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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
三章 戦士団ヘリオサマナ編
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88.北へ

 カルマ達はミルズ王国を出て、平原を北へ進んでいく。

今のところ、その道のりに険しさはなく、スムーズに進んでいく。


「ボス、本当に北を目指していいんですよね?」

「うん。それでいいよ。最短ルートだしね。」

「私はカルマが決めたのなら文句はないよ。」


 ハウロスは少し不安そうである。

一行はコロラド連邦にあるルードミリシオンに行くため、カストリアを出て、ミルズ王国に行き、現在、北へ向かって進んでいるが、昨晩3人はルードミリシオンに行くための経路について打ち合わせを行なった。


 

 〈昨晩のこと〉

「ボス、ミルズを出て次はどこへ行きますか?」

「ルードミリシオンに行くにはどのくらいかかる?」

「んーっと……」


 ハウロスは地図を広げて考え込む。

「約半年の道のりですかね……」

「え!?そんなにかかる?」


 カルマも一緒に地図を覗き込む。


「そうですね。コロラド連邦ルードミリシオンに行くにはまず、ミルズの西にあるバルディッシュ王国を通って中央都市グランディールへ行きます。

 グランディールから北に行くと、コロラド連邦のバラム共和国という国へ行けるので、そこから東に進むとルードミリシオンですね。」


「ん……これってベルベスト山脈だったっけ、ここを通った方が近いんじゃ?」

 ルードミリシオンはミルズ王国の北に位置する。

しかし、ハウロスが今話した経路はミルズ王国から一度西へ行き、中央都市を経由し北へ進んでから東へ戻るという迂回ルートなのだ。

 カルマはミルズ王国の北にあるベルベスト山脈を通れば早いのではないかと提案した。


「ラブァ山脈に連なっているベルベスト山脈……

戦士も冒険者もまずこの山脈を通ることはありません。」

「なんで?」

 

「その山脈は標高6000mを超える巨大な山脈であるうえに、日頃から大吹雪が吹き荒れる気候で、凶暴な魔獣〈ベルベストタイガー〉が棲みつく山だからです。」


「仮にここを通った場合はどのくらいかかる?」

「まさか……ベルベスト山脈を通るつもりですか?」

「仮にだよ、仮に」

「んーまぁ山越え含めて2ヶ月くらいかと……」

「だいぶ短縮できるね。」


「ボス、この旅はそんなに急いではいないですよね?

ならわざわざ危険な山を通る必要はないんじゃないですか?」


「うん。まぁそうなんだけどね。少し昔を思い出したんだよ。」

「昔?」

「昔よく兄さんに冒険の話を聞いていたんだ……」


 〈カルマの回想〉

 そこにはカストリアの自宅で幼少の頃のカルマとダグラスの姿。

「兄さん!今日も冒険の話を聞かせてよ。」

「またか?まあいいが」

 

「今日はどこに行った話してくれるの?」

「んーそうだな。カルマはベルベストという山を知っているか?」

「知らない。」

 

「ベルベストというのはグランダムで最も高い山のことだ。」

「へぇ。その山に兄さんが登ったの?」


「ああ、そうだ。人を探しにその山に登ったんだが、猛吹雪が吹いているうえに、大きな魔獣がそこら中に湧いて出てくるんだ。」

「やばいじゃん!それでどうしたの?」

「もちろん魔獣を倒しながら山頂まで登ったんだ。

 その景色がものすごく綺麗でな。」


「へー!すごいなぁ、僕も見て見たい。」

「カルマにはまだ難しいかもな。

あ、だが、ベルベストの麓に村があってな。

そこも凄い綺麗な村だったぞ。民家には山の水晶なんかが使われてるんだ。そこならもう少し大きくなれば行けるかもな。」

「水晶の村か!僕、旅立つ歳になったら行ってみるよ!」

 

「ああ。その村には〈雪林檎〉と呼ばれる白くて美しい果実がなっている。一つもらったがめちゃくちゃ甘くて美味かったぞ!」


「へー!僕も早く冒険に出たいなぁ……」


 〈回想終了〉


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