巨大なベルベストタイガー
彼らは数日間登り続け、ようやく中腹付近まで到着し、
岩壁に空いた洞穴で休息を取ることにした。
「ようやく中腹ってところか…」
「吹雪で前も見えなくなってきたな。」
「思い出しましたよ。神嶺シンセレーヌの神罰に〈ベルベスト転移〉の逸話があるのを。」
「神罰?」
「知りませんか?神嶺様が使う魔術は神術とか神罰と呼ばれるんですよ。その者にみあった罰を与える魔術です。」
「ベルベスト転移ってのは、ベルベストに飛ばされるってこと?」
「ええ。しかも逸話ではベルベストの山頂にという話です。」
「死も同義だな。」
そんな話をしながら、3人はカルマの炎魔術を駆使し、暖をとり、大量に備蓄してきた食料を囲んだ。
カミルもメラを召喚し暖をとりながら横になっていた。
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そして、翌日、雪も落ち着いている時間に洞穴を出て、山頂へ向けて歩き出した。
「くそ、また雪が強くなってきましたね。」
「うん。気をつけて進もう」
ハウロスを先頭にカルマ、カミルの順で進んでいく。
時々、積雪が深すぎて通れない場所があるので、そこはカルマの魔術を使い道を作った。
「……!!」
ハウロスは驚きとともに足を止める。
「どうした?」
「ベルベストタイガーの群れです。」
雪煙の先には2m近くはありそうなベルベストタイガーが3匹歩いていた。
3人は身を屈めて様子を見る。
すると、3匹のうち1匹が鼻をヒクヒクとさせながらこちらを見る。
その瞬間、牙を剥き出しにしたベルベストタイガーが雄叫びを上げながらこちらに向かってくる。
「下がってて!」
カルマは二人の前に出ると手をベルベストタイガーに向ける。
「炎獄球!」
炎の玉が回転し、周りの雪を溶かしながらベルベストタイガーに向かっていく。
ベルベストタイガーはその魔術を前足で殴りつけるように消滅させる。
「まじか!」
「次は俺が…」「私が……」
ハウロスは魔鋼の弾を、カミルは矢を
それぞれベルベストタイガーへ向けて放つ。
だが、ベルベストタイガーの硬い皮膚にはじかれる。
「くそっなんだこいつら!」
ベルベストタイガーの群れは既にカルマ達の目の前まで迫っている。
「ハウロス!防御だ!」
「はい!」
ハウロスは魔鋼の壁を、カルマは氷の壁を展開する。
「ガフッ!ガフ」
ベルベストタイガー達は壁に阻まれ足を止める。
そこに壁の奥から、魔剣フレイアを振り上げながらカルマが飛び出す。
「魔剣術 下 地砕炎剣!」
カルマの魔剣術がベルベストタイガーの一体に直撃する。
「ガアァァ!」
その一体は雄叫びをたけながら腰を落とす。
「ギアァ!」「ガアァ!」
ベルベストタイガー達は慌てたようにカルマ達の元から走り去っていく。
「なんだ?逃げたのか?」
「……!!?」
カルマ達は視線の先のものを見て目を丸くする。
それは、三体のベルベストタイガーが逃げる先に巨大な洞穴があり、その洞穴から四つん這いの状態でも4m近くはあるであろう巨大なベルベストタイガーが出てきたのだ。
「あれは……何だ?」




