30.カストリア襲撃⑧
ラジャはカルマの剣を避けることができず、腹に閃炎斬を受け、そのまま後ろに倒れ込む。
(構で感知して抜の最速の一刀で斬る。これが僕が考えた、今できる最大のコンボ…そして魔剣の応用技〈魔剣術〉)
「うぐっ」
ラジャは尻餅をついた状態でカルマを睨みつける。
その腹は横一線に傷をつけられている。
「魔力を集めて致命傷を避けたのか…」
「貴様みたいなガキに俺様が逃げることになるとは…
カルマ…覚えておくからな!」
ラジャはそういうと腹部を押さえながら魔軸を使って逃げていく。
「ま、まて!」
カルマはそれを追おうとするが、技の反動か無数に切り裂かれた傷のせいか、カルマは力が抜けたように膝をつく。
「カルマ!大丈夫か!」
バトロフがカルマへ声をかける。
「うん、何とか大丈夫」
「そうか...あの魔人もあの傷では当分は何もできまい。お前はよくやった。」
カルマはバトロフの力を借りて立ち上がる。
「カルマ、本当に強くなったんだな。」
「へへ、まだまだだよ。」
「よく帰ってきてくれた。」
バトロフはカルマの頭に顔を近づけると、ポンポンと頭に手を置き、涙ぐむ目を拭う。
「だが、今は再会を喜んでいる場合でもないな。」
そしてバトロフは近くのハウロスの元へ走る。
「ハウロス、大丈夫か?」
「ええ、隊長、深い傷ではありません。」
「そうか、立てるか?」
バトロフがハウロスに肩を貸していると、カルマが遠くを見つめながらバトロフに聞く
「父さん、母さんは大丈夫?」
「ああ、それは大丈夫だ。家の方には被害は出てない。」
「じゃああとは…中央だけか」
カルマはそういうと剣を納め、カストリアの中央の方を見る。
「カルマ、ダメだ。既に兄さんが行っているからお前は行く必要はない。」
バトロフはカルマが行こうとしているのを察知し引き止める。
「父さん。僕さ、兄さんやフィルスには敵わないけど、少しは強くなれたんだ。
そして、今、その兄さんやフィルスが戦ってる。
役に立つかはわからないけど、今僕が行かないと何の為に修行したかわからなくなっちゃうよ。」
「お、おいっ!カルマ!」
カルマはそういうと、国の中央付近へ向けて走り出す。
カルマは中心地付近まで来た。フィルス達を探していると、近くで爆発のようなものが起きる。
「あそこか!」
カルマはその場所へ向かう。
路地を曲がった先に衝撃の光景が広がっていた。
そこには座り込み項垂れているダグラスと、鎧を被った魔人に頭を掴まれ壁に打ち付けられているフィルスの姿だった。
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