81.合流
「僕はゴードン様の夢を守るため負けられない……」
グロウスはそういうと、矛を振り上げ、近くにいたローグベルトに襲いかかる。
「おい!逃げろ!!」
「くそ…体が動かんわ」
グロウスは矛をローグベルトに向かって振り下ろす。
「くそ、間に合わん……」
ローグベルトが斬られると思われたその瞬間だった。
「魔剣術 抜 閃炎斬!!」
カルマが現れ炎の抜刀術でグロウスの矛を打ち付ける。
「!!!」
グロウスの矛はその手を離れ近くに飛ばされ地面に突き刺さる。
「安心しろ。お前とお前の主の夢は俺たちが守ってやる。」
ダースも現れ、グロウスの腹に蹴りを入れる。
「ぐ……」
グロウスはその場に倒れ込む。
「団長…」
「お前…蹴りって、土がないと本当に使えないんだな。」
「うるせーよ!ローグベルトを助けてもらったことには感謝するけどよ!」
「ボス!」
「ハウロス、大丈夫か?」
「はい。俺はなんとか……。状況はどうなっていますか?」
「悪いけど、時間がない。すでに国軍兵が下の階まで迫っているんだ。」
「カミルは?」
「カミルなら大丈夫。あそこ。」
カルマが指差す先を見ると、カミルとクレディアが壁に寄り掛かり座り込んでいる。
「2人とも意識は失っているけど命に別状はない。」
「そうですか、よかった。」
〈遡ること…少し前〉
カルマとダースは国軍兵の相手をガーディスに任せ、室内庭園を出る。少し進むととある部屋の前に来る。
「なんだ……この部屋。」
その部屋は扉が開いているものの、中には大量の長い鉄?刃?のようなものが溢れ、部屋全体を埋め尽くしている。
「これ……全部刀か?」
「どうやって進む?」
「こっちにスペースがある。ここから進もう。」
カルマとダースは刀と刀の間のわずかなスペースをくぐりながら部屋に入っていく。中心部まで来ると刃のないスペースが増え、歩きやすくなっていた。
「すごいな、どうなってるんだ……」
「キューー!」
そこにカミルの召喚魔獣であるメラがカルマの元に駆け寄ってきた。
「メラ!?なんでここに…、ここにカミルがいるのか?」
「キュー!」
メラはカルマとダースをチラチラと振り返りながらどこかへ進んでいく。
メラは部屋の隅の方まで走っていく。
カルマとダースはそこに壁にもたれかかり座り込むカミルとクレディアの姿を見つける。
「カミル!!」「クレディア!」
「おぉ、メラ…君が、連れてきてくれたのか……」
「カミル!大丈夫か?」
「ああ…なんとか、だが、見ての通りもう戦うことはできないが…」
カミルは体全体に多数の切り傷を負っており、重症だった。クレディアも意識は失っており重症ではあるものの命には別状はなさそうだ。
「ん…?」
カルマは少し離れたところに人が倒れていることに気づく。
「ああ、あれが、ミルズ三傑のラミだ…魔力暴走で奴の刀が無限に増殖し始めてこの有様だ。」
「よく倒せたな。」
「奴の暴走した刀がこの部屋を埋め尽くす前に、私とクレディアの一撃で何とか意識を奪ったんだ…」
「なるほどな。だがカミル、悪いが時間があまりない。俺の背に乗ってくれ。」
「ふ…すまないな。少し寝る。」
「ああ…」
カルマが振り返るとダースもクレディアを背負っている。
「ダース、いけるか?」
「ああ、こっちの奥に階段があった。そこから3階に向かうぞ。」
こうしてカルマ達は3階へ向かい、ハウロスとの合流を果たしたのであった。




