ステータスは大事
020
俺はやっぱり、貴族なのか。キア先輩の言うように、ステータスにもその表示があった。両親は何も言ってくれていなかった。俺にはまだ必要無いと思っていたのだろうか。
「ライル! ちゃんと食べなよ!」
「え? うん。ちょっと考え事してて」
「はぁ。ボーッとしすぎじゃない? 貴族だったらもっとしっかりしてなさいよ」
貴族って言われてもな……今の今まで、平民だと思って過ごして来たんだぜ。貴族って言っても礼儀とか知らないし。ステーキだし。あー、何かムカつく!
目の前には、とても美味しそうなステーキが載っている皿がある。どうにも、ムカムカするのでやけになって、一口食べる。
「ん! ……これは、美味い。初めて食べた。いやでもサンドイッチの方がいい……あでもな、、」
「ステーキを、初めて……? あ、別に変でもないか!」
レミスとライルは、夕飯のステーキを堪能して、寮へと戻った。
「そう言えばさ、ライル。ステータスの事知らなかったの?」
「え、うん」
みんな知ってて当然だよな。スキルとか、取得するんだろうし。
「ねね、ちょっと見せて!」
「えぇ、まぁ、良いけど……」
そう言って、ステータスを開きレミスに見せる。
「うわ、凄い。本当に魔法陣使えるんだ! これは……浮遊? 瞬間移動と違うの? あれ待って、瞬間移動も使えるの?」
瞬間移動? 超能力とかでよく聞くやつ? そんなのもあったんだ。さっきは、頭のなかがパンパンだったから、よく見ていなかったのか?
「ねね、これなに?」
「え、どれ?」
「この、闇の守神ってやつ」
闇の守神……クロヒの事か。これはなんて説明すればいいんだろう。友達? いや、友達に神様がいたら、ヤバイから。
じゃあ、なんて……
『そのまま言えばよかろう』
そのまま言うの? て言うか、言っていいの?
『……ただいま、ライル』
おかえり……? ……まさか!?
「クロヒ!? どこにいる!?」
「クロヒ? いきなりどうしたの!?」
どうして、どこにも見えないのに、声だけが聞こえるんだ?
『魔法を使える奴、特に、3属性以上持っている奴には、俺の事が見えるんだよ!』
そうなのか。でもいいんじゃないか? お前の事正直に言って良いんだろう?
『それもそうだな』
「ねえ、ライル?」
「ちょっと待って、今見せる!」
どこだ? ……ちゃんと出てきてくれよ。
『もう居るぜ』
どこにいるんだよ? 見えないぞ。本当にクロヒなんだよな? また夢じゃないよな?
「ライル……頭の上に、竜が乗ってる……まさか、それが……」
目を見開いたまま、一点から視線をずらさないレミス。特に怯えてはいないようだ。
頭の上? おい、クロヒ。降りてこいよ。
『嫌じゃ。この姿は見られたくないわい』
どんな、姿してんだよ。前みたいにこわい竜じゃないのかよ。まさか、ぬいぐるみみたいに可愛くなっちゃったのか?
『ふんぐっ』
え、まじ。図星? え、見てみたくなってきた。降りろー!もうお前を掴んだからな。離さないぞ!
自分の頭の上にいる、ぬいぐるみのような愛らしい竜を掴み引きずり降ろす。
「うわ、お前、可愛くなったな」
「ライル。ちゃんと説明して。会話からはずさないで!」
寮のなかに、賑やかな空気が流れた。




