59.頼み
それから数時間が経った。カルマは魔導書を読むことに集中しすぎてしまったと反省する。
読んだ本の中から自分の魔術の向上に必要な魔導書と、カミルに合う魔導書を合計7冊ほどピックアップし、ユバルバに声をかける。
「これを買っていってもいいですか?」
「もちろんじゃ。毎度どうも。」
カルマは購入した7冊を抱え、今日のところは帰宅する。
「ユバルバさんどうもありがとう。明日か明後日か、近いうちにまた来ます。」
「ああ、待っておるよ。」
カルマは魔導書を抱え地上へ出る。
宿へ帰ろうと歩き出すと路地の向こう側から人影が見える。
「あのすみません!」
「!!」
カルマは声をかけられたことに驚き、慌ててフードで顔を隠し様子を伺う。
その人物は衛兵などではなく、頭から頭巾を被った女性であった。
「あの、あなたがカルマ殿ですか?」
「え?どうして俺を?」
カルマはしまったと思った。その女性は衛兵には見えなかったので安易に反応してしまったが、ミルズの関係者である可能性は十分にあると考えた。
「あなたに内密にお話があります。」
「あなたはだれ?」
カルマは警戒しながら問いかける。
「昨日あなたが少年を助ける為に、衛兵と戦士に狙われそれを退けたことは知っています。
そんなあなたに頼みがあるのです。
安心してください。私はあなたの味方です。」
「味方……?」
その頃、宿屋では__
「ボス遅いな。大丈夫かな?」
「ハウロス、お前が紹介した商店というのは大丈夫なんだろうな?」
「ミルズの兵の息がかかってないのは確かだよ。」
「それも数年前の話だろう?」
ガチャッ
そんな話をしていると、カルマが扉を開け部屋に戻る。
「ボス!」
「ごめん、遅くなった。」
「なにかあったんです?」
「いや、魔導書を読み漁ってて遅くなったんだけど、ちょっと進展もあってね。」
「なんだ。話してみろ。」
カルマは部屋に着くやいなやハウロスとカミルに追求される。
「いや、魔導商店をでたらとある人に話しかけられてさ。」
カルマは今日起こった出来事を振り返り2人に話し始める。




