 溺愛の呪いは永遠に続く

 その後もエリーゼの指示により、アゼルは世界の国々と和平条約を結んでいった。

 アゼルを支配して意のままに動かすエリーゼは、前世の時と同じく最強の女王の威厳と風格を持ち合わせていた。

 そして全世界との和平を成し遂げた時、アゼルとエリーゼの願望を合わせた『世界平和征服』が達成されたのである。


 そんな平和な時代が訪れてから、少しの時が流れる。


 その日、アゼルは城の一室にて堂々と人々に呼びかける。


「よぉし、貴様ら、集まれ! 軍事会議をするぞ!」


 その一声で、部屋に散らばっていた者たちがアゼルの前に集合する。それは幼児から10歳くらいまでの子供たち、総勢6人。


「はい! お父様!!」

「あい、おとさま~」

「お父様、今日のギダイは何ですか!?」


 男子3人、女子3人。この6人はエリーゼとアゼルの子供たちである。そして、この部屋は玩具やファンシーな小物が揃えられた子供部屋であった。

 そんな可愛らしい部屋で、黒衣の魔王は真剣に子供たちの相手をする。


「今日の議題は世界征服だ!」

「かっこいい!」

「ボク、お父様みたいな魔王になりたい!」

「ふふ、そうだろう。世界征服の暁には貴様らに国を1つずつ与えてやるぞ」


 長く続いた世界平和に飽きてきたアゼルは、子供たちと共に世界征服に乗り出す気でいる。一体どこまで本気なのか。

 しかし子供部屋のドアが開くと空気は一変する。子供たちは一斉に黙り、アゼルすらも口を閉じて背筋を伸ばす。


「アゼル、子供たちと変な遊びをするんじゃないわよ」


 部屋に入ってきたのは、泣く子も黙る女王……もとい王妃のエリーゼ。その腕の中には赤子を抱いている。

 さらに腹部は大きく膨れていて、その中には8人目の子供を宿している。つまり現時点でエリーゼとアゼルの子供は総勢8人いる。

 アゼルはエリーゼの隣に移動すると腰を抱き寄せて囁く。


「遊びではない、オレは本気だ。世界征服のためには戦力を増やさないとだな……」

「バカ言ってんじゃないの。もう子供は十分でしょ」

「本当は? 素直になれ。もっと欲しいのだろう?」


(ぐぅぅ……誰が『欲しい』なんて言ってやるもんですか……!)


 本心では、アゼルとの子なら何人でも産みたいと思ってしまう。アゼルを支配しているようで、やはり支配されているのはエリーゼだった。


(全ては呪いのせいよ、溺愛の呪いのせいで!)


 溺愛の呪いはとっくに解けているのに、まだ気付いていない。

 その勘違いが続く限り、そこに真実の愛がある限り、溺愛の呪いは永遠に解けない。


「世界征服よりも世界旅行がいいわ。お腹の子が少し大きくなったら、みんなで行きましょう」

「……む、まぁ、それもいいな。さすがはエリーゼ、愛してるぞ」

「はいはい、愛してるわよ」


(それでも、幸せだから……まぁ、いいか)


 因縁の魔王陛下と聖女令嬢。決して解けない溺愛の呪いの物語は永遠に続いていく。


―完―

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ