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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編

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2-5「ミルズ王国動乱⑤」


……

 

「今のは悪くなかったぞ。」


「……!?」


 振り返ったカルマの視界に、頬から血を流すガーディスの姿があった。

 落ちていた剣を握り、静かに立っている。


 どうやら斬撃が当たる瞬間、近くの剣へ移動して回避したらしい。


「……っくそ!」


 限界が近い。カルマは膝をつく。


「これで終わりだ。」


 ガーディスが目前に立ち、剣を振り上げる。


 その瞬間――


 轟音とともに、大きく開け放たれた窓を突き破り、巨大な岩石が庭園へ飛び込んできた。


「!?」

「なんだ?」


 土煙の中、岩の上に立ち上がる影。


「よう。随分と楽しそうじゃねぇか。」


 エクスプロドのダースだった。


 ダースは軽く肩を回しながら、カルマに近づき手を差し出す。


「どういうつもりだ?」


「行き違いがあってな。

 こいつら、依頼は“家出した王族の子の確保・保護”って話だったんだよ。

 ……どう見ても、保護って雰囲気じゃなかったからな?」


 ダースは舌打ちする。


「俺も腹が立ってんのよ。」


 カルマはその手を取り、立ち上がる。


「まぁいい。

 こいつ……ミルズ三傑筆頭剣士ガーディスだろ?

 よく一人で挑んだな。」


「逃げるわけないだろ……

 俺はいずれ、こいつより強い戦士になる。」


 ダースは口元を歪める。


「同感だ。だが今はまだその時じゃねぇ。

 死ぬには早すぎる。共闘だ。」


「助太刀か……何人いようが変わらん。」


 ガーディスの声は揺れない。


「随分な自信だなぁ?」


「でもダース、君、室内じゃ無能だろ?大丈夫なのか?」


「無能言うな。この庭園、見た目より土が厚い。問題ねぇ。」


「行くぞ!」


 二人が同時に踏み込む。


 わずかに、ガーディスの視線が鋭くなる。


大地操制(ベルグラン)…!」


 ダースが手を向けると、足元の土が盛り上がり、ガーディスの足を拘束する。


「よし!」


「魔剣フリージア!」


 カルマが剣に冷気を纏わせ、斬りかかる。


 だが。


 ガーディスの姿が消える。


「ダメだ!こいつは三本の剣の位置に瞬間移動できる!」


「そんなの反則だろ!」


「なら物量だ!」


 ダースが大量の土塊と岩石を一斉に放つ。


火炎爆発(ラルスパーク)!」


 カルマの魔術が重なり、爆炎と土砂が一帯を飲み込む。


 しかし。


天旋剣(てんせんけん)!」


 空間を縫うようにガーディスが移動する。


 瞬間移動と高速移動を繰り返し、超高速の斬撃が土も炎も切り裂いていく。


 気づけば――


 ダースの背後。


「はや……っすぎるだろ!」


 その刃は無情にも反応が遅れているダース目掛けて振り下ろされる。


 だが、横からカルマの氷の斬撃が走る。


 ガーディスは即座に移動し、回避する。


「くそ!」


「悪いな。助かった。」


 ガーディスはカルマを見る。


(……慣れてきているな。私の動きに。)


 カルマの呼吸は荒いが、目は死んでいない。


「ダース、ちょっといいか。」


 カルマが小声で何かを告げる。


 ダースの目がニヤリと細まる。


 

 ダースはカルマの耳打ちを受けると、大地を操り、大量の鋭利な土の弾丸を生み出す。それらは一斉にガーディスへと放たれた。


「あくまで長距離戦に持ち込むか……

 だが、そんなものはこの私には通用しない。」


 ガーディスは迫り来る弾丸を斬り落としながら、一直線に前進してくる。


「これならどうだ!」


 ダースはさらに大量の土を集め、濁流のように解き放つ。


 ガーディスは地面を蹴ると、一点突破で濁流を貫き、一気にダースの目前まで距離を詰める。


「……!?」


 だがその瞬間、ガーディスは気づく。自身の半身が凍りついていることに。


 ダースの背後――腰に納めた剣を握るカルマが、強烈な冷気を放っていた。


「魔剣術

 (こおり)

  構ノ型(かまえのかた)

 霜天の構そうてんのかまえ


 空気が凍り、地面が白く染まる。

 ガーディスだけでなく、ダースの半身までもが氷に包まれていた。


「味方も巻き添えにか……」


 足が凍りつき、動きが鈍る。

 ガーディスは瞬間移動のため、自らの剣の位置を確認する。


「そうくるよなぁ」


 振り返る。しかし――剣がない。


 ダースが土を操り、残された二本の剣を地中へと埋めていた。


 (ここにきて連携を……)


 カルマが一気に距離を詰める。


「魔剣術

 (こおり)

 抜ノ型(ぬきのかた)

 氷花一閃ひょうかいっせん


 抜刀と同時に、氷の花がガーディスの身体に咲き誇る。

 動きが止まり、氷が四肢を拘束する。


「……!?」


 次の瞬間、カルマの刃がガーディスの腹部を捉えた。


 衝撃とともに、ガーディスは後方へと倒れ込む。


「よし!いいぞ!」


「いや、待って……」


「……?」


「手応えが……浅い。」


 嫌な予感が胸をよぎる。


 ガーディスはゆっくりと立ち上がった。

 服は裂け、腹部に横一線の傷はある。しかし――浅い。


「直撃の瞬間に魔力を集中させたのか?」


「なるほど。確かにお前達は戦士としての資質はあるようだ。私がここまで手こずるとはな……」


 冷たい視線が二人を射抜く。


「だが、運が悪かったな。お前達はここで倒れる。」


「まずい!」


 カルマはダースへ向かう。

 ダースも冷気の影響で動きが鈍っている。


「遅い……」


 氷を砕き、ガーディスが先にダースの前へ現れる。


「……っくそ!」


 土を操ろうとした瞬間、太刀が振り抜かれる。


「ぐが……!」


 ダースが膝をつく。


 間髪入れず、ガーディスは剣をカルマへ投げつける。


 刃は頬をかすめ、背後へと突き刺さる。


「……!!」


 その一瞬の隙。


 ガーディスはカルマの背後へ瞬間移動していた。


 背中に鋭い衝撃。


「がはっ……!」


 カルマも地に崩れ落ちる。


「二人とも致命傷は与えていない。

 だが、もう立てまい。このまま拘束させてもらう。」



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