68.天級に匹敵する力
ラミはカミル達に向かって、歪な刀を振る。
すると、刀の刀身が伸び、鞭のようにカミルに向かう。
カミルはその攻撃に反応し、双刃弓で受け止める。
「ハウロス!バランを連れて先に行け!」
「……!。ミルズ三傑だぞ!お前1人じゃ無理だ!」
「今回の任務はバランを4階まで連れていくことだ!
それに……どちらにしても3人来てるはずだ。」
「……!」
ハウロスはカミルの言葉を聞き、考え込む。
この状況、ボルドーに嵌められたことは明白。
であれば、おそらくはミルズ三傑の3人ともこの王宮に来ている。
既にカルマも遭遇しているかもしれない。
ならばいずれにしても各個撃破しかないのだ。
「……わかった。気をつけろよ。」
「そう簡単に行かせると思って?」
ラミはハウロスとバランの方を向き刀を振り上げる。
そこにカミルの矢がラミを狙い複数飛んでくる。
「……!!」
ラミは状態を逸らしてその矢を避ける。
「何をしている。君の相手は私だ。」
ハウロス達はその隙に階段を駆け上がり、3階へと進んでいく。
「まぁ、いいわ、あなたたちの作戦に乗ってあげる。
けど、あなたを殺すことなんてすぐよ。
時間稼ぎにもならないわ。後悔なさい。」
ラミはそういうと、刀を構える。
その刀の刀身は2つに分裂している。
「……!?」
その瞬間、二又に増殖した刀身が伸び、勢いよくカミルに襲いかかる。
カミルは間一髪、その二つの刀身を双刃弓でいなして避ける。
(今の攻撃を避けた…?)
「なるほど。刀身を操る応徳の技……ハウロスの魔鋼に似ているな。」
「そう。似たような術を使う剣士に会ったことがあるのね?それなら初見で私の剣を2度も防いだことにも納得がいくわ。」
「私をあの程度の攻撃を防げないと思っているなら、ミルズ三傑とやらもたいしたことがないな。」
「言ってくれるわね。なら、手加減はいらないわね?」
ラミが剣を構えると、刀身が多数に分裂するように
に分かれていく。
「言っておくけど私の応徳剣術は"増殖"よ。」
ラミは多量に分裂した刀を振り、その刀身はカルマに向かって伸びていく。
(この数は…!!)
カミルは大量に分裂した刀に切り裂かれていく。
カミルの体が見えなくなるほど、増えた刀はカミルを覆い尽くしていく。
「ふふ、終わりね。」
ラミが刀を元に戻すと、血だらけのカミルが地面に倒れ込む。
「これがミルズ三傑の力。あなたは仲間を捨てて逃げるべきだったのよ。」




