襲い来る戦士
「……なっ!」
路地裏を埋め尽くす炎が噴き上がる。
カルマはとっさにバランの腕を掴み、爆炎を跳び越えるように路地から飛び出した。
「おいおい、なんだぁ? ガキが増えてるな。」
「私の火炎爆発を避けるなんて。ただの子供じゃないようね。」
路地の入口に立っていたのは、手斧を担いだ大男と、ローブ姿の女だった。
「なに……あの人たち」
「バラン、下がってろ」
カルマは一歩前に出る。
(剣士と魔術士……傭兵か? 狙いは俺か、それともバランか)
剣を抜き、構える。
「ほぅ、坊主。やる気か? そこのガキを渡せば命までは取らねぇでやったのによ。」
(やっぱり狙いはバランか)
「おっちゃん、戦士か? 俺の知ってる戦士は人攫いなんてしないはずだけどな。」
大男は豪快に笑う。
「がははは! 理想論だな。大人の世界にゃ、そういう仕事もあんだよ。」
「そうか。じゃあガキはガキを助けることにするよ。」
「……はっ、面白ぇ。クレディア、手出すなよ。」
「ええ。子供は嫌いなの。任せるわ。」
大男は手斧を構え、名乗る。
「俺様は戦士ローグベルト。後悔するなよ、小僧!」
巨体が跳ねる。
想像を裏切る速さで、斧が振り下ろされた。
「……!」
カルマは炎を纏わせた剣で受け止める。
「魔剣フレイア……」
火花が散る。
弾き返すように薙ぎ払い、ローグベルトを後退させる。
「ただのガキじゃねぇな……」
背後でクレディアが目を細めた。
「お前達はなぜこの子を狙う?」
「関係ねぇな。」
ローグベルトの右腕に魔力が集まる。空気が重くなる。
「今度は受けきれるか?」
高く跳び上がり、全力で斧を叩きつける。
カルマは横へ跳ぶ。
直後、地面が砕け、石畳が陥没した。
(まともに受けたら終わりだ)
一度距離を取り、剣を納める。
両手をかざす。
右手に火の玉。
左手に氷の玉。
二つの魔弾が螺旋を描き、一直線に突き進む。
ローグベルトは腕で顔を庇う。
直撃。
熱と冷気が衝突し、爆ぜるように水蒸気が噴き上がる。
「やった……か?」
白煙の中から巨影が現れる。
「……!」
「悪くねぇ魔術だ。だがな――足りねぇ。」
じり、と距離を詰めてくる。
カルマは静かに、腰の剣へ手を添えた。
「怖じ気づいたか?」
斧が振り上がる。
「これで終わりだ!」
その瞬間。
カルマの視線が鋭く光る。
「魔剣術 氷 抜ノ型 氷花一閃」
カルマがゆっくりと剣を引き抜くと、
凍りつくローグベルトの体に、氷の花が咲いた。
「な……これは……」
花弁が広がるたび、動きが鈍る。力が抜けていく。
「くそっ……!」
そして、凍りゆく巨体を横一線。
氷を纏った斬撃が走る。
「うがあぁぁ!」




