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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
四章 中央国家バルテミア編

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4-1「襲撃の予兆③」


 _____


 バルテミアの目前まで来ると、とてつもなく巨大な門がそびえ立っていた。


「ひぇ……」


「さすがは中央国家……」


 門の前には、鎧を纏った二人の兵士が立っている。


「ヘリオサマナのアリディア様ですね。」


「うむ。」


「お待ちしておりました。どうぞ、中でゴンザレス様がお待ちです。」


 二人の兵士はアリディアへ一礼すると、門の脇に設置された大きな木車を回し始める。


 すると、重々しい音を立てながら巨大な門がゆっくりと開いていった。


「ゴンザレスって誰?」


「戦士協会の会長よ。」


「ふーん。明らかに強そうな名前だな。」


 門が開き、一行はバルテミア国内へと進んでいく。


 門の内側にも、鎧を着た男達が数名配置されていた。


 おそらくは会長ゴンザレス直属――戦士協会所属の戦士達なのだろう。


「アリディア様、お待ちしておりました。ご案内します。どうぞこちらへ。」


 戦士の案内で、魔車はゆっくりと街中を進んでいく。


 街はカルマがこれまで見てきたどの国よりも発展しており、巨大な建物が立ち並んでいた。


 だが、その街並みに反して、辺りは異様なほど静かだった。


 夕刻に差し掛かり、日が沈み始めていることもあるが、おそらくは魔人軍の襲撃に備え、避難や外出禁止令が敷かれているのだろう。


「前に来た時は、かなり賑わってたんだが……」


「そっか。カミルは任務で来たことあったんだもんね。」


「ああ。まさかこんな形で、もう一度来ることになるとはな。」


 しばらく進むと、西洋風のひときわ巨大な建物が見えてくる。


「あれが戦士協会本部だ。」


「大きいな……。ルードミリシオンの協会支部も大きかったけど、比べ物にならない……」


 戦士協会本部の前にも、多くの人影が待機していた。


「よし、皆ここで降車じゃ。」


 アリディアの掛け声に合わせ、戦士達は次々と魔車を降りていく。


 アリディアは降車すると、そのまま協会前にいた人物達の方へ歩み寄った。


「まだ侵攻は起こっておらんようじゃな。間に合ってよかった。」


「ええ。アリディア殿自ら招集に応じていただけるとは、ありがたい限りです。」


 アリディアへ言葉を返したのは、赤髪の女性だった。


「あの人、誰?」


「あんた、ばかっ。あの方が戦士協会会長のゴンザレス様よ!」


 カルマの不用意な質問に、リアが慌てた様子で小声を上げる。


「え……? ゴンザレス? あの人が? え?」


 すると、ゴンザレスは表情を変えぬまま、カルマの前へと歩み寄る。


「私が戦士協会会長のゴンザレスだ。

 私の名は、“戦士として強く生きる為に”と父が付けてくれた名だ。何か不明点があるか?」


「いや、特に..」


「ゴンザレス会長、すまないな。そやつはまだ戦士になりたてで、礼儀がなっておらん。」


「いや、構いませんよ。彼もヘリオサマナの新人で?」


「いや、そやつはヘリオサマナではない。カルマリスタのカルマ・ミラ・フィーランじゃ。」


「カルマ・ミラ・フィーラン……そうか、君が……」


「……?」


「いや、すまない。ルードミリシオンの戦士登録官から話を聞いていてな。

 初登録で天級依頼の申請が来たのは久しぶりだったので。」


「天級?」


「ああ。却下したがな。」


「…………。」


「君は、戦士に必要なものは何だと思う?」


「なんだろ。任務の遂行能力とか?」


「違うな。」


「世の為人の為、的な?」


「それも違うな。あそこに食事処があるのが見えるか?」


「え……? あ、うん。」


 ゴンザレスが指差した先には、一見すると普通の飲食店があった。


「あの食事処の主人は、世の為、人の為に仕事をしているのではないか?」


「あー……まぁ、そうだね。」


「世の為人の為という心は必要だ。だが、それは戦士に限ったことではない。」


「では、何が必要なの?」


「“守る心”だ。

 戦士は、市民、仲間、家族、世の人々を守る存在でなければならない。


 戦士の階級とは、その者が“守る力”を持ち、且つ“守る心”を持っているかが基準になっている。


 つまり、階級の高い戦士ほど、多くの人々を守ることができる存在――人々の希望だ。


 そして同時に、それは多くの命を背負う責任を持つということでもある。


 だからこそ、天級の称号はそう簡単には与えられない。」


「なるほどね。天級戦士は、人々に希望を与える存在……。

 なんとなくわかるよ。俺の周りにも天級戦士がいるから」


「ふっ、そうか。

 確か君は、ダグラス・ミラ・フィーランの弟だったな。」


「うん。」


「彼も来ているぞ。」


「えっ!? 兄さんが……?」


「今は私の元で、魔人軍対策隊の隊長を務めてもらっている。」


「魔人軍対策隊の隊長……兄さんは今どこに?」


「さぁな。あいつはじっとしていられん性格だからな。

 きっと街の警備にでも出ているのだろう。避難が完了した街で、何が起こるというのか……」


「ほう。もう避難も完了しておるのか。」


「すみません、アリディア殿。少し話し込んでしまいました。」


「いやいや。会長の戦士像の話、良いものじゃったよ。」


「なにをまた。アリディア殿こそ、人々を守る戦士そのものでしょう。

 それで、アリディア殿。そちらの戦力を聞いても?」


「うむ。そちらに送っている天級・上級戦士に加え、わしと副団長ジェナの天級戦士二名。

 さらに上級戦士七名。その中でもセブルス、エイミー、カルマは天級に近い実力者じゃ。」


「なるほど。この短時間でそれ程の戦士を。本当に助かります。

 どうぞ中へ。現状を共有しておきたいので。」


「うむ。各隊の隊長だけ同行せよ。他の者は待機じゃ。

 いつ侵攻が起きてもおかしくない。気を抜くでないぞ!」


「はっ!!」


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