17.魔剣フレイア
フィルスは小屋からでて森の方を見る。
カルマが戦闘訓練を2週間程休みたいと言い姿を消してから3週間が経っていた。
「そろそろか…」
フィルスはもう少し待ってカルマが戻らなければ訓練は中断、死んだか逃げたと判断してカストリアを離れようと考えていた。
そして小屋の方へ戻ろうと歩き出したその目線の先に、カルマがいた。
「ごめん、遅くなった。」
「ふっ死んだものと思っていたが、何か見つけたか?」
「んーまぁ色々」
カルマはフィルスの問いに笑ってはぐらかした。
「まぁいい。早速成果を見てやる。」
フィルスとカルマは開けた平原まで行き、互いに剣を構える。
互いに少し静止し相手の出方を伺った後、カルマがフィルスに向かって地面を蹴る。
「…!」
フィルスは驚く、カルマの動きが予想よりずいぶん早くなっているのだ。
カルマは懐まで近づくと剣を振るう。
フィルスはその攻撃を剣で受ける。
「ふっまだ軽いが、こんなものか?」
「どうだろうね。」
フィルスは剣を押し込みカルマを弾き飛ばす。
着地したカルマは剣に魔力を集中する。
そして再びフィルスに向かって走り出す。
「また、同じか。」
「魔剣…フレイア!」
カルマがそう呟くと、剣に帯びた魔力が発火し大きな炎を灯す。
「!?」
カルマはそのまま飛びかかり、炎を帯びた剣でフィルスに向かって剣を振り下ろす。
「うっ」
防御したフィルスは驚いたような表情を浮かべる。
その炎の剣を受けたフィルスはカルマの予想だにしない攻撃の重さに腰を落としそうになったのだ。
「ふっ面白い」
フィルスも負けていられないと剣の押し合いを始める。
「ぐぐ…そりゃ!」
カルマは更に剣の炎の力を増幅させ思い切り振り切る。
フィルスはその剣圧に押されて、後ろに弾かれる。
「……よし!」
「もう勝ったつもりか?」
フィルスはそういうとカルマの目の前から姿を消す。
「あっ!」
「応徳魔術:神速」
気づけばフィルスはカルマの後ろに回り込んでおり、フィルスはそのままカルマを剣で殴りつける。
「ぐあっ!」
その場に倒れ込むカルマ。
「最後まで隙を見せるなと言ったはずだ。その隙が命取りとなる。」
「くそ…何だよ今の。」
フィルスはカルマの元に近づく。
「だが、惜しかったな。私に応徳の技を使わせた者は久しぶりだ。あの炎を帯びた剣…我流か?」
「ああ、うん。魔術と剣術の組み合わせを考えていた時に属性魔法を剣に付与してみたらどうかなって。」
「そうか…おまえも応徳魔術を扱えるまでになったのか。」
「その応徳っていうのは?」
「ん、知らんのか?」
「うん。」
「いいだろう。少し魔術について話そう。」




