11.巨体の女戦士
そして午後、カルマは家の庭で師の到着を待っていると足音が聞こえてくる。
その人物はダグラス以上の巨体の女だった。
「貴様がダグラスの弟か」
「あ、はいカルマ・ミラ…」
その瞬間、その女は地面を蹴り、剣を構えてカルマに飛びかかった。
「な!?」
カルマは咄嗟に剣で受け止めるが、その威力に押され後方に吹き飛ばされる。
「いてて、なにをするんだ」
カルマは立ち上がり前を向くと、既に女が追撃をしようと迫っている。
「うわっ」
カルマはその攻撃を間一髪避けて女に向かって手を構える。
「炎の鞭」
カルマの手から炎の鞭のようなものが現れ、女に襲いかかる。
だがその瞬間、カルマの前からその女の姿が一瞬にして消える。
「!?」
気づけばカルマの背後をとった女がカルマに向かって剣を振るう。
(斬られる…)
女はぴたりと剣を止める。
「ふむ、反応は悪くないか。」
女は一言そういうと剣を鞘に収める。
「え……と、なんなんですか?」
「聞いていないか?今日から貴様を指導してやる。私についてこい。」
すると、家の中からバトロフとティニエが慌てて出てくる。
「フィルス…さん、いらしてたんですか。一体なにを……?」
「何を?ダグラスから聞いているだろう。奴からこいつの修行をつけるよう頼まれたんでな。」
「どこで修行を?」
「こんな国にいては育たんからな、国門の外のラダの森へ連れていく。」
「ラダの森!?
あそこは魔獣が多く棲息する危険な森で…」
「だからいいのだろう?……おい、行くぞ」
そういうと、フィルスはカルマは掴み、大きく跳躍しその場を後にする。
「あっ!?……ちょっ……」
……
「行っちゃったわね……」
「ああ……」
2人は心配しながらもダグラスの推薦ならと言い聞かせている様子だった。
カストリア閉鎖的な国だ。国の平和を守るため、入国者には厳しい制限があり、魔獣の被害をなくすために外周を門と壁で囲われた国である。
国の近くの森へ行くにしても面倒な手続きが必要になる。
カルマがどうするのだろうか。と考えているとフィルスは国の端につくやいなや地面を強く蹴りあげ国壁の上へと着地する。
「えぇ……」
「なんだ?」
「これって不法なんじゃ……」
「この国の法など知ったことか」
こうしてカルマはフィルスに連れ去られ、ラダの森へと向かうのであった。
〈頭の中の整理用 メモ〉
フィルス= カルマの兄ダグラスに依頼され、カルマの修行をつけることになった女戦士




