55.大地の応徳魔術
カルマはバランの元に駆け寄る。
「バラン、大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
「でもあいつらなんだったんだ。」
「きっと王宮から依頼された戦士だよ。」
「バランを狙ってか……?」
カルマはとても憤りを感じた。自分が知っている戦士はいつも平和の為に戦っていた。そんな戦士が依頼の為とはいえ子供を狙ったのだ。
「おい。俺の仲間達をやったのはお前か?」
カルマたちの後ろから若い男が歩いて向かってくる。
口ぶりから倒した2人の仲間だとカルマは思った。
カルマは剣をその男に向け構える。
「バラン…下がって……」
「こども……?お前がやったのか?」
「そうだ。子供を襲うやつらに容赦なんかいらないだろ?」
「そうか…なら、団長としてお前は倒さないとな。」
男はそういうとカルマに向かって手を向ける。
するとカルマの足元の地面が形を変え突き出る。
「……!?」
カルマは横に跳躍しそれを避ける。
(土魔術か…?)
男はさらに自らの近くの地面を隆起させる。
そして、男がカルマに向かって手を向けると、隆起した土は蛇の様にうねりながらカルマに向かっていく。
「魔剣術 抜 炎閃斬!」
カルマは長く連なる土を素早く切り裂く。
「この土魔術、応徳魔術か?」
「ああ、俺の魔術〈「大地操制」〉は自分の魔力が届く範囲の大地を自由に動かすことができる。
……そういうお前も応徳魔術の使い手か?」
「ああ、そうだ」
カルマは剣に炎を灯す。
(増強…いや属性付与か?)
「お前、名前は?」
「カルマ・ミラ・フィーラン」
「カルマか、俺は戦士団エクスプロドの団長、ダースだ。悪いなカルマ、お前は俺に勝てねえ!」
ダースはそういうと手を広げる。
すると周囲の地面が揺れ動く。
「何だ!?」
「俺の魔術は屋外じゃ最強だ。」
ダースが両手の掌を合わせると、周囲の土や砂が一気にカルマに向かって迫る。
大量の土砂が四方から迫る。
大量の土砂が逃げ場のないカルマたちを襲い、大きな土煙が立ち込める。
……
その力はまさに一撃必殺、そしてダース自身が言う様に屋外で最強と言っても過言ではないものであった。




