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世界をめぐる誓いー紅碧の邂逅ー  作者: Nodoka
1.ルミーノ王国編
8/10

7.依頼内容

4話(ep.5)の内容を一部変更しました。


変更前

依頼内容は荷物の運搬を手伝ってほしいというもので、依頼者はマラザス商会。


変更後

依頼内容は新店舗の準備を手伝ってほしいというもので、依頼者はマラザス商会。


また、前話までの「?!」となっているものを「!?」に統一しました

 セイカは依頼書をテーブルの上に出した。


「依頼者はマラザス商会、ルミーノ王国ではかなり大きな商会よ」


 そのかなりは、中小商会では相手にならない程度のかなりだ。


「そんな商会の会長と顔なじみのセイカって、実はとんでもない人?」


 カヨの驚きにセイカは目を丸くし、笑い出した。


「私はただの冒険者よ。確かに歴は長いけれど、その中でマラザス商会の依頼をいくつか受けて、それで知り合ったというだけよ」

「へえ、そうなんだね」


 素直。

 本当にカヨは素直だ。

 その素直さが悪意を持つ者につけ込まれなければ良いが。


「会長は気のいい人だから、カヨもすぐに懐くかもしれないわね」


 ここでセイカは表情を引き締めた。


「依頼内容は簡単なものよ。新しい店舗を作るから、その準備を手伝うというもの。具体的な説明は着いてからとなっているけれど、ランク制限のない依頼だから、それほど難しいものではないわ」

「自分で選んだ依頼だけど、わたしにもできるのかな?」

「大丈夫よ。力のいる仕事だったら、しっかりとそのことが明記されるようになっているから」

「そうなんだ。どんな仕事なんだろうね?」


 カヨの疑問にセイカは何やら含みのある笑顔を向けた。


「きっとカヨなら軽々と達成できるわ。むしろ貴女向きかしらね?」

「セイカはわかるの? どんな依頼なのか」

「あら、どうかしら? 楽しみにしておくといいわよ、難しくないから」


 そのセイカのからかうような言い方に、少し膨れつつもカヨは依頼書を見る。


「この、王都第5地区って?」


 新店舗のある場所だ。


「王都は10の地区に分かれているの。第5は商業区よ」

「第5は商業区……。じゃあ、今いるここは?」

「良い質問ね。ここは第8地区よ。では、ここで問題です。第8は通称、何区と呼ばれているでしょうか」

「うーん。第5区が商業区と呼ばれているってことは、目的によって地区分けされているってこと?」


 カヨは迷いながらも的確に答えを求めていく。セイカはそれを見ながら、頷いている。


「宿屋……宿屋区?」

「惜しいわね。少し言い方を変えて?」


 だが、セイカは顔をしかめた。

 カヨの記憶がどの程度失われているのか、正確には分からない。もし、その語彙が彼女の中になかった場合は。

 酷なことをした。


「宿屋……宿。あっ、宿場?」


 その言葉が出てきたことに、セイカは内心安堵した。


「ええ、正解よ。第8地区は宿場区と呼ばれているわ」

「他の8地区の名前は?」

「ええ、そうなるわよね。順番に言っていくと、第1が王城区、第2が貴族区、第3が神殿区、第4が市民区、第5が商業区、第6が学術区、第7が職人区、第8が宿場区、第9が冒険者区、第10が歓楽区よ」


 セイカは言いながら依頼書の裏側に書いていく。

 王都の中心に王城があり、それを囲むように北に第2、南に第3地区。

 さらにその外側を第4が南を、第5が北東を、第6が北西を囲み、その外側、王都の外周に西から反時計回りに7、8、9、10がある。


「わたしが覚えておく必要がある地区はある?」

「そうね。第5、7、8、9地区かしら? ルミーノ王国では、王都の地区はそれぞれ番号で呼ばれているから、しっかりと覚えていないと迷子になってしまうわよ」


 もっともこの王都はそこまで大きくなく、あちこちに看板があるため、もしそうなっても帰って来られるだろうが。


「それと、この依頼はカヨが一人で受けるからね」


 さらりと爆弾を落とした。


「えっ? どういうこと!?」

「そのままよ。私はサポートはするけれど、それ以上はしないわ」

「な、なんで!? パーティって一緒に依頼を受けるものだと思っていたのだけど、違うの?」


 カヨの慌てぶりに、セイカはおかしそうに笑いながら答える。


「覚えているかしら、依頼を受けたとき誰のギルドカードを出したのか」

「わたしのカードを出したけど……。あっ、もしかして?」

「ええ、貴女の想像の通りよ。パーティで依頼を受けるときでも、全員分のカードを出さないといけないの。あと、パーティを組んでいても、個人で依頼を受けることは大丈夫よ」


 ネタバラシを受けたカヨは恨めしげにセイカを見つめた。

 セイカはもちろん意地悪でこんな騙すようなことしたわけではない。一人でできた、という成功体験が最初に必要だと思ったからだ。

 それにどんな依頼なのかは想像ができている。彼女に危険が及ぶことはない。


「だから、達成報酬の銀貨7枚は全て貴女のものよ。安い宿で3、4泊ぐらいできる額ね」

「通貨はわかると思う。金貨は銀貨の千倍?」

「そうよ。まあ、銅貨と銀貨さえわかっていれば生活はできるわ」


 カヨはセイカのその言葉に頷こうとして、途中で止まった。


「セイカって、さっき宿屋で金貨出したよね?」

「え、ええ、そうだけど?」


 カヨの勢いにやや押されつつもセイカは答える。

 それを聞いたカヨは真剣な顔つきになった。


「セイカって、実は……お金持ち?」


 彼女は真面目に聞いているのだろうが、その質問の純粋さにセイカは淡く笑った。


「お金持ちってわけではないわよ。ただ冒険者歴が長くて、ため込んでいたというだけよ」

「それでも、金貨を持ち歩くことってあるの?」

「どうかしら? でも、あまり持ち歩かないかもね。金貨を持っているのを見られたら、襲われる可能性があるから」

「セイカは大丈夫なの?」

「私にはこのポーチがあるから安全対策はバッチリよ」


 セイカは腰に付けたポーチを外し、カヨに見せた。


「開けてみて?」


 渡されたポーチを開けようとするが、


「開かない……」

「でもね、私が開けると」

「開いたっ! なんで?」


 カヨは今までで一番驚いた表情になった。


「このポーチは私の魔力に反応して開くようになっているのよ」

「すごい……!」

「移動を続ける私のような冒険者や商人には必須アイテムよ」


 登録した特定の魔力を持つものにしか開くことはできず、正規の方法以外で開けようとしても何も出てこない。


「あとは時間ね。朝9時に集合」

「9時に? わたし、時計なんて持っていないよ?」

「私が時計を持っているから、安心してちょうだい。マラザス商会は時計を持っていないと依頼を受けることができないのよね」


 この国で時計を持っているものは多くはない。

 時間を太陽と鐘で判断しているものにとっては、マラザス商会の依頼は厄介だ。


「そういえば、パーティで依頼を受けたときの報酬はどうなるの?」


 今回はカヨが個人で受けるため、報酬は全て彼女のものとなる。だが、パーティで受けた場合はどうなるのだろうか。

 パーティ内ルールではそのことについて触れていない。


「先に言っておくべきだったわね。報酬は山分けよ。でも、報酬額によって変わるけれど、一定額はパーティの資産として貯めるわ。これはギルドのルールよ」

「うん、わかった」


 セイカは依頼に関することに漏れがないか確認すると、手を合わせて微笑んだ。


「さて、次は装備を買いに行くわよ!」

お待たせしました、第8話です!


通貨について、金貨はおよそ百万円、銀貨はおよそ千円です。また、物価は現代日本と同じくらいです


ルミーノ王国編終了まで、日曜日の20時半の更新となります!

毎週を予定していますが、できない場合もあります

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