表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/128

2-3「王位継承問題②」



 カルマは闇商店を後にし、路地に出る。


 すると、人影が一つ、向こうから歩いてくる。


「あの、すみません。」


「……!」


 カルマは反射的にフードを深くかぶる。


 衛兵ではない。頭巾を被った女性だ。


「その眼帯……あなたがカルマ殿ですか?」


「……どうして俺を?」


 不用意に反応したことを一瞬で後悔する。

 


「あなたに内密のお話があります。」


「君は?」


 カルマは警戒を崩さない。


「昨日、少年を助けるために戦士と戦ったでしょう。

その件で、あなたに頼みがあります。」


「……味方だって言うの?」


「ええ。少なくとも、あなたの敵ではありません。」


 フードの奥の目が、真っ直ぐこちらを見ていた。


「とりあえず、話だけ聞くよ。」



 

 その頃、宿屋では。


「ボス、遅いな。大丈夫かな。」


「ハウロス。お前が言っていた店、本当に安全なんだろうな。」


「王宮の息はかかってないよ。少なくとも俺が知っている限りは。」


「“限り”か。」


 カミルが腕を組む。


 その時、扉が開いた。


「ボス!」


「ごめん、遅くなった。」


「何かあったのか?」


「魔導書に夢中になってただけ……って言いたいところだけど、少し進展もあってね。」


 二人の視線が鋭くなる。


「どういうことだ。」


「店を出たところで、ある人に声をかけられたんだ。」


 カルマは荷物を置き、今日の出来事を語り始めた。


 ……


  カルマが魔導商店を出た後、声をかけてきた女性の名はアマンダといい、元ミルズ王国の秘書官だという。


 現在の王はドルドス。

 だがアマンダが仕えていたのは、その父――先王の時代だった。


 先王には二人の王子がいた。


 兄、第一王子グラリス。

 弟、第二王子ドルドス。


 アマンダは、第一王子グラリスの秘書官だった。


 先王は偉大な王だったという。

 そしてグラリスもまた、誰に対しても分け隔てなく接する人格者で、民を想う心を持った王の器だった。


 誰もが疑わなかった。

 次の王はグラリスになる、と。


 対してドルドスは、傲慢で他者を見下す気質の持ち主。

 王にふさわしいとは、到底思えない人物だった。


 ――だが、事態は急変する。


 先王が急死したのだ。

 突発性の病によるもの、と発表された。


 そして残されたのが、遺言だった。


 この世界の遺言は“魔導符”によって残される。

 魔力を込めた意思は文字となり、魔導符に刻まれる。

 そこに刻まれた魔力が本人の残した者であることを証明するのだ。


 その魔導符には、こう記されていた。


  “王の地位、資産、権威、統治権、その全てを第二王子ドルドスに継承する”


 王家の者たちは愕然とした。


 なぜ、グラリスではないのか。


 誰もがそう思った。


 だが魔導符に刻まれた魔力は、確かに先王のものだった。


 こうしてドルドスは王となった。


 当然、反発は起きた。

 グラリス派の兵が蜂起し、大きな内乱へと発展する。


 その鎮圧に援軍として来ていたのが、当時のカストリア兵――ハウロスたちだった。


 反乱は鎮圧された。

 グラリス派は処分され、第一王子グラリスは行方をくらました。


 正確には――


「幽閉、されています。」


 アマンダはそう言った。


国のどこかに幽閉されているそうだが、ですが場所はわからないそうだ。


 そして彼女は、カルマに懇願した。


「どうか、グラリス様を救ってください。」


 見ず知らずの少年に、涙を流しながら。


 藁にもすがる思いだったのだろう。




 

「……と、いうことなんだけど。」


 カルマは話を終えた。


 カミルが腕を組む。


「なるほどな。だが、それは好都合ではないか?」


「どういうこと?」


「バランの母を救った後の問題があっただろう。王そのものを正せば、根本が解決する。」


「つまり、ドルドスを失脚させてグラリスを王位に戻すってこと?」


「そうだ。」


 ハウロスが苦笑する。


「簡単に言うね……。現王を失脚させて、幽閉された王子を救出って、相当だよ?」


「まあね……」


 カルマも難しい顔をする。


「まだ調査が必要だな。」


「まぁ、でも、世論的にはなくはない話なんでしょうね。」


「え?」


「元々グラリスが後継にふさわしいと思われていたんです。今もドルドスに不信感を持っている者は多いはずです。それに……先王の急死と、あまりに都合の良い遺言。」


「……ドルドスが先王を?」


「証拠はありません。でも、不自然です。」


「急死した王が、なぜ明確な遺言を残せたのか。しかも愚かな次男を指名するなど。」


 カミルの投げかけた疑問に一同は口を閉ざし思案する。


「当時のミルズは相当混乱していたはずですよ。」


「……うん。」


 カルマは息を吐く。


「よし。明日からそれぞれ調査しよう。でも、王宮には近づかないこと。無茶もしない。」


「わかりました。」


「特にお前がな。」


「わかってるって。あとカミル、明日の午前中時間ある? 魔導書からいくつか試してみよう。」


「ああ、頼む。」


 こうして打ち合わせは終わった。


 少年を救う作戦は、いつの間にか王国の闇へと繋がっていた。


 それでもカルマは、迷ってはいなかった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ